« “エリート”云々を語れるうちが華 | トップページ | 「胸アツ」な一日 »

2013年11月 8日 (金)

「経済的理由」「経済的事情」って何?

司法試験「抜け道」鮮明に…予備試験で合格者増(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131107-OYT1T01105.htm?from=ylist

(略)発表では、合格者のうち法科大学院生は164人(昨年61人)、現役大学生は107人(同69人)で、現役学生が8割近くを占めた。同試験は経済的理由などから法科大学院に通えない人を想定して導入されたが、現役学生が法科大学院での勉強を省略するための「抜け道」となっている実態が改めて浮かび上がった。(略)

相変わらず「抜け道」扱いですかい。
他の報道も現役学生の合格者割合が高いことを問題視している論調が目立ちます。

司法「予備試験」の在り方を議論へ(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131108/k10015893891000.html
司法試験、予備試験351人合格 現役学生が7割超(日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0704B_X01C13A1CR8000/

「抜け道」論を唱える人は、何をもって「経済的理由」「経済的事情」の有無を判断するんでしょう。例えば以下のケースは「経済的理由」「経済的事情」はあるんでしょうか、ないんでしょうか。

・数百万円の手持ちの金があるけど、修習時の生活費として使うために蓄えておきたいというロー生や大学生
・法科大学院に1年目まで通う学費は何とか捻出できたけど2年目以降は捻出する見込みがないロー生
・親に資力があるが、法曹に進むことに親が反対しているので、ロー進学の学費を出してもらえない大学生
・親に資力があるが、親の老後の生活資金を慮って、親からロー進学の資金援助を受けたくないと考えている親思いの大学生
・親または自分に蓄えがあるが、それはマイホーム購入や留学等、将来的な明確な使途が決まっている、あるいは、将来の不測の事態への備えとして貯蓄しておきたいと考えているロー生や学生

特に「抜け道」論者に尋ねてみたいのは

・奨学金を借りなければローに通う費用が捻出できないロー生

議論のあるところかもしれませんが、私の感覚では、借金をしなければローに通えないという事情は、当然「経済的理由(事情)」があると思います。そうだとすると、ほとんどのロー生は予備ルートを選択したとしても「抜け道」には当たらないことになるでしょう。

ロー生・大学生の合格者が多いから「経済的理由」「経済的事情」がない学生の「抜け道」になっているという評価は、あまりに短絡的な決めつけです。また、学生に袖にされている法科大学院の方に問題があるのではないか、そもそも司法改革の理念が間違っていたのではないか、といった多角的視点が完全に欠落しています。これではジャーナリズムとしての質も問われかねないでしょう。

※参考
司法試験予備試験合格者が351人 法科大学院は崩壊へ(弁護士 猪野 亨のブログ)
http://inotoru.blog.fc2.com/blog-entry-886.html

« “エリート”云々を語れるうちが華 | トップページ | 「胸アツ」な一日 »

司法制度」カテゴリの記事

司法試験」カテゴリの記事

コメント

>>・奨学金を借りなければローに通う費用が捻出できないロー生

出願時に「法科大学院生」として出願し,合格した160人以上は,法科大学院修了の資格で司法試験を受験することになります。そして,もちろん,最後まで費用をかけてローに通います。この160人については,「経済的事情」などありません。
また出願時に「学部生」として出願し,合格した100人以上は,その多くが法科大学院に進学し,翌年も法科大学院に在籍しつつ司法試験を受験します。そして最後まで費用をかけてローに通います。この100人についても「経済的事情」はありません。

単に社会人受験生を痛めつけるために,予備試験を受験しているだけにすぎません。
(もしかして,教授から「あいつらを痛めつけてこい」と指令を受けているのかも知れません。)

おっしゃるとおり、たいていの人には経済的事情はありますよね。うん百万ぽんと払える人なんてむしろ限られてる。。
マスコミはジャーナリズムとかで話してるのではなく、自分よりエリートが出るのがいやなんですよ。弁護士になろうがなるまいが、予備試験にさくっと受かるってのはそれだけで事務処理能力高いよって証明になるし。弁護士になればまあ成功する確率も高くなるし。
何をこの頭でっかちの若造が、って感じなんですよね、結局は。
面白くないんでしょうよ。
そう入ってもその若造は結構いいやつで、これまた反論の仕様がないことも多いんですけどね。そこがまた面白くないって言う。。これが誰もが知ってるマスコミの実態。

制限の妥当性という観点は無視しても、制限の明確性という観点から考えたら、受験制限する基準としては、下記が限界だと思います。

予備試験受験時、又は出願時に、奨学金を受領または奨学金の申請をせずに法科大学院に在学中の者の受験を制限する

でも、予備試験を受験したいと思う学生は、親が裕福で奨学金が必要なくても、予備試験を受験するために奨学金の申請をするでしょう。だから、結局、経済的事情による受験制限というのは、規定しても意味がないということになると思います。

