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2012年9月15日 (土)

学生の予備試験受験を禁止する?

司法試験結果発表直後の記事「平成24年度の新司法試験の結果」
で、今年の予備試験合格者数の増減を占う要素として

(1)予備試験組の高い合格率→プラスに働く要素
(2)若年層、大学生の多さ→マイナスに働く要素

と分析しました。

9月14日付の朝日新聞によると、(1)について法務省幹部が「今後は予備試験の合格者が増える方向に調整されるはずだ」とみており、現実に増やされる方向になるのは間違いなさそうです。

一方(2)についても、同紙によれば高井美穂文部科学副大臣が、予備試験の本来の趣旨に合致しているかどうかの検証の必要性を指摘しており、危惧した通り合格者抑制の口実に使われる方向になりそうです。

この「検証」について副大臣は具体的にどんなことを言っているのか見てみました。http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1325532.htm

高木副大臣「予備試験がそもそも経済的事情とかその他の事情によって、法科大学院に行けないという方々のために、ある種、開かれた制度であるというふうに、作ったものでありますが、この本来の趣旨にあった方が受けているのか、本来の趣旨を踏まえたうえで運用がされているのかどうか、しっかり検証しなくてはならないというふうに、あらためて感じているところであります。つまり今回、法科大学院在学中の学生さんも受けているということもあったり、大学学部に在籍中の方が受けているということもありますので、そもそも経済的事情によって行けない方であったり、何かほかの事情で、という方のためのものに本当になっているのかどうか、ちょっと属性の分析といいますか、受けた方々の背景分析をしっかりした上で、議論を重ねたいと思っています」

「受けた方々」というのが予備組の司法試験受験生をいうのか、合格者をいうのか分かりませんが、予備試験合格者は文科省から経済的事情について事情聴取されるかもしれません。あるいは、司法試験出願書類に自分や親の年収を記載する欄が設けられたりして。

さらに高木副大臣は記者に「法科大学院生、大学生の予備試験受験を禁止する方向もありうるのか?」と問われて、こう答えています。
「それも含めて、今度の検討会議でしっかり議論していかなくてはならない、と思っています。」

学生の受験禁止が、法科大学院推進派で占められている法曹養成制度検討会議で議論される、というのは、ちょっと嫌な予感がします。若年、学生合格者が多かったことは、予備試験合格者抑制の口実にされるだろうとは思っていましたが、学生の受験禁止の議論にまで踏み込むことになるとは思いもしませんでした。法科大学院制度を守るために、とことん参入規制を強化する、という方向になるのでしょうか。

それと、予備試験に関して法務省が開示する情報には、やや偏りを感じます。
合格者の職業別、年齢別の情報はバイパス(抜け道)利用の検証のために開示したのでしょう。
ならば法科大学院修了合格者についても、大学院修学前の職業別等の情報を開示するのが筋でしょう。もちろん「社会人等としての経験を積んだ者などを幅広く受け入れ、多様なバックグラウンドを有する法曹を輩出して」いるかどうかを検証するためです。既修、未修の区別だけでは検証できません。
でも、法科大学院制度がその理念を実現しているかどうかを検証できるデータはなかなか出てきません。

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