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2013年6月 5日 (水)

法曹の質を犠牲にしても法科大学院を守りたい座長試案

法曹養成制度検討会議第13回の事務局提出資料の81ページ「座長試案(司法修習生に対する経済的支援について)」では貸与制を前提とした上で,転勤旅費の支給等に加え、修習専念義務の緩和を提案しています。

貸与制を維持しつつ、修習専念義務を緩和すると判断したということは、貸与制の趣旨と修習専念義務の趣旨をてんびんにかけて前者の方が重要だと考えたものと思われます。

ではそれぞれの趣旨は何でしょう。

貸与制の趣旨は、法科大学院を中核とする法曹養成制度の整備を含む司法制度改革に金がかかるので、財政負担を国民の理解が得られる合理的範囲にとどめることです(第8回会議の「資料3事務局提出資料(経済的支援関係)」1ページ参照)。

他方、修習専念義務の趣旨を端的にいえば、法曹の質の維持・向上という司法修習の目的をまっとうすること。義務の内容は「修習期間中,司法修習生が,全力を修習のために用いてこれに専念すべきであること」(最高裁HP)です。

ということは座長試案は、法科大学院制度の維持を含む司法制度改革を推進するほうが、司法修習を通じた法曹の質の維持・向上より重要であり、改革のためなら司法修習が多少おろそかになっても構わないという判断に基づいているといえます。

ただ、もし法科大学院が司法修習の代わりになるのであれば、そういう判断にも一定の合理性を見いだせそうです。
でも「
従前の司法修習における前期修習を法科大学院がすべて代替するという前提には立っておらず,そうすることは現実にも困難である」(「法曹の養成に関するフォーラム論点整理(取りまとめ)」より)らしいし、実務修習も代替できないでしょう。だとすると、座長試案の判断の根底には、法科大学院制度を維持するためには法曹の質を多少犠牲にしても構わない、という考え方があると捉えるしかなさそうです。

理屈なんか抜きにして、とにかく何がなんでも法科大学院制度を守る―。
この会議はもはや、そんな利権団体かカルト集団のようなものにしか見えません。
(ただし守るのは上位ローだけです)

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