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2013年10月29日 (火)

【番外編】合理的な予備試験合格者数は?

以前のエントリーのコメント欄に最近寄せられた問題提起を機に、予備試験答案のレベルと合格最低点の関係について私見を記します。
※長文注意

たしかに試験委員の「採点における目安」として「優秀」「良好」「一応の水準」「不良」という区分がありますが、これらの区分が「予備試験合格ライン決定における目安」としても妥当するかは疑問です。

司法試験は将来の法曹を選抜する試験ですから、ある程度の学力の保証がないといけません。それゆえ「不良」答案は絶対に合格させない、という判断にも合理性があります。短答、論文の最低ラインが定められているのは学力の最低保証を図る趣旨だと思います。

でも、予備試験はあくまでロー修了者と同等の学力・能力があるかを見るだけです。法曹としての学力・能力の有無はその後の司法試験でフィルタリングすれば足ります。それゆえ司法試験とは異なり、学力の最低保障を図るための最低ラインが現時点では設けられていないのだと思います(今後、変更があり得ます)。仮にロー修了者の予備試験受験生から「不良」答案が続出したとしたら「不良」レベルの予備合格者を出しても何らおかしくないはずです。
司法試験委員会または考査委員会議がロー修了者の学力・能力との比較を抜きに「不良レベルだから合格させない」と判断したら、それは予備受験者が本試験受験機会の点で不利益を受けないよう合格率均衡を要請する閣議決定の趣旨に反することになると私は思います。

もっとも、そうはならない別の解釈の余地があります。司法試験法5条1項における「同等の学識及びその応用能力」の比較対象を「現に存在する具体的なロー修了者」ではなく「司法試験委員会が想定または理想とする抽象的な、あるべきロー修了者」と解することです。前者は司法試験を目指す受験者層の中での相対評価(実在するロー修了者と比べて同等またはそれ以上の学力かを判断すればよい)、後者は絶対評価(現実のロー修了者の学力とは無関係に考査委員が想定する学力レベルの基準に達しているかどうかを判断する)と言い換えることもできると思います。
前者と解せば、ロー修了者と予備合格者の司法試験合格率が均衡するまで延々と予備試験合格者数を増やし続けるのが筋です。
一方、後者であれば司法試験(考査)委員が想定または理想とするレベルで予備合格ラインを切ることも可能です。
たとえば同様に受験資格を得るための試験である「高等学校卒業程度認定試験」(旧大検)は「高等学校を卒業した者と同等以上の学力があるかどうか」を判定する試験ですが、合格レベルは現実の高卒者との比較によるのではなく、絶対評価だと思われます。

しかし、予備試験合格者の2年連続の大幅増は、閣議決定に即して司法試験合格率不均衡を解消しようとしたものと考えられることから、司法試験委員会が絶対的基準を採用しているとは考えにくいと思います。
そもそも司法試験委員会自身が定めた「予備試験の実施方針について」の中に、答案の絶対的な出来不出来で合否判定する方針は盛り込まれていないので、「不良だから合格させない」とするのは考えにくいと私は思います。

以上、まとめますと、司法試験委員会が「不良」答案なら合格させないという理由から一定の点数に合格最低ラインを引くことは考えにくいと思います(最低ラインを引くとすれば別の理由による)。もし司法試験委員会がそのような判断をしたら、それが制度的に許されるかどうか疑念を禁じ得ない、というのが私の考えです(新たな閣議決定等が出れば話は別です)。

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