この制度の最大の欠陥は、二重に資格を取得できることです。だから痛めつけてやろうと無駄に受験する奴が出てくるわけです。

予備試験を受験したらその後3年間、ロー修了による受験資格を取得できないというように出口を間接的に規制すべきです。

議論の中心とは離れますが、そもそも論として経済的基準をもうけると、金持ちの子供だったら2年遅れでしか資格が取れないってことが前提なんですよね。それだと逆差別ですよね。

裕福なやつは気に入らないから法科大学院に金を出せといいうのももどうかと思いますが、優秀でも短期合格はできないって不利益を課すのはさらにどうかと思います。

やっぱり変です。

痛めつけようと思って受験する人はいないでしょう。就職に有利というのが一番の理由でしょう。

予備試験の方が就職が有利っというのが、優秀な人材の法科大学院離れにつながります。だから、法科大学院は、予備試験組みが優秀で、法科大学院組みが優秀でないというレッテルを払拭したいのでしょう。
ただ、就職に有利にならないくらいに予備試験のレベルを下げると、優秀でない人も含めて法科大学院にいかなくなってしまいますよね。そこで、法科大学院擁護者は受験要件を厳しく制限したうえで、予備試験のレベルを下げる方法を模索しているのでしょうね。

みなさん、さまざまなコメントありがとうございます。
「予備試験受験を制限すべし」という主張の背景には、法科大学院に学生が集まらなくなってしまうことに危機感を抱くロー擁護派の主張のみならず、ローに通える環境や条件にない受験生の切実な要望もあろうかと思います。前者はともかく後者の心情は分からなくもありません。
しかし、もし現役学生の受験を制限したら、それは弱者救済というよりは特権的な性質を持ち、どなたかがおっしゃっていた「逆差別」のような性質を帯びる可能性があると思います。また、予備試験合格者に対する市場からの高評価は「誰しもが受験できる公平かつ平等な難関試験を突破した」ことに基づいていると思われるのに、受験を制限したら高評価の基盤はなくなります。国民や社会に信頼される法曹養成からは、ますます遠ざかることになると思います。
この点は私もなかなかうまく考えを整理できていないのですが、社会人受験生を何とか支援したいと考えている私が、社会人受験生が苦戦している現状を重々に認識していても、やはり予備試験の受験は制限すべきでないと思っています。

私も予備試験の受験資格制限には反対です。
「経済的理由などから法科大学院人にも法曹の道を」というのが予備試験の趣旨だとされますが、それは、そもそも法科大学院修了を原則的な受験資格とすること自体に十分な理由があるという前提の話だと思います。
「本当はローに行きたいけど、お金がないから予備試験で我慢する」
という想定ですね。

しかし、現実は、無駄なカネがかかる、授業の質が低い、多様な人材が集まらない、優秀な人材が社会に出ることが遅れる等、様々な問題がロー制度にはあります。
「ローに行きたくないから、予備試験で抜けたい」
という受験生が少なからずいると思われます。


そうだとすると、予備試験制度の前提が変わってくるわけですから、経済的事情云々にかかわりなく、ロー修了の時間的・経済的負担を避ける道があってしかるべきではないでしょうか。

「裕福な家庭に生まれたら、ローにいかなければならない」
何のためにローがあるんでしょうね?
「ローのために学生が存在する」みたいに聞こえるのは私だけでしょうか。

そもそもローに入れた人は「経済的事情なし」と考えるのがおかしいです。ロー生こそ学費負担・奨学金負担に苦しんでいる人がたくさんいます。資力や属性で受験を制限するという考え方に賛同できません。

ただ、そうは言っても社会人の合格率の低さは悩ましい問題です。合格率が低いこと自体はやむを得ないと思いますが、それにしてもあまりに低すぎる結果だと思います。たしかに現行予備試験は社会人にとって苛酷すぎるものになっているかもしれません。たとえば過度な負担を軽減すべく受験科目の削減などは検討されても良いのかもしれません。

いずれにせよ、受験資格制限によって社会人を優遇すべきといった主張には賛同することができません。社会人への門戸を広げるためには、予備試験の合格者数を増やして「ロー修了生と予備試験合格者の司法試験合格率の均衡」という閣議決定を忠実に実行することによって達成するほかないと思います。

>matatabiさん
先日は大変、お世話になりました。m(_ _)m

ある事柄にお金をかけることに全くメリットを感じていないとか、信条的に嫌だという人に対し、その事柄にお金をかけることを強制して良い制度なんて税金ぐらいしか思いつきません。
「ローに行くのは金をドブに捨てるようなものだ」と心の底から考えている人が、ローに一銭たりとも金を使いたくないとして予備を選択するのは「経済的理由」があるといえると思います。どんな大金持ちだって「わざわざお金をドブに捨てたくない」と考えるが当たり前の正しい経済感覚でしょうから。

>schulzeさん
せめて一般教養はなくせないものかと思っています。
おっしゃる通り、閣議決定にのっとり粛々と予備合格者増を継続させることが大事だと思います。ただ、予備を目の敵にする勢力は受験資格制限が現実的でないという認識はさすがに持っているでしょうから、今後は予備合格者を絞る方に精力を傾けていくような予感がしています。

