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2012年9月27日 (木)

平成24年度司法試験予備試験論文試験(刑事訴訟法)試作答案

恥かきついでに刑訴もアップ。
以下の答案は本年度予備試験の1週間ほど後に試作し、mixiのコミュニティにアップしたものです。その後に構成や内容の正しさは検証していません。間違っているところとか、おかしな点には目をつぶっていただき、あくまで基本とそれ以外を峻別する材料としてのみ見てください。

以下、「基本」部分を色付けします。内容は①原理原則(適正手続の保障、令状主義、強制処分法定主義)②典型論点(強制捜査と任意捜査の区別、任意捜査の限界、おとり捜査の適法性、秘密録音録画の適法性)③規範定立に人権と捜査の調和の観点を絡めること、です。
ほかに、捜査分野のお約束として、
問題文からできるだけ多くの事実を拾って適切に評価した上で、あてはめること、が重要です。

第1 Kが、甲に対する覚せい剤購入の申し込みをAに依頼した捜査について適法性を検討する。
 1  本問捜査方法は、甲の覚せい剤所持罪での逮捕を目的に、KがAを介して甲に覚せい剤の売買を働き掛けたもので、いわゆる「おとり捜査」に当たる。かかる欺罔的手段による捜査は、
適正手続の保障(憲法31条)に反する不当な捜査として、そもそも違法ではないか。
 (1)たしかに、おとり捜査は国家が犯罪を作り出す不当な捜査とも思える。
 しかし、覚せい剤事犯のように、その濫用が犯罪の温床になるなど重大な事件にもかかわらず、密行性が高く、証拠の収集保全が困難な犯罪については、捜査側で欺罔的手段を用いて逮捕、捜索の機会を得る手法の必要性も否定できない。
 (2)したがって、覚せい剤事犯である本問において、おとり捜査も一定の場合には適法となる。
 2 では本問捜査は適法なおとり捜査といえるか。
(1)この点
、「強制の処分」(法197条ただし書)に当たるとすれば、令状が必要で(令状主義、憲法33条、35条)で、かつ、法定されていなければならない。そこで強制捜査と任意捜査の区別が問題となる。
 ア 
令状主義及び強制処分法定主義の趣旨は、捜査権の濫用による不当な権利制約を防止する点にあることから、強制捜査とは被処分者の意思に反して重要な権利利益を制約する捜査をいう
 イ 本問の捜査では、甲はAの働き掛けに対し自由意思で応じるものであるから、意思に反して重要な権利利益を制約するとはいえない。したがって任意捜査であり令状は不要で、法定されていなくても可能である。
 (2)ア しかし、
任意捜査といえども被処分者の権利侵害の可能性はあり、権利侵害を可及的に防止すべく「必要な」限度で行われなければならない(法197条1項本文)。
 そこで
人権保障と捜査の必要性との調和(法1条)の観点から、①犯罪の重大性②おとり捜査の必要性③手段の相当性がある場合に任意捜査として適法になると解する。
 イ そして、手段の相当性の判断においては
既に犯意を抱いていた被疑者に犯行の機会を提供したにすぎないか、新たに犯意を誘発したかが基準になると解する。なぜなら前者の場合は、国家が新たに犯罪を作り出したとはいえないが、後者は犯罪を作り出したといえるからである
3 (1)本問をみると、薬物犯罪は犯罪の温床になる重大な犯罪である(①を具備)。
 また、Aの供述及び通常の捜査では甲の検挙が困難であったため、捜査の必要性が認められる(②を具備)。
 さらに、Aの依頼を受けた甲は当日中の覚せい剤調達を約束し、実際に、その日のうちに別の組員宅に赴き、覚せい剤入りのアタッシュケースを取りに行っている。このように、依頼受諾後、直ちに覚せい剤の調達を行っていることから、甲は日常的に覚せい剤取引を行う、いわばプロの薬物密売人といえる。かかる甲に購入を働き掛ける行為は、新たな犯意を誘発するものではなく、機会を提供したにすぎない。したがって手段の相当性も認められる(③を具備)。
 (2)以上から甲に対する覚せい剤購入の申し込みをAに依頼した捜査は、任意捜査の限界を超えず、適法である。
第2 次にKがAをして甲の姿及び会話を、かばんに隠したビデオカメラで密かに録音録画させ、その提供を受けた捜査の適法性を検討する。
 1 本問の録音録画は
無令状で行われているため、強制捜査であれば令状主義に反し違法となる。そこで強制捜査か否かが問題となる。
 (1)ア 姿(容貌)及び会話の秘密性は、プライバシー(憲法13条前段)に当たり、重要な権利利益であるから、録音録画が意思に反して行われれば原則として強制処分に当たる。
 イ しかし、喫茶店のように不特定多数人が絶えず出入りする場所での容貌及び会話は、他人に見られたり聞かれたりする可能性を本人が許容しており、少なくとも会話の相手方に対しては、容貌を観察され、会話内容を把握されることを許容している。とすれば自室の中などとは異なり、容貌や会話に関するプライバシー権は一部放棄されていると考えられる。 
 また、犯罪行為に関する会話はプライバシー権として保護される価値が希薄である。
 そうであれば、甲の容貌及び会話の秘密性は、重要な権利利益とはいえない。
 (2)したがって本問の録音録画は重要な権利利益の制約には当たらず、強制捜査ではない。
2 では、
任意捜査の限界(法197条1項本文)超えて違法とはならないか
 (1)この点、
人権保障と捜査の必要性との調和(法1条)の観点から、捜査の①必要性②緊急性③相当性がある場合に適法となると解する。
 (2)以下、本問につき検討する。
ア Aの供述及び通常の捜査では甲の検挙が困難であったため、録音録画の必要性が認められる(①を具備)。
イ 甲は、プロの密売人であり、依頼を受けてから直ちに覚せい剤を調達し、買受人に譲渡するものと考えられる。とすれば、所持の現行犯で逮捕できる時間は限られ、スピーディーな令状発付と、令状の執行による捜索が要求される。
 このような状況下で、もし録音録画をしなければ、甲と会った後のAを聴取し、調書にしてからでないと令状発付の疎明資料を提出できず、甲の現行犯逮捕の機会を逃してしまうことになりかねない。
 これに対し録音録画でれば記録されたビデオカメラをそのまま疎明資料とすることでスピーディーな令状発付と、令状の執行による捜索が可能となる。したがって、録音録画の緊急性も認められる(②を具備)。
ウ また録音録画方法は、かばんに隠したカメラによるものであり、甲に威圧を与えたり、甲の名誉(法196条参照)を害する方法ではないことから相当性も認められる(③を具備)。
(3)以上によりKによるAを介した録音録画は適法である。
以上

補足説明です。
・実務家ではないので、あてはめは、あくまで受験生としての感覚に従ったものです。問題提起とあてはめ以外は、ほぼ過去問答案のコピペです(こんなことするから「金太郎飴答案」などと言われちゃうんですね。すいません
)。
・応用部分として考えられるのは、一般人を介した捜査である点、録音と録画で同じ基準でよいのかという点、事例2の使い方ですが、とくにそれら記述がなくても基本がしっかりできていればAになり得ると思います。ただ、応用問題は解けなくても「問題意識は持っていた」ということを何らかの方法で示すべきです。
その点、試作答案は良くありません。
・あてはめの充実度の差で評価がAかBに分かれる問題だと思います。
あと、この問題には出てきませんが、伝聞証拠が問題になるときに、伝聞法則の定義、趣旨、例外という一連の流れは、はしょらずに手厚く書くべきです。自分の旧司の経験では、この部分に、かなり大きな配点があるのは間違いないと思います。

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