« 東大文一、足きりなし確定に思う(追記あり) | トップページ | 司法制度改革を取材するマスコミ記者の方へ »

2013年2月17日 (日)

続・法科大学院視察の実態

先の記事で、法曹養成フォーラムで行われた法科大学院視察に関する開示資料を考察しましたが、法曹養成制度検討会議でも同様の視察が行われました。その視察に関する開示資料もここに公開しておきます(いずれも文部科学省まとめ)。

視察先は成蹊大ローと一橋大ロー。
視察日はいずれも昨年11月6日で、フォーラムの視察から1年弱後です。
フォーラムの視察以降、法科大学院入学者のさらなる減少など、LSの評判はますます落ちこんでいった(だからこそ改善策が真剣に話し合われている)と思うのですが、相変わらずLS教育を評価する意見が大半を占めています。両校のうち一橋は、いわゆる上位校ですから、まあ、そういうこともあるのかな、とは思いますが。

この手の視察の茶番性は弁護士HARRIER先生も指摘 しているところです。しかし、たとえ茶番でも現実には、ここに列挙された意見がロー生の代表的な意見とみなされ、それを元に法曹養成制度が決まっていくわけです。

この視察での意見交換出席者以外のロー生の方は、これらの意見をどう見ていらっしゃるのでしょうか。受験期間・回数制限に伴う不安などは意見を同じくする方も多いと思いますが、その他の意見も「まさにわが意を得たり」と考えているのでしょうか。

今後は、誰もが自由に発言できるパブリック・コメントに注目したいと思っています。

※成蹊大学法科大学院視察関連開示資料

■学生の主な意見
・ 最初の頃は授業を聞いても分からない。ただ、授業が進んで全体像が見え、かつ他科目も学ぶと相乗的に内容が見えてくる。
・ 学部と比較してLSでは判例を重視している。旧試験の頃、大学では勉強を教えてもらった記憶はないが、LSでは実務を見据えて判例を多く研究する点が重視されている。
・ 合格率については、自分がしっかり勉強をすれば、ここまでやれば合格するという水準が見えてくる。そのための勉強時間を確保することが課題。
・ 経済的不安や合格への不安もあるが、それは覚悟の上で入学している。
・ 将来必要になる文章力や考える力を普遍的に養うことが重要。過去問を用いることはあるが、「ここが司法試験に出るから勉強しておけ」といった授業は無い。
・ 前期・後期の最後にアンケートがあり、学生からの要望を取り入れる教員もいる。例えば、小テストを定期的に行うようになった改善例もある。
・ 補習はあまりなく、自主ゼミが多い。友人が集まって3、4人でやることが多い。
・ 答案を見せて互いに批評したり、お互いに分野を決めてレジュメを作り、説明しあうなどの勉強を行っている。
・ チューターが司法試験合格者なので、受かるために必要なことを教えてくれる。
・ 司法試験に合格できるか、自分の立ち位置が確認できないのは不安。今は授業の試験で周囲と競い合ってモチベーションを保っている。
・ 夜間開講は大きい。また、サテライトが丸の内にあるし、講義の録画ビデオもある。自習室は24時間使えるので助かる。
・ 社会人がいることは、他の昼間コースにいる学生にとっても影響がある。社会人の限られた時間で効率よく学習する姿勢や様々な社会経験は他の学生のためにもなる。
■教員の主な意見
・ 入試担当として志願者の減少を感じる。しかし、説明会等を開くと社会人はとても熱心な者が多い。
・ 演習や実習を除き、全ての授業を録画している。出席扱いにはならないが、ビデオを見て復習する学生が多い。理由があれば教員は録画を拒否することもできるが、拒否する教員はほぼいない。
・ 新しい司法試験は考える力が問われる。基礎をしっかりとやり、それを演習等で実務に繋げる。その中で考える力を伸ばせば試験に対応できる。

