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2012年12月23日 (日)

やはり給費制復活と法科大学院の是非論は切り離せない

先日、日弁連主催の給費制復活に向けた市民集会に参加してきました。

運動の在り方について映画監督の周防正行さんから様々な指摘がありました。発言を詳細にメモしていないので記憶が頼りですが、監督の発言を総合すると、その趣旨は
給費制への市民の理解を得るには、修習生の困窮ばかりを内輪で訴えていてもダメ。税金を使って法曹を育成することの重要性をしっかり理解してもらう必要がある。しかし、現状では理解の下地ができておらず、市民は貸与制の何が問題なのかチンプンカンプンだろう
という感じでした。

日弁連側の立論はいまだに、法曹養成フォーラムで通用しなかった「お金がないと法曹になれないのはおかしい」論がメインみたいですが、市民に対しても通用しない気がします。「お金がないと法曹になれない」というのは、直接的にはあくまで、法曹になろうとする人にとっての不都合であって、法曹を利用する人にとっての不都合とまではいえないからです(法曹の多様性、質の貧弱が、いずれは国民の不利益につながりますが、なかなか実感を持ちにくいでしょう)。

給費の財源は市民が負担する血税ですから、いったん税金の投入が中止された事業の再開を納得してもらうには、かなりの説得力が必要です。しかも、給費制のスタート・継続当時に市民がその意義を理解していたわけではないので、復活に向けては、理解の下地がまったくないところから始めて理解を得る、という困難な作業を要します。
戦前の分離修習下では検察・裁判官と弁護士が対等でなく市民の人権が十分に守られなかったことの反省から統一修習が生まれたこと、弁護士は民間事業者だけど司法の一角を担う法曹として国家的な公務を行うこと、法曹養成に司法修習が欠かせず、修習を経なければ法曹になれないのにその間、収入を得る術がないこと―などを運動や裁判を通じて分かりやすく、地道に訴えていくしかありません。

ただ、訴えが奏功して公費による法曹養成の必要性が理解されたとしても、既に現在、法科大学院への補助金として法曹養成に巨額の税金が投入されています。ですから給費制の再開は市民に対し、法曹養成への「追加支出」を求めることになります。果たしてそこまで市民に納得してもらえるかどうか―。

やはり給費制復活の主張と法科大学院の是非論は切り離せない、と思います。

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コメント

以前は甲南ロー出身の修習生と名乗っていましたが、二回試験に合格しましたので、今後は、甲南ロー出身の弁護士と名乗ります。

私も、集会に参加しました。

ロースクールと貸与制は表裏一体であり、ロースクール問題に触れない給費制は有り得ないと考えています。

給費制廃止違憲訴訟の別働隊として、ロースクール受験資格要件強制違憲訴訟の 提起の必要性も感じています。

甲南ロー出身の弁護士様
二回試験合格と弁護士就任おめでとうございます!

法廷闘争における「違憲論」はさておき、市民運動における給費制復活の主張は「お金がなければ―」論と「法曹養成は公費で」論におおまかに分けられると思いますが、いずれも法科大学院の存在が主張の説得性を失わせてしまうのです。やはり法科大学院の問題に踏み込まないと、どうしても運動が空回りしてしまう感が否めません。

でも今の運動は法科大学院の存在は揺るがないものとしてやっているように見えます。先日の集会で周防監督が「ロースクールに行かない方法はないのか」と質問したのに対し、副会長が言いにくそうに「ちょっとあります」と言いうだけでお茶を濁す。会場から笑いが漏れ、監督の素朴な質問は制度の複雑さの話に流される。こうして予備試験の存在を無視し、法科大学院ルートしかないような前提で運動を進めているのを見るにつけ、せっかくの運動が身内だけで盛り上がっているものに終始してしまう危惧を覚えます。

私も何度か運動の会議でロースクール問題に踏み込んではと話してはいるのですが、運動論の関係でなかなか難しいそうです。

先日、記者会見では、私は修習生の経済的事情の他に、ロースクールの経済的負担と借金強制についても言及しましたが、はっきりとロースクール廃止を主張できないことが辛い所です。

最近感じますが、ロースクール廃止の方が世論から支持を得やすいのではないかと思います。
その上で、貸与制を主張すればベストです。

ロースクールがなければ、もう少し運動がやりやすいと思います。

いずれにしてもロースクール問題で、運動が瓦解しないか、 最近不安に感じています。

甲南ロー出身の弁護士様はじめ、運動が瓦解しないよう共通項で結び付こうと努力している方々には本当に頭が下がります。運動を牽引している日弁連の姿勢が変われば一枚岩でやれると思います。

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