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2013年2月27日 (水)

国の審議会について思うこと

以下は学問的に検討したものではなく、単なる感想です。

法曹養成制度検討会議や法科大学院特別委員会など、国の各種審議会の議事録を読んだり、実際に傍聴してみて思うのは、審議会というのは行政側がやりたい政策を遂行するに当たって実に都合のよい組織ではないか、ということです。

行政機関(具体的には官僚)が、ある政策を遂行したい時には、国民の理解(あるいは無関心)が必要だと思います。そのためには議会の反対とマスコミの批判を極力抑えることが重要です。
それなのに行政側が何の根回しもなく「こんなのことをしたい」と主張するだけでは、「それやる必要あんの?」「本当に効果あんのか?」「金かかりすぎじゃね?」みたいな反論を受けてしまいます。

そこで、行政が高度に政策的専門的になっていることを逆手にとって「私(行政側)じゃなくて、権威ある有識者様がやりなさいと言っているんですよ」というフィルターを中間にかますわけです。それが審議会の意見書とか答申に当たるものです。フィルターではなく「ご隠居さまの印籠」と言い換えることも可能です。

これに対し議会やマスコミは、もともと専門的知識のある人たちの集まりではありませんから、専門家(その代表は学者)といわれる人たちの意見に反論するだけの知見を持ち合わせていない場合がほとんどだと思われます。
さらに審議会に「民間(団体)代表」という人が加わると、議員にとっては「票田」として、マスコミにとっては「販促対象」としての庶民の意見に異論を唱えるのが躊躇されます。特にマスコミは「反権力で庶民の味方」という形式的なスタンスが刷り込まれているので、「権力側でなく民間(庶民)側の意見ですが、何か?」と言われてしまうと、ペンの矛先がついつい鈍ってしまいます。

さらにマスコミにとって弱みなのは、審議会のメンバーにマスコミ代表が入っている場合です。
審議会メンバーのマスコミ代表はたいてい、その社の中でそこそこ偉い人(元職なら偉かった人)ですから、同じ会社の現場の記者は、審議会の答申や意見に反対するような記事を書きづらい風潮が生まれる可能性を否定できません。

こうして官僚は、第三者機関として中立公正かつ専門的な審議会の意見を仰ぐというという形式をとりつつ、自らにとって都合のいい結論を出してくれそうな学者(いわゆる「御用学者」)、民間代表、マスコミ代表が多数派を形成できるように委員を選べば、議会やマスコミの反対をかわして、やりたい政策を遂行できるのではないか、というのが私の素人考えです。

そんなことを考えながら今の国の審議会のメンバーをみると、意外と同じような人がやっているんですね。

おなじみの鎌田薫委員は「法曹の養成に関するフォーラム」「法曹養成制度検討会議」「中央教育審議会法科大学院特別委員会」という近時の司法関係主要3会議のほか、最近ニュースになった「教育再生実行会議」「法制審議会民法(債権関係)部会」の主要メンバーとしても活躍されています。
また、同じくおなじみの井上正仁委員も鎌田委員と同じ主要3会議のほか、取り調べの可視化などをテーマに、やはり最近ニュースになっている「法制審議会-新時代の刑事司法制度特別部会」の委員としても論陣を張っておられます。

でも、思うんです。

審議会のメンバーにいくつも重用されている方は、自分の研究や活動が評価され、自説や持論を実践できる絶好の機会で光栄なこと、と受け止めているかもしれません。

しかし、行政側はもしかしたら、自らの都合のいいように動かす「あやつり人形」のように思っているだけではないか、という疑念も払拭できません。

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コメント

そして審議会では,
・一応反対派と目される人物も入れておく。
・とても全部は読めない分量の資料を作成して,審議自体も,テーマと時間配分を絶対に「活発な議論」などできないように設定する。
・その資料の説明は,絶対否定できない大義名分から始まってそれに沿うように整然と論理が展開されているようだが,どこかにこっそりと官益が,それも多くの場合には天下り先が確保されるように盛り込まれている。だが,これは絶対に前面に出ないように組み込まれている。
・かくして,反対派の声が申し訳程度に議事録に載るだけで,あっさりと承認された形にする。
・もちろん,たとえ訴訟になっても,「わざわざ審議会でも揉んでみたうえで承認されている」から合理的な施策だとして,違法性微塵もなし(ないし合憲)となる(というより,裁判官は訴状を見た瞬間から結論決まってます)。

審議会とはそういう手続きです。

>・一応反対派と目される人物も入れておく。

「新時代の刑事司法制度特別部会」のメンバーでは村木厚子さんや周防正行さんがそうですね。多数派が御2人の意見を抑え込んで押し切ろうとしているみたいですが。

法科大学院受験資格要件強制制度や貸与制、法曹養成検討会議について、先週金曜行動の懇親会で市民の方々に話してきました。
話してみますと、市民の方々は、「その会議のやり方は、原子力規制委員会と全く変わらない。」と話していました。
法曹養成検討会議にしろ、原発問題にしろ、国の嫌な体質が出てきていると思います。

福島県の方で、ロースクール受験資格要件強制と貸与制、給費制廃止違憲訴訟の広報を市民の方々に個別に伝えていきます。
個別に伝えていくと、市民の方々は、関心を持って聞いてくれますし、ロースクールや貸与制に批判的な声も聞けました。
これからも継続していきます。

最近思いますが、ロースクールや貸与制を始めとする法曹養成制度の問題と原発問題は、当事者の声を聞かない、誠実に向き合わない、反対の声を無視して進めて問題があっても誰も責任をとらないで更に同じことをやって被害を拡大させ、現実を見ないで結論ありきで自分たちに都合が良いデータしか見ず、委員もほとんど利権団体で構成され、 当事者の犠牲の上に利権団体が利益を得ている点において、 何も変わらないと思います。


甲南ロー出身の弁護士様

>反対の声を無視して進めて問題があっても誰も責任をとらない

おそらくLS制、貸与制も将来、破綻が明白になった時「理念は正しかった」と強弁して誰も誤りを認めず、責任をとらないと思います。

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