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2013年5月20日 (月)

予備試験は「バイパス」でも「近道」でも「抜け道」でもない

予備試験&司法試験を受験されたみなさん、大変おつかれさまでした。

予備試験では論文試験までの期間が旧司より短いので、数日、心身を休めたら早速、論文対策に着手すべきと思います。

さて、法科大学院入学者の激減と絡んで、予備試験人気を伝える報道が目立つようになりましたが、記事中の関係者の話などの中で予備試験を

「バイパス」
「近道」「ショートカット」
「抜け道」

と位置付けることがあります。

しかし、どれも適切な表現ではありません。
このことは以前のエントリーでも指摘しましたが、最近、予備試験を目の敵にする勢力が予備試験に対するマイナス表現として頻繁に使うようになったので、あらためて指摘しておきます。

【バイパス】=goo辞書
1 交通量の多い市街地の道路の混雑を避け、車を迂回(うかい)させるために設ける道路。
2 血管に閉塞(へいそく)部が生じたとき、手術によって人工血管や本人の静脈を用いて作る側副路。「―手術」

予備試験をバイパスに例えると、「交通量の多い市街地の道路」「血管」が法科大学院ルートであり、それが「混雑」「閉塞」していることが前提となります。
しかし、法科大学院の9割以上が定員割れで、上位ローにこだわらず就学資金さえ調達できれば入るのもさほど難しくない法科大学院ルートが「混雑」閉塞」しているとはいえません。
仮に進級・終了要件が厳格になった状況を「混雑」「閉塞」と捉えたとしても、合格率3%という超狭き門である予備試験が、その程度の「混雑」「閉塞」を回避するルートに当たるとは到底思えません。

予備試験を「バイパス」に例える表現は不適切です。

【近道】=デジタル大辞泉(「ショートカット」も同義と思われる)
1 目的地に早く行ける道。「―すれば十分で家に着く」
2 目的に早く達する方法。てっとり早い手段。早道。「出世の―」

司法試験受験資格を得るまでにかかる年数は法科大学院ルートは通常2~3年。
一方、予備試験はまだ2回しか行われていませんが、合格率3%の旧司並の難関と考えると、通過するまでに「4~5年必要ということになってしまう」(辰巳法律研究所HPより)とのこと。
すると、予備試験は、法科大学院ルートに比べて「目的地(司法試験受験資格取得)」に「早く行ける道」「早く達する方法」「てっとり早い手段」のいずれにも該当しません。
したがって予備試験を「近道」に例える表現も不適切です。
むしろ、お金と時間に余裕がある人にとっては、通常2~3年で受験資格を得られる法科大学院ルートの方が「近道」であると言えそうです。

【抜け道】=goo辞書
1 本道をはずれた近道。間道。「―を使って先まわりする」
2 逃れる手だて。また、逃げ口上。口実。「法の―」

ロー推進派からみてローが「本道」であるとしても「近道」に当たらないのは前記の通り。
また、7割程度が標準修業年限(2~3年)で修了できる「本道」ではなく、あえて、それよりはるかに狭く、イバラで覆われた予備ルートに進むことが「逃れる手だて。また、逃げ口上。口実」に当たるはずがありません。
ちなみにウィキペディアで「抜け道(ぬけみち)」は、「一般にあまり知られていない道路」とされていますが、予備試験ルートの存在は誰でも知っています。
以上から予備試験を「抜け道」に例える表現も不適切です。

報道で予備試験を位置付ける際に一般的な表現としてこれらの言葉を使うのは誤用ですし、関係者の言葉を引用する際にも誤用であることを前提とした伝え方が望まれます。

報道のみならず予備校が予備試験ルートに誘う宣伝文句として「近道」とか「バイパス」という言葉を使えば、これも不適切です。
あと予備校がよく使う「最短ルート」というのも、たった3%の人にしか当てはまらないことを同時に強調しないと、法科大学院と変わらない詐欺的態勢とのそしりを免れません。

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コメント

適性出願者数がアップされました。
第1回(2013年5月26日)……4,387名(対前年比15.4%減)
第2回(2013年6月 9日)……4,965名(対前年比16.8%減)
https://www.jlf.or.jp/jlsat/pdf/20130517_shigansha.pdf

>>予備試験を「近道」に例える表現も不適切です。

予備試験は,法科大学院修了と同等の基本を問う試験なので,4~5年もかかるはずがないと思います。法科大学院の修了年限である2年以内で合格すべき試験であり,それ以上かかっているようでは,試験制度そのものに負けたことになります。

「1 目的地に早く行ける道。」に該当するものと思います。予備試験でいくかぎり,法科大学院でのつまらない人間関係(相撲部屋のような人間関係・法治主義の妥当しない世界),つまらないレポートに悩まされずに済むのは大きいと思います。

>ヤンバルクイナ様
情報ありがとうございます。
データの的確な評価はSchulze先生にお任せするにしても、
坂道どころか、ほぼ崖から落ちるような激減ぶりですね。
実受験者数はもっと減るでしょうし、さらに拙ブログに以前書いたように、適性試験を受験してもロー受験をやめる人が意外と多いとみられるので、来年度は法科大学院実受験者が法科大学院総定員に限りなく近づく(もしかしたら下回る)ことになると思われます。

>2番目にコメントいただいた方
たしかに法科大学院修了と同等の基本を問う試験なのですが、実際には運用がそうなっておらず、過度に狭き門にさせられています。そこは問題だと思います。
それと、ごくごく少数ながら予備試験を2回以内で合格した人は一見「近道」を通ったように見えますが、1発合格の人でも初回受験前に最低1年以上は専門の受験勉強をしているでしょうから、やはり2~3年程度は時間がかかっていると思います。
もっとも法科大学院生に比べればふだんから試験に直結する勉強をすることになるので、資格取得までの時間の問題ではなく、勉強内容という実質面の問題と捉えれば、ローより「てっとり早い手段」に該当するかもしれません。

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