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2012年12月30日 (日)

法科大学院ルートより予備試験ルートの方が上位で合格できる

最近は弁護士事務所への就職に司法試験成績順位が影響するようなので、予備試験合格者と法科大学院修了者のどちらがより高順位で最終合格できるかは、法曹を目指す人がルートを選ぶ上で重要な判断基準になると思います。

そもそも予備組の合格率が全体合格率より圧倒的に高いことから、全体としてみれば、予備組の成績順位の方がロー組より上位に分布しているのは明らかです。ただ、最終合格者だけを見た場合に、予備組は上位合格者が少なく下位合格者が多いということもあり得る話です。もし、そうならば、法科大学院ルートの方が上位で最終合格できる傾向にある、ということになるでしょう。

それを知る手掛かりになる資料がありました。法曹養成制度検討会議第6回事務局提出資料の183ページ(pdfファイルの187ページ)のグラフです。

Img017

赤色の線が受験生全体(ただし短答通過者のみ)の得点別人数分布、ほぼX軸上にある緑色の線が予備試験合格者(同じく短答通過者のみ)の得点別人数分布です。
予備合格者は受験生全体の中で圧倒的少数なので、ご覧のように緑色の線はまるで地をはうミミズのようで起伏がほどんどなく、赤色の線(全体)との比較がしづらくなっています(なぜこんな分かりにくいグラフをわざわざ作ったのか理解に苦しみます)。それでもなんとかこのグラフを元に、どちらが高順位で合格する傾向にあるかを推し計るデータを自分なり算出してみました。

当該グラフには、データ解析に必要な、得点ごとの予備合格者の実数が示されていません。そこでグラフ上で緑色の線とX軸との距離を実測して実数を割り出しました。その結果、得点590点から1069点までの10点刻みで、予備受験者の人数が分かりました。例えば1060点から1069点の間に1人、820点から829点の間に5人という具合です。全容は本記事末尾に記載しました。

このデータと、同じ資料の103~106ページにある「平成24年度司法試験総合点人員調(総合評価)」を使って、一定の得点以上の累計人数と累計割合を、受験生全体と予備組とで比較しました。なお、予備組の人数は圧倒的に少ないので、全体のデータと法科大学院組のデータはほぼ等しいと考えて差し支えありません。また、得点10点刻みのデータしかありませんので、累計人数・割合ともキリのよいところで区切ることはできませんでした。

比較の結果は以下の通りです(数字がまっすぐ縦にそろわないのはお許しください)。

               全体            予備
得点   
累計人数 累計割合 累計人数 累計割合 
1010以上  91      
1.86%              3          3.57%
960以上    219      
4.48%            14         16.66%
950以上    257       5.26%             16        19.04%
900以上    557      11.41%            28        33.33%
850以上  1039      21.28%            37      44.04%
820以上  1447    29.63%            47     55.95%
810以上  1624      33.26%             51        60.71%
790以上  1952      39.98%            54        64.28%
780以上  2102      43.05%            58      69.04%

1010点以上の「ふたけた合格者」の割合は、全体では1.86%ですが、予備合格者だけでは3.57%で、ほぼ2倍です。
960点以上の合格者上位約1割以内の割合も予備の方が圧倒的に高くなっています。

さらに累計割合を最終合格者だけでみると以下の通りです。

               全体              予備
得点    
累計人数 累計割合 累計人数 累計割合 
1010以上    91        4.32%              3          5.17%
970以上      184         8.75%            12        20.68%

960以上     219        10.41%           14      
24.13%
900以上      557        26.49%           28        48.42%
850以上    1039        49.42%           37      63.79%
 ・
 ・
 ・
780以上      2102     100.00%          58    100.00%

1010点以上の「ふたけた合格者」の割合は拮抗していますが、わずかに予備が上回っています。
960点以上をみると、
予備組最終合格者の24.13%、つまり4人に1人が合格者上位約1割以内に入っていることが分かります。

以上、つたない分析ですが、最終合格者の成績順位は法科大学院修了生より予備合格者の方が相対的に上位に分布しているといえます。したがって予備試験合格者の方が法科大学院修了者より高順位で最終合格する傾向にあるといえると思います。

以上の結果を見やすくするため、法務省作成グラフ中の予備試験合格者の折れ線(緑色)について、得点別人数の数値を50倍に拡大して起伏をつけてみまました。折れ線は黒色ですが、分かりやすくするため、その黒色折れ線の下側を黄色で塗りつぶしました。予備組受験者数は全体の58分の1ですから、数値を50倍程度に拡大すれば全体(赤色)との対比にちょうどよいと思いました。

Img018

ご覧の通り、予備合格者のグラフは合格者数の隆起部分が全体的に赤色の隆起部分より右側、すなわち点数の高い方に寄っているのが分かると思います。この変形グラフからも、予備合格者の方が上位で最終合格する傾向にあることが分かると思います。

※参考
予備組の得点別人数
得点     人数(人)
1060~1069  1
1050~1059  0
1040~1049  2
1030~1039  1
1020~1029  1
1010~1019  3
1000~1009  1
990~999   1
980~989   1
970~979   1
960~969   2
950~959   2
940~949   3
930~939   1
920~929   3
910~919   2
900~909   3
890~899   1
880~889   1
870~879   3
860~869   3
850~859   1
840~849   1
830~839   4
820~829   5
810~819   4
800~809   2
790~799   1
780~789   4
(ここまでが合格、計58人)
770~779   4
760~769   2
750~759   2
740~749   0
730~739   5
720~729   2
710~719   2
700~709   1
690~699   0
680~689   1
670~679   0
660~669   1
650~659   0
640~649   2
630~639   0
620~629   0
610~619   1
600~609   1
590~599   2
         計84人

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