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2013年10月31日 (木)

予備試験合格者抑制の拠り所

 法科大学院擁護の立場から疎ましがられている予備試験をしぼませる方法として、受験制限と合格者数抑制が挙げられると思います。いわば「入口」と「出口」をそれぞれ狭めてしまおうという考えです。
 「入口」を狭めるには制度変更が必須ですが、「出口」の方は現行制度の中で司法試験委員会の「さじ加減」で狭めることが事実上可能です。過度の抑制は不当のみならず違法の疑いを生じかねない、というのが私見ですが、疑いを回避しつつ合格者数を抑制する拠り所を探ってみました。

 まず考えられるのは、司法試験でのロー組と予備組の合格率均衡を要請する閣議決定
関連部分を抜粋すると

本試験において公平な競争となるようにするため、予備試験合格者数について、事後的には、資格試験としての予備試験のあるべき運用にも配意しながら、予備試験合格者に占める本試験合格者の割合と法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合とを均衡させるとともに、予備試験合格者数が絞られることで実質的に予備試験受験者が法科大学院を修了する者と比べて、本試験受験の機会において不利に扱われることのないようにする等の総合的考慮を行う。

とあり、「資格試験としての予備試験のあるべき運用にも配意しながら」という考慮要素が盛り込まれています。この考慮要素を拠り所に予備合格者数を抑制することが考えられます。
 しかし、このフレーズは抑制の根拠としてはあいまいすぎるきらいがあります。「あるべき運用」とは「経済的困窮者に法曹への道を開く運用」と考えられますが、個々の受験者の資力調査がほぼ不可能である以上、現状が「あるべき運用」になっているかどうかの検証が難しいと思います。
 したがって、この考慮要素を予備試験合格者数抑制の拠り所とするのは困難と思います。

 一方、前のエントリーに挙げた司法試験委員会の「予備試験の実施方針について」の中に、合否判定に際して「法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度の理念を損ねることのないようにする必要がある。」という記述があります。これは先の閣議決定よりもはっきりとしたストレートな言い回しです。“法科大学院制度が本道でなくなるような予備合格者増はしない”と予め宣言しているようにも読めます。

 ただ、司法試験委員会自身が定めたこの実施方針にどんな規範的意味があるのか、運用指針として先の閣議決定とどちらが優先するのかは定かでありません。
 そもそも法科大学院を中核とする法曹養成制度の理念を堅持することが、司法試験委員会の役割に含まれるのか(司法試験法12条2項各号の「所管事務」に含まれるのか)どうかも議論のあるところだと思います。

 それでも気になる一節ではあります。

※参考
「経済的な事情」で括る「予備試験」制限の無理(元「法律新聞」編集長の弁護士観察日記)
http://kounomaki.blog84.fc2.com/blog-entry-748.html

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