※一橋大学法科大学院視察関連開示資料

■学生との意見交換
・ 学部4年間で学ぶ法学知識と法科大学院で学ぶ法学知識に違いはあまりないと思うが、実際に起こっている問題に触れるのは法科大学院の方が多い。実社会に近いと感じる。
・ 初めて法律を学ぶ人と、多少学んでいる人が同じクラスにいることで温度差もあるが、良いところもある。
・勉強が大変。すごいスピードで授業がすすんでいく。こんなに勉強したことないと思う位に勉強している。同級生には若者が多く、社会人経験がある人もおり、話していると刺激になる。
・ 自主ゼミの場で答案を書いてみることをしている。そうすることで他人に見てもらえる。またゼミの場でなくてもわからないところを聞いたり、理解したと思っているところを質問されて自分の理解度が弱かったことに気づいたり、他人に教えることで自分の理解が深まることもあり、周りに助けられているという想いはある。
・ 先生に教えられるよりも学生から厳しいことを言われるほうが効く。友達に質問したら嫌がらずに教えてもらえる。
・ 司法試験に3回受験して受からなかったらどうしょうと思う。1発合格しても修習を終えて社会に出るのは28歳の時。
・ 「法務博士(専門職)」をもっていても司法試験に受かっていなければ、司法試験に受からなかった人という烙印を社会から押される。
・ 法曹倫理で、弁護士としての心構えとかをある程度学ぶが、プロフェッショナルとなり自分が人に影響を与えることになるのだと感じるのはエクスターンシップやゼミで学んだ時だった。エクスターンシップでは、紙1枚でその人の人生が決まるんだと思った。
・エクスターンジップは、受け入れ先にもよるが私が行ったところは2週間。弁護士について行って、裁判所に実際に行って通知書を見せてもらったり起案をしたり、どういう業務をしているのかがわかった。
・ 私は都心の出身だが、弁護士となって地方に行くことに抵抗は無い。しかし今後結婚して子どもが出来たら、その地方で満足がいくように育てられるのかと心配に思うことはある。弁護士に限ったことではないが。
■教員との意見交換
・ 他の法科大学院との違う点を上げると、未修1年次は憲法・民法・刑法・刑事訴訟法・民事訴訟法の5科目に集中して教育をしている。その効果を検証したことは無いが、主要5科目に集中させることが基礎固めに役立っているのではないか。
・ 適性試験では良い点を取っていても法科大学院に入ってから伸び悩む学生はいる。この点はもう少し研究をすることで、もっとよい教育が法科大学院で出来るのではないか。
・ なぜ合格率が高いのか、よくわからないところもあるが、理由の一つは定員が適正な規模になっており、教員は学生に目が届き、学生も教員に相談に行ける環境となっていること。二つ目は学生アドバイザーの存在だと思う。
・ 企業の法務部から、学生に興味を持たせるために説明に来てもらうことをしている。また、大学全体ではキャリア支援室というところで法科大学院生についても企業に採用を呼びかけており、数は多くないが法科大学院修了生を採りたいという話も来ている。
・ 教員と学生の比率はそこまで低くはないが、如何に相手を説得するか、学問の性質上答えは1つではないので、ある程度多彩な人材の中で討論ができるようにと考えてやっている。
・ 教員同士だけでなく学生同士でも討論をしていることが、結果として上手くいっているのではないかと思う。学生が討論していてわからなければ、教員を巻き込むようにしている。

« 東大文一、足きりなし確定に思う(追記あり) | トップページ | 司法制度改革を取材するマスコミ記者の方へ »

司法制度」カテゴリの記事

コメント

おそらく、院生達は、進級や単位認定権限を握るローに機嫌を取ってのコメントでしょう。

新司合格者がローのスピーチでは、ローが役にたったと言いながら、個別に聞くと、ローが役に立たなかったと言うのと同じだと思います。

本心はおそらく違う方が多いかもしれません。

法曹養成検討会議で挙げられた院生達の声を見まして、院生達は在学中は声をあげたくても挙げられない状況にあると感じました。

私達が声をあげていく必要があると感じます。

運動論として難しいですが、私が可能な限り記者会見で自分の意見として、ロースクール被害を訴えていきます。

甲南ロー出身の弁護士様 コメントありがとうございます。
やはり大学院の中の、お膳立てされた場で意見を聞いても本音はいいづらいですよね。学生はぜひパブコメで意見を発信してほしいと思います。

ところで甲南ロー出身の弁護士様は今月8日にいらしていましたよね?。ごあいさつができず申し訳ありませんでした。お時間のあるときで構いませんのでFBのメッセージをチェックしていただければ幸いです。

8日は給費制廃止違憲訴訟の東京ラリーで、東北代表で挨拶 しました。
その前の弁護団会議から参加していました。

0302さんも来られてたのですね。

お疲れ様です。

あとでFB見ます。

甲南ロー出身の弁護士様
よろしくお願いします。
何かの手ちがいでメッセージが届いていなければ次回あらためてごあいさつさせてください。

了解しました。

ロースクール生は、ローサイドの広報の際、たいていバイ圧を受けています。

私は経験があるので分かります。

私が司法試験に合格した時に、院長から「甲南ローのおかげで合格したと言え。うちの院生に予備校で合格したとか余計なことは一切言わんとってくれるか」と高圧的態度でバイ圧をかけてきました。
後で知った話ですが、院長は他の合格者にも同様の行為をしていたそうです。

私は院長に対して、これまで意見しませんでしたが、激しく異議を述べて、母校と手を切りました。
それ以来ロースクールや現在の法曹養成制度には不信感を抱くようになりました。

ちょうどその頃にビギナーズネットを知り、それから活動するようになり本日に至ります。

院長のやり取りがなければ、私はビギナーズネットでも活動することはなく、無責任にも合格者インタビューで甲南ロー賛美を述べて、加害者側に回っていたと思います。

多くの院生達はおかしいと思っても、院長やローに、ましてや今の法曹養成制度に 異議を述べることはできません。

それを許さないような雰囲気がローにあると思います。

だから、声を挙げられ、かつ法廷にたてる私達弁護士が後輩達のため、声を挙げる責任があると思います。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/576385/56783106

この記事へのトラックバック一覧です: 続・法科大学院視察の実態:

« 東大文一、足きりなし確定に思う(追記あり) | トップページ | 司法制度改革を取材するマスコミ記者の方へ »

フォト
2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