予備試験に制限を設けたり、司法試験の科目を減らすのに科目を増やしたりして(不正確な表現でしたらすみません)、法科大学院を守るためになんだかみっともないやり方ですよね。
社会人にはどんどん縁のない世界になっていきますよね。。
結局予備試験は受験に集中できる現役大学生やロー若手層に絞られてくるんでしょう。

こんな難しい予備試験にすんなり受かってしまう若者は事務処理能力の高さや切り替えの速さで、引く手あまたになることは間違いなしですね。
無駄なことに金を使わず、実力だけで勝負する若者。かっこいいですし、やっぱり大企業や大手の法律事務所、裁判所などはそういう人を求めているのでしょう。
法科大学院の野望とは裏腹に予備試験のエリートコース確立にまっしぐらですね。

今の誰でも入学て来てしまうぬるま湯法科大学院とざる試験の司法試験では何の能力も保障されないですしね。。年取って借金だけ増えて。。能力がないから金に物を言わすしかない。金に頼って時間を無駄に使うしかない人には用はないってのが世間的に見て常識ですよね。

今は,予備試験に合格するためにローに行く時代です。
何か変な話しだが,予備試験がローを支えているのです。

(意見) 第一に,予備試験の受験資格はその趣旨に沿ったかたちで,制限すべきである。
例えば,すでに司法試験に合格した者,現在司法試験受験資格を有する者の受験を刑事罰で禁止するほか,法科大学院修了による受験資格の取得については,2年以内に予備試験を受験した者を除外するというかたちで,受験資格の取得を間接的に制限すべきである。
第二に,現状のように法科大学院生であっても無制限に受験できるとする場合,法科大学院生等の有資格者や受験資格取得の見込まれる者がいないものとして合格者数を決定すべきである。
(理由) 第一に,新しい法曹養成制度における中核的な教育機関である法科大学院では,優れた教育がなされており,これまで多くの優れた法曹を輩出してきており,法科大学院教育は,相応の成果を上げているといえる。そして,このようなプロセスとしての法曹養成課程の中核である法科大学院教育の成果と意義が十分に活かすべきである。
 しかし,現実には,法学部生・法律事務所の認識としては,予備試験こそ正規ルートであり,法科大学院は,予備試験に合格できなかった者の滑り止めと位置づけられており,法科大学院こそ法曹養成制度の中核であるとの理念に反するとらえ方がなされている。
 そして,現在,法科大学院生は,入学後も予備試験の勉強を続ける者がほとんどで,法科大学院での学習はおろそかになっている。予備試験を模擬試験代わりに受験するのが
通常で,これを放置すれば法科大学院教育が形骸化するのみならず,「経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない者にも法曹資格取得のための適切な途を確保すべき」とする予備試験制度の趣旨に反することになる。そのため,法科大学院生及び入学予定者の予備試験受験を制限する必要がある。
 そこで,法科大学院生及び入学予定者については,法科大学院での学習に集中させるべく,法科大学院での履修期間に相当する3年間,予備試験受験者には法科大学院修了による受験資格を与えないことにより,間接的に受験を制限するのが妥当と考える。
 なお,この制限は,3年間という履修期間相当の期間にとどまり,法科大学院修了による資格取得のみの制限にすぎない。そして,法科大学院を留年することにより法科大学院修了による受験資格は得られるうえ,予備試験受験自体は制限されないので,過剰な制限ではない。予備試験の受験対策に追われることなく,一定期間集中して法科大学院教育に注力させ,法科大学院教育の成果と意義を十分に活かせるようにするために必要不可欠な措置である。

 第二に,現在のように法科大学院生も無制限に予備試験を受験できるとする場合,制度の趣旨に反する受験者が,本来予備試験制度が想定している受験者を締め出す結果となる。その結果,法曹の多様化を阻害することになってしまう。
 現状では,予備試験合格者が法科大学院に進学するという事態が生じている。しかも,法科大学院在学中に司法試験を受験し,合格後に即中退するという者が多数あらわれて
いる。このような事態を許容することは,予備試験の趣旨にも反するのはもちろんのこと,2年・3年単位で受験技術にとらわれることなく教育の成果を上げ,その後に司法試験を受験させようとする法科大学院制度を中核とした法曹養成制度の趣旨にも反することになる。2年・3年単位で成果を上げようとしている教員にとっても迷惑なばかりか,真に法科大学院で学ぼうとする者の機会を不当に奪う結果ともなっている。
 この点については,早急な対応をお願いしたい。また,本年より法科大学院在学中の者についてはいないものとみなして合格者の決定を行うべきである。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/576385/58537110

この記事へのトラックバック一覧です: 「経済的理由」「経済的事情」って何?:

« “エリート”云々を語れるうちが華 | トップページ | 「胸アツ」な一日 »

フォト
2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