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2012年10月 2日 (火)

平成24年度司法試験予備試験の合格者数を占う

10月11日は予備試験論文試験の合格発表です。

いつも勉強させていただいてるブログ「元「法律新聞」編集長の弁護士観察日記」のエントリー「生まれるはずがない合格率「格差」の原因」を読んで、あらためて去年の予備試験合格者数(116人)は極端に狭き門だったなあ、と実感します。

司法試験法をあらためて確認してみると、予備試験は法科大学院修了者と同等の能力の有無の判定を目的としています(5条1項、4条1項1号)。この「同等」の能力の有無の判定に必要な指標の代表は、やはり司法試験合格率でしょう。今年の試験ではロー修了組が24・6%なのに対し予備試験組は68・2%。去年の予備合格者数の決定は結果として“違法”と言われても仕方がない処分だったと思います。

では、今から事後的に見て“適法”な合格者数とは何だったのか。数学がからっきし苦手な私が、ごく単純に計算してみます。

今年の法科大学院修了資格での合格者は2,044人で、受験生は8,302人ですから、合格率は24・62%です。
一方、予備試験合格者の本試験合格者数58人を基準として、予備試験合格資格での受験者総数が何人だったら合格率が24・62%に近くなるかを計算すると、235人という結果になりました(「受け控え率」など、その他の考慮しうる要素はとりえあず考慮から除外します)。

したがって、235人が適正かつ“適法”な合格人数だったのかなあ、と思われます。
(ホントにこんな計算でいいのか疑問がないわけではないですが、とりあえず話を進めます)

これは去年の合格者の2倍に相当します。司法試験委員会の合格者決定(法8条)に仮に裁量があるとしても、その範囲には到底、収まらない格差だと思います。

でも、そんな大幅合格者増をロー推進派が今年、受け入れるか、というと大いに疑問です。予備試験合格者の本試験合格率が大きな話題になりましたから、2年目の今回も予備試験合格者数について、なにがしかの報道がなされるはずです。その時に「予備試験合格者が倍増」という見出しで報道されることは絶対に避けたいはずです。「狭き門」という世間の印象が崩れてしまい、法曹を目指す優秀な人材を予備試験ルートに誘導しかねないからです。

では、司法試験法の文言や合格割合の均衡を求めた「規制改革推進のための3カ年計画」に抗して、私の単純計算による「適正合格者数」を、さらに引き下げることのできる根拠はあるでしょうか。

たとえば、司法制度改革審議会意見書が記した「予備的な試験」の制度趣旨を根拠に 合格者決定の裁量の幅をかなり広くとらえることが考えられます。
また、「去年はともかく、今年は受験生のできが悪かったので、ロー修了者と同等レベルの受験生はこれしかいなかった」という理由を付けて、合格者を抑えることも可能でしょう。司法試験委員会の独立性や、国家試験の合否判定は司法審査の対象にならないという判例からすれば、法務省や試験委員会が合格者決定の合理性を詳細に問われることはまずないでしょう。だとすると、どこまで合格者を減らすかは、ある程度、さじ加減でできそうです。

ところで司法試験委員会は、合格者数にメッセージを込めることがあります。たとえば司法試験委員会会議(第35回)議事要旨をみると、当時の髙橋宏志委員長がこんなことを言っています。

「旧試験の合格者について,300人から,平成20年は,今の案でいくと,いずれも200人にするという。これを更に,150や100に落とせるか。仮に,平成20年に100に落としたら,これは,司法試験委員会の強いメッセージになると思うが。」

要するに、当時、いまだに旧試験にしがみついてる受験生に対し、合格者数をがくんと落とすことで「早くローへ行くか、撤退しろ」という試験委員のメッセージを発信したい、ということです。

予備試験でも同じようなメッセージを合格者数に込めると思います。
「予備試験を抜け道にしよう、ったって、そうはさせんぞ。本当に早く受かりたい奴は、とっととローに行け」と。

一方で昨年程度の合格者数にとどめれば、さすがに不合理のそしりを免れないことも彼らは百も承知です。

そこで落としどころは、こうなるのではないでしょうか。

論文試験合格者を200~210人程度として、「倍増」という新聞の見出しを先に回避しつつ「ちゃんと合格者を大幅に増やしましたよ」というアピールをする。
その上で、口述で10数人程度を落として最終合格者を190~199人程度とする。百の位は去年と変わっていないので、予備試験を「狭き門」としてローへ誘導するメッセージ効果を保持でき、ロー推進派にもある程度、納得してもらえる、という案配です。

この通りになるかどうか分かりませんが、仮になったとしたら「ああ、そこまでして予備試験を邪魔物扱いしたいんだなあ。ロー推進派はよほど追い詰められているなあ」とあらためて感じ入るだけです。

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