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2012年11月25日 (日)

法曹養成制度検討会議 第3回会議議事録

法曹養成制度検討会議第3回会議議事録が話題になっています。
http://www.moj.go.jp/content/000104258.pdf
特に和田委員の発言は拡散希望です。

※参考
「法曹養成制度検討会議 第3回会議議事録 和田委員の発言『法科大学院は受験予備校化さえしていない』」(Schulze BLOG)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51990345.html
「要するに、中途半端なんです。」(福岡の家電弁護士 なにわ電気商会)
http://ameblo.jp/mukoyan-harrier-law/entry-11410042363.html
「『正論』が通用しない司法」(黒猫のつぶやき)
http://blog.goo.ne.jp/9605-sak/e/82bd618308cca643786b4281d6d684c5

「法科大学院は、医学部に学べ!?」(弁護士 猪野亨のブログ)
http://inotoru.dtiblog.com/blog-entry-631.html

上記のブログでいろいろと指摘され尽くされているので、それ以外で気になったことを記します。

久保委員の発言

「平成24年の司法試験の場合,第1回目の受験で合格した人が全体の51%ぐらいを占めている。これは法科大学院の3年間を加味して,旧司法試験時代の4回目の受験者の合格者と比べてみても圧倒的に数が多いわけです。」

ここで委員は、合格までにかかる年数を問題にしているようですから「第1回目」ではなく、大学院修了後「1年目」と言うのが正しいでしょう。だとすると、1年目合格者(1,027人)の全体(2,044人)に占める割合は、50.2%ですから、「51%ぐらい」という発言は、わずかですが盛ってます?
それはともかく法曹養成制度検討会議提出資料から旧司法試験の受験4年目以内の合格者の割合を調べてみました。

H22=29/59=49.1%
H21=31/92=36.9%
H20=45/144=31.2%
H19=82/248=33.0%
H18=181/549=32.9%
H17=436/1464=29.7%
H16=564/1483=38.0%
H15=399/1170=34.1%
H14=592/1183=
50.0%
H13=564/990=
56.9%
H12=605/994=
60.8%
H11=585/1000=
58.5%

たしかに平成15年から平成21年まではおおむね30%台ですが、これは法科大学院がスタートし、司法試験への新規参入者または受験年数の少ない者が旧司法試験を敬遠し始めた影響と思われます。しかし、平成14年以前の割合は50%以上です。にもかかわらず新司の方が「圧倒的に数が多い」というのは事実評価の大きな誤りだと思います。
あるいは久保委員は、新司の1年目合格者と旧司4年目の合格者を単年で比較しているかもしれませんが、合格までの年数を問題とする発言の趣旨からは無意味な比較です。

同じく久保委員の発言

「それから,24年度では法学部未修者も1回で250人が合格,これは全体の22%ぐらいになります。また法科大学院の入学者を見ましても,社会人はかなり減っていますが,依然として2割ぐらいを占めている。いずれも旧試験時代にはなかった現象であり,こういった数字を少し前向きに検討してみますと,やっぱり一定の評価はできると思います。」

「法学部未修者も1回で250人が合格・・・全体の22%」に該当するデータが資料から見つかりませんでした。「法学部未修者」というのは、いわゆる「隠れ未修」のことですよね。その人たちの1回目合格の数字、割合が何の意味を持つのか。割合が「全体の22%」というと、全体が1136人ということになりますが、何の数字なのでしょう。「旧試験時代にはなかった現象」と言われても何のことやら分かりません。
また、「社会人(の入学者)は・・・依然として2割ぐらいを占めてい」て、これも「旧試験時代にはなかった現象」と言っています。しかし、これも変です。そもそも旧試験に法科大学院は無関係ですから、「入学者」という分類がありません。この点で旧試験との比較はできないのが原則です。
もっとも、「法曹を目指そうとする人」という括りで、旧試験受験者の社会人(有職者)割合と比較することは可能です。それを試みたのが以下の数字です。
     ロー入学者  旧試受験者
H16  2,792(48.4%)  10,667
(24.6%)
H17  2,091(37.7%)   10.084(
25.6%)
H18  1,925(33.3%)      8,880(
29,4%)
H19  1,834(32.1%)     7,650(
32,8%)
H20  1,609(29.8%)     6,532(
34.9%)
H21  1,298(26.8%)     5,667(37.2%)
H22   993(24.1%)     4,998(
37.8%)
H23   763(21.1%)
H24   689(21.9%)
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-a18e.html

平成16年以降、社会人は2割台半ばから3割後半を占め、19年度以降は旧司の方が上回っています。「旧試験時代にはなかった現象」というのは明らかに誤りです。

結論ありきの会議とはいえ、正しくデータを評価した上できちんと議論していただきたいと思います。

翁委員の発言

「やはり,今,例えば予備試験の合格者が非常に多い」

予備試験は総受験者7,183人で、合格者219人、合格率3%。
一方、平成23年度の法科大学院修了者数は3,937人。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/__icsFiles/afieldfile/2012/06/15/1322208_1.pdf
予備を例外扱いにしている点を考慮したとしても、このデータを客観的にみて、どうして予備合格者が「非常に多い」という評価が出てくるのか理解に苦しみます。

このほか清原委員が修習生の「赴任手当」に言及しているのが気になります。この法曹養成制度検討会議で給費制復活という結論が出るとは思われませんが、裁判所法等の追加修正、付帯決議の趣旨もちゃんと考慮しましたよ、というポーズをとるため、赴任手当の導入でお茶を濁される可能性が出てきたと思います。もちろん、手当だけで問題が解決するはずはないんですが、フォーラムの面子を保ちつつ、国会にも配慮した「落としどころ」として利用されることが懸念されます。いったん落としどころで結論が出てしまうと、それをさらにひっくり返すのは現状より困難になるでしょう。

(追記)参考ブログの記載で漏れていました。すいません。
「受験対策なき「プロセス」の建て前」(元「法律新聞」編集長の弁護士観察日記)
http://kounomaki.blog84.fc2.com/blog-entry-583.html

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