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2013年3月18日 (月)

「3000人枠撤廃へ」の朝日記事の背景を探る(追記あり)

前回のエントリーで取り上げた朝日の記事について「元「法律新聞」編集長の弁護士観察日記」の最新のブログ記事が背景を分析していて、なるほど、と思いました。
私もこのブログ記事を参考に、朝日の記事の背景を読み取ろうと思います。

この記事で私が思った点は以下の通りです。

・記事は朝刊1面で国家の基本政策の転換を報じるもので「飛ばし記事」だと大恥じになる。なので内容の真実性には確たる自信があるはず。
・他紙の「後追い」記事が現時点(18日午後)で見当たらないことからみて、情報源は特定の有力者(政府幹部とか高官とか)ではなく、法曹養成制度検討会議の議事の流れ、複数の有力委員や官僚の見立てなどの丹念な取材から総合的に判断したものと考えられる。東北学院ロー撤退をスクープしたことも併せて考えると、朝日がこのところ法曹養成制度の現状の取材に力を入れている可能性がある。
・この記事の執筆者名が同紙の司法関連記事では見かけない名前である。
・この手の記事に通常、付随する解説的な関連記事(たいてい2面か3面、あるいは社会面にある)や、翌日あたりに出る関連社説がない(18日午後現在)。社説などの内容を慎重に検討している可能性がある。
・記事では日弁連の言葉を借用しつつも、需要が伸びない現状をわりと率直に認めている。「ニーズを掘り起こせ」としてきた従来の論調からすると、かなり異質。

これらのことから私は、政府内のみならず朝日新聞内で、司法制度改革のうち、少なくとも法曹養成制度に関する社論の転換が始まりつつあるのではないか、と勝手に想像しています。

法科大学院を中核とする法曹養成制度はもはや破綻が明白ですから、改革の旗を振ってきた個人・団体に対し、のちのち責任論が降りかかるのは確実です。それをかわすためには、できるだけ速やかに、ただし「手のひら返し」と非難されないよう、一気にではなく徐々に「泥舟からの下船」を図る必要があります。

この記事は、マスコミ論調の変化の兆し、ターニングポイントになるような気がします。

※追記(3月23日)
コメント欄にも書きましたが、私の見込み違いがありました。
本日(23日)の日経朝刊などに後追い的記事が出ています。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2206E_S3A320C1CR8000/

そこでは「中間提言案をまとめ」と書かれ、事務局(官僚)作成のたたき台が存在することを示唆しています。なので朝日の記事も証言取材などを積み上げたものではなくて、単に官僚からたたき台のペーパーを入手しただけのようにも思えてきました。
そうだとすると、朝日の記事は必ずしも委員の意思ではなく、官僚の意思を強く反映したものと言えそうです。第10回会議の議事録を見ていないので何とも言えませんが、もし委員(特に有力委員)への根回しに先だってこの記事が出たとすれば、官僚が新聞記事を通じて目標撤廃の「既定路線化」を狙ったか、世論や委員の反応をとりあえず探ろうとした「観測気球」のような気もしてきました。そうだとすると、朝日の路線転換が始まった、と判断するのは早計かもしれません。

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コメント

鋭い分析ですね。感服しました。

泥船ですが、日弁連はまだまだ泥船から降りるつもりはないようですよ。
日弁連Newsを見ているだけでもわかります。
なにしろ日弁のオブザーバーが、貸与制を前提としつつ、実費のみの支給という妥協策(これは給費とはまったく意味合いが違う)も「尊重」と言い始めているからです。
あくまでも、LS陣営とは、共同歩調ってことなんでしょうかね。あれだけ裏切られまくってるのに健気なことだと思います┐(´∀`)┌

>弁護士HARRIER先生
一点、私の見込み違いがありました。
本日(23日)の日経朝刊などに出ている朝日の後追い記事には「中間提言案をまとめ」と書かれ、事務局(官僚)が作成した案文(いわゆる「ペーパー」)が存在することを示唆しています。なので朝日の記事も証言取材を積み上げたものではなくて、単に官僚からペーパーを入手しただけのようにも思えてきました。
そうだとすると、朝日の記事は必ずしも委員の意思ではなく、官僚の意思を強く反映したものと言えそうです。第10回会議の議事録を見ていないので何とも言えませんが、もし委員(特に有力委員)への根回しもないままこの記事が出たとすれば、官僚が朝日を通じて目標撤廃の「既定路線化」を狙ったか、世論や委員の反応をとりあえず探ろうとした「観測気球」のような気もしてきました。そうだとすると、朝日記事は単に官僚に利用されただけで、朝日の路線転換が始まったと判断するのは私の早とちりかもしれません。

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