« 受験時代から司法試験ブログを読むべきだった・・orz | トップページ | 論文本試験での不可解な思い出 »

2013年7月12日 (金)

法曹養成制度検討会議第14回会議議事録

今さらですけど、法曹養成制度検討会議第14回会議議事録を司法修習生への経済的支援の部分に限って読みました。

和田委員が早稲田、中央といった「定評のある法科大学院」でさえ志願者が減り定員割れしてる現状を指摘した上で「司法修習生の給費制さえ復活しないというのであれば,私は,定評のあるとされる法科大学院の将来もないということになると思いまいます」と指摘。上位ローの維持存続にとっても給費制が必要と訴えています。
しかも和田委員は法科大学院側の事情にも配慮し、法科大学院への補助金を削って給費制に回せ、という主張を展開しないで
「予算を法科大学院にも司法修習生にも配分してもらうように考えるべきではないでしょうか」と提案しています。

法曹志願者の激減に歯止めをかけることは法科大学院にとっても喫緊の課題でしょうから、この提案には法科大学院側も乗れるのではないでしょうか。
法曹を目指す人材をいかに確保するか、という点において、給費制の復活は、復活を求める側と法科大学院側の双方にとって「共通の利益」であり、「共通の敵は財務省」と考えることもできます(財源調達のハードルは高くなりますが)。

ところが鎌田委員にこの訴えは通じませんでした。

鎌田委員によると、学生1人に対し大学側が年間で約250万円程度を費やす一方、授業料(学費)は1人150万円。

単純計算で学生1人当たり年間約100万の赤字ということになります。

その上で鎌田委員は続けます。

赤字の分を大学はどうしているかというのはいろいろありますけれども,しかし法科大学院生は生活費プラス150万プラス学習経費を負担しているわけです。そういう法科大学院全体に出ている公的補助金は多分7~80億ぐらいだったと記憶しています。
 法科大学院に入って勉強するためにはものすごい経済的な負担を覚悟して,翁委員がおっしゃるように相当の年数も覚悟して,そして思ったように合格率が上がっていないとなると,それで合格できない,合格できない人の就職先は非常に狭い。しかも,ここには修習生の返還義務のように,5年据え置きでその後は無利子というような特典はないわけでありますから,受験生活が終われば,奨学金は直ちに返し始めなければいけない。
 こういう中で,法科大学院の側からすれば,それは修習生に手厚い支援をしていただけるのは我々も若い人を養成していますから大変ありがたいことだけれども,優先度はどこにあるのかというと,司法試験に通った人と通るかどうか分からない中で苦労している人,それから生活費プラス学習経費を負担している人の負担を軽減するという意味ではまだまだ支援は不足しているので,先ほど申し上げたように,それを削って合格した人に回すというのは法科大学院の側から言うと納得はしがたいということを申し上げさせていただいた次第でございます。

ちょと分かりにくい部分もありますが、最後の一文からみて要するに、公的支援は既に合格した人より、合否が決まっていない状態で苦労している現役大学院生を優先すべし、と言っているようです。一見、法科大学院生の経済的負担を気遣っているようにみえますが、私には
“大学経営のために赤字分は国で補填しろ”
って言っているだけにしか読めません。
だって、法科大学院は法曹養成機関の一つですから、いくら合格率が芳しくないからといって、学生が合格できないまま受験生活を終える場合を前提に、そういう学生を優先的に考えるのはおかしい。現役ロー生は全員とはいわないまでも、ほとんどがいずれ司法試験に合格し、必ず司法修習に行くという前提で考えなくてはいけない。だとしたら司法修習生への給費は現在の早稲田ロー生が将来、受けることになる利益です。もし本心から学生の経済的負担を気遣っているなら給費制を主張するのが当然ではないですか。

給費と補助金は二者択一の関係にあるという考えから、補助金をもらいながら給費もよこせ、なんてずうずうしくてお上に言えない、っていうことなんでしょうか。

それにしても最後の一文の

「それを削って合格した人に回すというのは法科大学院の側から言うと納得はしがたい」

という発言には恐れ入りました。
利害関係者によるあからさまな利益主張。こんな会議、「有識者会議」でも何でもありません。

« 受験時代から司法試験ブログを読むべきだった・・orz | トップページ | 論文本試験での不可解な思い出 »

司法制度」カテゴリの記事

司法試験」カテゴリの記事

コメント

補助金はロースクールにに回せと言いながら、ロースクール生の負担は全く軽くならず、私の友人は仕事2つかけもちしながら、ローの借金を返しています。
結局、補助金で潤っているのは、大学やローの教授のみで、ロー生は何ら利益は得ていません。
ロー側の本音は、受験生や修習生が借金付けで不幸になっても構わないから、自分たちさえ、安泰ならば構わない。
利権団体の本質が見え隠れします。
このような利権団体に、国民の権利の担い手たる法曹を養成する資格はありません。

>甲南ロー出身の弁護士さん
ロー経営は赤字、学生は出費がかさんでかわいそう、だから補助金を減らすな、というだけで学者教員の人件費を減らすとは言わない。ロー側は本音では学生の経済的負担のことなんかちっとも考えていないと思いますよ。本当に考えているなら人件費抑制して学費を値下げすることを考えるでしょう。

私のブログでも第14回の議事録を取り上げましたが,同じ資料でも見る人によって印象は大分異なるものなんですね。

>黒猫先生
私は経済的支援のところしか見ていないのですが、和田先生発言の「ある意味で非常に分かりやすい議論をされていた」という部分は鎌田委員への痛烈な皮肉がこめられていると私も思いました。

とにかく、ローまず有りきの主張ですね。
ローを残して金を還流させようとする、悪質な利益誘導です。
我田引水。

>弁護士HARRIER先生
まさしく。
目的(法曹と、その卵である司法修習生の養成)と手段(法科大学院の教育や経営の維持)をはき違えて、手段の方に優先的にお金をよこせ、というのが鎌田委員の主張だと思います。

さすがだと思います。
そういう利益誘導発言ができなければ委員にはなれません。
そういう利益誘導発言ができなければ総長にもなれません。
しかし、あまりにも露骨すぎます。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/576385/57771917

この記事へのトラックバック一覧です: 法曹養成制度検討会議第14回会議議事録:

« 受験時代から司法試験ブログを読むべきだった・・orz | トップページ | 論文本試験での不可解な思い出 »

フォト
2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