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2013年5月18日 (土)

予備試験報道に変化の兆し(追記あり)

司法「予備試験」に志望者殺到 本試験上回る見通し(日経、2013/5/18 2:00)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1703W_X10C13A5CC1000/

法科大学院を修了しなくても司法試験の受験資格が得られる「予備試験」に、法曹志望者が殺到している。制度開始3回目となる今年の受験者数は、7183人だった昨年から大幅に増加する見通しで、司法試験本体(速報値で7653人)を初めて上回る可能性が高い。試験が19日から始まる中、法曹志望者の法科大学院離れの傾向が顕著となった。

ニュースの意義付けは「法曹志望者の法科大学院離れの傾向が顕著」という程度で、今年の法科大学院入学者数の報道時とあまり変わりません。ただ、従来の予備試験関連報道とは若干ニュアンスが異なる印象を受けます。

本題に入る前に、ほかのマスコミ報道にも見られる不正確なデータ表記を指摘しておきます。

人気が過熱したのは、予備試験通過者の昨年の司法試験合格率が68%と、法科大学院平均の25%を大幅に上回ったことなどがきっかけだ。

他の記事でも、昨年の法科大学院修了者の合格率が25.1%であるかのような記述を見かけます(たとえばこの記事)。
しかし、「25.1%」は予備組も含んだ数字であり、予備組を除く法科大学院修了者だけの合格率は24.6%です。この日経記事も25%の前に「約」がついていないので概数ではなく、「25.1%」の近似値として表記したと考えられますが不正確です。

それはさておき、その後の記事をみてみると

 一方、法科大学院の今春の志願者は前年比25%減の1万3924人、入学者は定員の63%に当たる計2698人どまりで、予備試験との明暗が分かれている。

と、予備試験を「明=プラス」、法科大学院を「暗=マイナス」というイメージで捉えています。

 予備試験の合格率は11年に1.8%、12年は3.0%と超難関で、知識偏重と批判された旧司法試験と出題などが似通っている。超難関であることから、予備試験経由の司法試験合格者には弁護士事務所からの引き合いも強いとされ、法曹志望者をひき付けている。

予備組が就職に有利とされる傾向を明確に伝えたマスコミ報道に私が接したのはこれが初めてです(既報の見落としがあったらすいません)。同時にこの記述は、合格後の就職難という背景事情の存在も示しています。

 司法試験予備校では、予備試験講座の人気が高まっている。資格取得予備校を展開する「TAC」(東京)では今年、予備試験講座に想定の6倍が受講している。予備試験を法曹への「最短ルート」とのPRを展開する司法試験予備校もあるという。
 TACの担当者は「多額の学費を払って法科大学院に進学しても受かる保証はない。自分に実力があるか、腕試しで予備試験を受ける人も多いようだ」と分析する。

まだ不十分ですが、法科大学院の多額の費用負担の問題という、LSの欠点の一つを取り上げているのは好感が持てます。“「腕試し」層も多い”との分析も納得感あります。日弁連関係者の「司法試験の傾向をつかむため」なんていう間の抜けたコメントよりはるかにましです。
本当は「
多額の学費を払って2~3年を浪費する法科大学院に進学しても受かる保証はない上に受かっても法曹になれる保証もない。それなれば費用がかからず、働きながらでも受験できて、最終合格後の就職にも有利とされる予備試験経由で法曹を目指そうという人が増えるのは当然だ」(赤線部筆者加筆)くらいのコメントがほしいところ。ただ、法科大学院入試の講座もある予備校がLSをdisるのは、これが限界でしょう。

予備試験の人気は法科大学院の不人気の裏返しです。ですから予備試験人気の理由を探るなら、法科大学院不人気の理由を詳細に分析すれば足ります。ところがこれまでの報道は、官僚や法科大学院側の説明を鵜呑みにしてLS不人気の理由を合格率の問題に矮小化し、LSの弊害に目を向けず、予備試験受験をいかに制限するかばかりに着目していました。記事中のコメントも法科大学院や法務省関係者ばかりでした。
しかし、今回の記事は、まだ不十分ならがも、予備試験人気の理由を現実に即して率直に探ろうとしている姿勢がみられます。

※追記(18日午後16時50分)
こういう関連記事があったのに気付きませんでした。

「理念危うくする」 予備試験、見直し論議も(2013/5/18 2:00 日本経済新聞 電子版)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG17044_X10C13A5CC1000/

内容はリードから先が読めないんですが、SchulzeBLOGさんによれば、例によって法科大学院関係者のコメントや受験資格制限の話が載っているそうです。本エントリーの見出しの「変化の兆し」は私の早とちりである可能性が高いです。申し訳ありませんm(_ _)m
(似たような早とちりを前にもやらかしました。私が悪いんですが、それもマスコミの論調の変化に大いに期待しているからこそ。再び期待を裏切られ、心底、残念です)

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