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2013年7月 3日 (水)

「多様な法曹のため」なら即刻、受験資格要件を撤廃すべき

昨日取り上げた朝日の社説の趣旨をかいつまんでいえば“「多様な法曹」を実現するために法科大学院を減らさず、増員路線を堅持し、司法試験もあらため、もっと需要を開拓せよ”ということになろうかと思います。

しかし、「『多様性確保』失敗のとらえ方」(元「法律新聞」編集長の弁護士観察日記)が「在学中から受験して実力を試せ、さらに社会人になってからも、働きながらコツコツと勉強して何度でも気力の続く限りチャレンジできる旧制度の方が、「広く門戸」を開いているのは、はじめから明らかでした」と指摘している通り、ふつうに考えれば受験資格と受験期間に制限を設けない制度の方が多様な人材を集められるに決まっています。司法試験に向かう入口のところで「時間的経済的地理的に法科大学院に通えること」という条件を付けて多様性を阻害してしまえば、出口をいくら増やしたところで多様性が実現するはずがないのです。
こんな簡単なことをいつまでも分からない人がいるので、過去のエントリーで検討した新旧の比較データをまとめて再録します。

1・法曹を目指そうとする人(「入口」段階)の多様性
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-a18e.html
社会人(旧司は有職者)の数と全体に占める割合

     ロー入学者  旧司受験者
H16  2,792(48.4%)   10,667(24.6%)
H17  2,091(37.7%)    10.084(25.6%)
H18  1,925(33.3%)      8,880(29,4%)
H19  1,834(32.1%)     7,650(32,8%)
H20  1,609(29.8%)     6,532(34.9%)
H21  1,298(26.8%)     5,667(37.2%)
H22   993(24.1%)     4,998(37.8%)
H23   763(21.1%)
H24   689(21.9%)

法科大学院制度のスタート後、ローに行けない有職の法曹志願者が旧司の方で法曹を目指した傾向が伺えます。

2・司法試験合格者(「出口」段階)の多様性
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-70ef.html
非法学部系出身者の合格者の割合を未修者の受験が始まった平成19年度以降で比較(単位%)

      新試験  旧試験
H19   22.26 ≒ 22.98
H20   21.65 ≒ 20.83
H21   20.85 < 27.17
H22   19.05 < 22.03
H23   18.13    33.33
※ただし23年度の旧司合格者は6人

非法学部系合格者の割合は新旧同程度か、旧の方が上です。

以上のように新制度では入口で多様な人材がはじかれ、出口でも旧制度と比べて非法学部系が受かりにくくなっていることがデータからも分かります。朝日が本心から「多様な法曹」を求めているなら即刻、受験資格・期間の廃止を主張すべきです。

ちなみに、私自身は法曹界に多様な人材を集めるべきと積極的に考えているわけではありません。法科大学院推進派が「多様性」という概念を持ちだして改革の理念をやたらと持ち上げるので、それに合わせて多様性をモノサシにして理念倒れの現実を指摘しているにすぎません。

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