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2012年9月26日 (水)

平成24年度司法試験予備試験論文試験(民法)試作答案

以下の答案は本年度予備試験の直後に試作し、mixiのコミュニティーにアップしたものです。その後に構成や内容の正しさを全く検証しておらず、出題の趣旨を外した間違いだらけのシロモノだと思います。あくまで基本とそれ以外を峻別する材料としてのみ見てください。

「基本」部分を色づけします。ここに含まれる基本の類型は①基本典型論点②当事者間の利益調整③条文操作です。

第1 設問1(1)
 BはAのCに対する債務の物上保証人であり、Cに対し本問の主張をすることができるかは、物上保証人に催告・検索の抗弁権(452条、453条)が認められるかにかかわる。
 1 民法は同抗弁権を保証人について認めている。
その趣旨は、保証人が主債務者と同様の債務を負担し、全財産が責任財産になるという重い責任を負うことから、債権者に対し先に主債務者に執行すべき旨の抗弁権を認め、もって保証人の利益を保護する点にある。
 2 しかし、物上保証人は、債務を負わず担保権について責任を負うのみである。また、責任財産となるのは担保目的物のみであり、保証人ほど責任は重くない。したがって保証人ほど利益保護の必要性が認められないので
、452条、453条の類推適用はなく、催告・検索の抗弁権は認められないと解する。
 3 
かく解しても、物上保証人は第三者弁済(474条2項)により主債務を消滅させて強制執行を免れることもできるので、特に酷とはいえない。
 4 以上によりBは、本問の主張をすることはできない。
第2 設問1(2)
 1 前段
 BがAにあらかじめ求償権を行使できるかは、委託を受けた保証人に事前求償権を認めた460条が、物上保証人に類推適用されるかにかかわる。
 (1)
委託を受けた保証人は、主債務の弁済について委任を受けた者であるから、460条は、委託事務処理費用の前払い請求権(649条)としての性質を有する。
 (2)これに対し物上保証人は担保設定義務を負うのみで、主債務の弁済について委任を受けた者ではない。そこで、目的物の所有権を失った場合には求償権を有するものの(372条、351条)、事前求償権までは認められないと解する
。よって460条は物上保証人に類推適用されない。
 かく解しても
物上保証人の責任は、担保目的物の価額に限定されるので、事後求償で救済される可能性は保証人より高いと考えられる。
 (3)以上からBは、あらかじめAに求償権を行使できない。
2 後段
 では乙建物が売却された場合はどうか。
 (1)この場合、Cは
抵当権「の実行によって」目的物の「所有権を失ったとき」に当たる(351条)。したがって、Aに求償権を行使できる。
 (2)この点は、
委託を受けた保証人が保証債務を履行した場合と同様である(459条1項)。理由は以下の通りである。
 たしかに物上保証人は主債務弁済の委託を受けた者ではないので、その求償権の性質は、委託事務処理費用償還請求権(649条、650条)の性質を有する保証人の求償権とは異なる。しかし、抵当権の実行も主債務の弁済に充当され、保証人の弁済と同様に代位できるとされている(500条)。とすれば、抵当権の実行の効果も、委託を受けた保証人の弁済と同じであり、保証人と同様に扱うべきだからである。
第3 設問2
 1 EのBに対する権利主張
(1)EはAの子であり、
Aの地位を相続するが(896条前段)が、AB間の贈与は書面で行われ、引き渡しもなされているので撤回(550条)はできない。
(2)ただ、相続開始1年以内にAが贈与した財産につき
遺留分を有する(1028条2号、1029条1項、1030条前段)。そこで甲土地についてBに対し遺留分減殺請求権(1031条)を主張することできる
 2 甲土地の所有権についての法律関係
 (1)被相続人たるAの財産は甲土地のみである一方、債務はない。したがって遺留分の総体は甲土地の2分の1となる。
 そしてEは唯一の相続人であるから、遺留分の総体すべてがAの権利となる。この点、遺留分減殺請求の性質は形成権と解され、Eは請求権の行使により甲土地の所有権について2分の1の持ち分を有する。
 (2)もっとも甲土地は不可分であることから、
Bが返還に応じない場合、原則として所有権は、EとBの共有(249条)となる。
 (3)ただし、Bが
価額弁償を選択した場合は、返還義務を免れる(1041条1項)。この場合、返還義務を免れることの反射的効果から、目的物全体の贈与の効果をそのまま認め、甲土地はBが単独で所有権を有することになる。
 (3)
共有となる場合、Eは持ち分に基づいて甲土地の明渡しをBに請求することはできない。なぜなら各共有者は全部について持ち分に応じた使用が認められるからである(249条)。
 (4)もっとも
Eは、持ち分に応じた使用利益をBに請求することができる(703条、704条)。
以上

以下、補足説明です
設問1(1)と(2)前段は、予備校答練のような論点主義的な問題のようにみえます。典型論点ですから、きちんと、しっかり論じる必要があります。
また、民法特有の基本として、権利を否定される当事者Bへの配慮が必要だと思います(指摘が当を得ているかどうかはともかく、配慮している姿勢を見せることがポイント。ただし権利を否定される側が同情の余地のない悪人であれば、あえて書く必要ありません)。

設問1(2)後段の、理由付きで比較する部分は、基本ではなく応用部分かなあという気がします。抵当権実行後の物上保証人に求償権が認められるなんて当たり前すぎて、その理由を深く考えたことのある人は少ないと思います。こうした応用部分や未知の論点は、基本から自分なりに考えれば、そこそこ点数が入ると思っています。

設問2は、遺留分減殺請求権を深く勉強している人は、ほとんどいないでしょうから、どれだけ多く条文を探し出して、その操作ができたかどうかに尽きると思います。
それと、明け渡し請求を否定されるEへの配慮が必要だと思います。

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