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2012年9月 7日 (金)

バックグラウンドの多様性の検証(入口編)

以前のエントリー「バックグラウンドの多様性は実現したのか」で、新制度により多様性が図られたかどうかの検証は必須、と指摘しました。検証した資料が既にあるのかもしれませんが、探索できなかったので、独自に検証を試みました。

まず、「入口」での多様性、すなわち法曹を目指そうとする人の多様性を見てみます。
旧司法試験については短答式(択一式)試験の職業別受験者数の資料がありました(H16~19年H18~22年)。

一方、新司法試験で法曹を目指そうとする人については、法科大学院入学者のデータがありました。ただ、これは社会人か否かという大ざっぱな区別しかありません(参考資料の4ページ)。そこで旧試験の資料にある職業の項目から、社会人と呼べる項目の数字を足し上げて、「社会人」の受験者数とみなすことにしました。

その結果、社会人の数と、受験者または入学者全体に占める割合(カッコ内)は以下のようになりました。
     
ロー入学者  旧試受験者
H16  2,792(48.4%)  10,667(24.6%)
H17  2,091(37.7%)   10.084(25.6%)
H18  1,925(33.3%)      8,880(29,4%)
H19  1,834(32.1%)     7,650(32,8%)
H20  1,609(29.8%)     6,532(34.9%)
H21  1,298(26.8%)     5,667(37.2%)
H22   993(24.1%)     4,998(37.8%)
H23   763(21.1%)
H24   689(21.9%)

両者のデータは、法曹を目指そうとする人という点で共通するとしても、段階が異なるので、数、割合を同一年度で比較することはせず、それぞれの流れを見ていきます。

ロー初年度のH16年は、高合格率への期待などもあってか、入学者の半数近くを社会人が占めています。翌17年は急落していますが、新司法試験の結果も出ていない段階で激減した理由はよく分かりません。その後は数、割合ともどんどん減り続けています。
合格率が当初の想定より低迷し続けたことや就職難で、仕事をやめてまでローに進むのはハイリスク、という認識が強まった可能性があります。

一方、旧司法試験は、同様に数が減り続ける一方、割合は増え続けていきます。数が減っていくのは、旧から新への移行に伴い、ローへの進路変更や撤退する人が出たためと思われ、全体的な傾向です。
その中で割合が増えているということは、社会人は、それ以外の人と比べてローへの進路変更や撤退者が少なかった、つまり、社会人は旧司にこだわった人が多かった、ということでしょうか。

H22年に旧司が修了し、どうしても法曹になりたい人はローに流れると思われましたが、H23年はロー入学者の社会人の数は増えませんでした。旧司の社会人の多くは撤退したか予備試験に流れたと考えられます。

以上、私の考えるところによれば、少なくとも「入口」ではロー制度より旧司の方が、社会人経験者など多様なバックグラウンドを有する人材を多数法曹に受け入れるという理念に適っていたと思います。

もっとも、試験というフィルターを通した受かりやすさの違いによっては、新制度の方が多様性に優れているという結果になり得ます。そこで「出口」、すなわち合格者ないし司法修習生のバックグラウンドの検証が必要になります。

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