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2013年2月24日 (日)

法曹養成制度検討会議第8回会議議事録

以前の記事で、鎌田委員の発言要旨について触れました。具体的にどんな発言をしたのか議事録で確かめてみました。

「若い法曹志願者を養成する立場にある者といたしましては,皆様がそういう人たちにより手厚い支援をすべきであると応援していただけることは大変有り難いとは思っていますが,その原資を法科大学院に対する財政支援を削ってということについては絶対に賛成できないということだけ申し上げておかなければならないと思っています。」

想像以上に露骨な言い方でした。
発言の後、佐々木座長に「事柄の性格上,非常に熱の入った議論が続くのですが・・」なんて言われているので、かなり必死に熱弁を奮ったんではないでしょうか。会議が非公開なので確かめようがありませんが。

国から補助金を受けている業者が“補助金を削るなんて許さん”とクレームを付けている。役所の窓口に押しかけてきた、とかではなくて、補助金に関する事実上の決定権を持つ有識者会議の場で、その委員として。

その後の発言もちょっとアレです。
配付資料
の69ページの表を根拠に給費制が復活すれば「給費分だけで100億円」などと発言していますが、この表は給費に戻した場合の費用を推定する根拠にはならないと思います。
鎌田委員は「司法修習生手当・賞与金関連」という項目の単年度ごとの数字を見て言っていると思いますが、「関連」の詳しい費目が分からない以上「給費分だけで」とは言えないはずです。しかも現行(旧)司法修習の期間は1年を超えているので、単年度中に修習生への給付が2期分にわたり、いわば重複している期間があると考えられます。だとすると、この表に記載されている数字は修習期間を現在の1年とした場合のシミュレートには使えないはずです。

給費制下での支給額については「非修小役人ブログ(仮)」さんが詳細な試算をしています。
「給費制と貸与制の比較」

http://blog.livedoor.jp/matatabifurafura/archives/4360422.html

この試算額をもとに、前記配付資料2ページにある貸与制実施状況の申請額別内訳割合を使って、修習生2,000人として私なりに試算したところ、「給費分だけ」(といっても賞与、各種手当も含む)の年間の経費は約71億円となりました。
奇しくも鎌田委員はこの席で、法科大学院への年間の財政支援が年間総額で「71億円」だと言っていますので、あらやだ、法科大学院への財政支援をやめればちょうとぴったり給費分を賄えるじゃないですか!
そもそも、この日の会議は給費制を議論すると事前に分かっているんだから、事務局は給費に戻した場合のシミュレーション資料を出さなきゃダメでしょう。優秀な官僚なら本来そうすべきと当然考えるはずですから、オモテに出すと都合が悪い数字になったと推測します。
ともあれ、こんな公の重要な会議で、確たる根拠にならない数字を持ち出して持論を展開するのはやめてほしいです。

そのあともアレな発言が続きます。
貸与制が志願者減の主要な原因ではないという主張の根拠を

「その一つは給費制から貸与制に切り替わるということはスタート時点から決まっているわけです。今入学して,自分が試験を通ったら貸与制になるという年に受験者が激減したかというと,それは一貫して減っている波からほとんど変化はないわけです。」

と自虐ネタで説明。

「恐らく全ての法科大学院は大赤字でいる」

という発言は学部生、ロー以外の大学院生は覚えていたほうがいいと思います。支払った学費の一部が自分たちへのサービスではなく、法科大学院の赤字の補てんに使われている可能性が高いということです。

あと

「(ロー生が)数年間百数十万円を払って,そして3回試験を受けても未修者の場合には合格率が50%を切っている。そして司法試験に合格しないと,返還猶予などなくて,在学中の奨学金はすぐに返させられるわけであります。そういうところの障害の方がはるかに大きい。」

と言ってるので、ロー生の経済的負担が大きいという認識はあるようです。こうした状況下でもしローへの補助金が削減された場合、授業料を値上げするのは忍びないので、受験資格制限を撤廃してローに通わなくても受験できるようにすべきと考えるのが学生のためだと思うのですが、なぜか

「多分授業料は更に上っていくわけであって,入り口でかなりのリスクを引き受けながら,しかも時間とお金をかけなければいけないというところの負担感の方がはるかに大きくなる。」

とか言っちゃう。
あくまで自分の実入りのことしか考えず、補助金カット分の補てんは学生側に転嫁する腹づもりのようです。

ロー擁護派の正体見たり、です。

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コメント

>という発言は学部生、ロー以外の大学院生は覚えていたほうがいいと思います。支払った学費の一部が自分たちへのサービスではなく、法科大学院の赤字の補てんに使われている可能性が高いということです。

どういう意味ですか?
教育サービスへの支出をしているから赤字になるんでしょ?

situmon様 分かりにくかったですね。すいません。

法科大学院部門の経営が大赤字の中で、大学全体の経営を維持するとすれば、大赤字のしわ寄せを大学内の他部門がかぶることになるのではないか。そうだとすると、法科大学院生「以外」の学生(学部生、ロー以外の大学院生など)が大学に払うお金も一部は、自分たちとは無関係な法科大学院の運営費に回っている可能性が高いのではないかと、いうことを言いたかったのです。もし法科大学院部門が大学経営とは切り離された独立採算部門であれば、話はまた別ですが。

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