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2013年12月

2013年12月29日 (日)

平成25年度も法科大学院ルートより予備試験ルートの方が上位合格する傾向※追記あり

司法試験委員会会議には次の資料も提出されていました。

「平成25年司法試験総合点別人員調(予備試験合格者,合格率が全体の合格率(26.77%)以上の法科大学院14校の受験者,合格率が全体の合格率(26.77%)の半分以下の法科大学院33校の受験者)」
http://www.moj.go.jp/content/000115508.pdf

ここでは予備試験合格組の本試験の点数別(10点刻み)人数と累計割合が示されています。この資料の累計割合と、司法試験全体についての類似の資料(「平成25年司法試験の結果」の3ページ以下)のデータから予備組の人数を差し引いたロー修了者のみの累計割合を対比すると、予備組とロー組のいずれが上位合格する傾向にあるかが分かると思い、やってみました。同様の検討は昨年度(平成24年度)の司法試験についても行い、「予備試験合格者の方が法科大学院修了者より高順位で最終合格する傾向にある」との結論を得ています。果たして25年度も傾向は変わらないのか。

上記の2つの資料をもとに、上位からの累計割合を比較したのが下記のデータです。ベースは総合評価対象者(短答通過者で論文の最低ラインをクリアした者。予備組165人、ロー組4693人)です。(注)
いわゆる“上位合格”を便宜上、約500番以内と考え、約100位、約200位、約300位、約500位の各段階について予備組、ロー組の上位からの各々の累計割合(単位%)を比較しました。
           予備組                 法科大学院組
順位(点)  累計人数 累計割合   累計人数 累計割合
108(1000)   14       8.48               94       2.00
217 (970)    27     16.38                 190       4.05
321 (940)    35     21.21                 286       6.09      
502 (910)    47     28.48                 455       9.69

このように予備組の累計割合が各段階でロー組を大きく上回っています上位約500番以内には、予備組では4人に1人を超える3割弱が食い込んだのに対し、ロー組では1割弱にすぎません

これを全受験者ベース(予備合格者167人、ロー修了者7,486人)でみると、格差はさらに広がります。上位約500位の累計割合は予備組はほとんどかわらず28.14%、ロー組は6.07%と約20人に1人の割合にまで下がります。

また、25年度司法試験の全体合格率26.77%を超えた「上位14校」だけと比べても(総合評価対象者ベース)、上位約500番内の累計割合は予備組の28.48%に対し「上位14校」は16.69%で、予備組の方が上回っています。

もっとも、不合格者も含めた累計割合では、合格率の高い予備組が上位に分布するのは当たり前、とも考えられます。そこで司法試験最終合格者(予備組120人、ロー組1,929人、計2,049人)に絞って累計割合を算出してみると、

             予備                法科大学院
順位(点)   
累計人数 累計割合 累計人数 累計割合
108(1000) 
14          11.67            94         4.87
217 (970)   
27          22.50           190       9.85
321 (940)   
35          29.17           286      14.83
502 (910)   
47          39.17           455       23.59
 ・
 ・
2049(780)  120        100.00          1929    100.00

となります。
順位約100番以内は予備組最終合格者では10人に1の割合で誕生しましたが、ロー組最終合格者では20人に1人の割合順位約500番以内は予備組最終合格者では3人に1人の割合を超える約4割が達成しているのに対し、ロー組最終合格者では4人に1人程度です。やはり予備組最終合格者の方がロー修了組最終合格者より上位に分布しているといえると思います。

以上から今年度の司法試験でも、予備試験合格者の方が法科大学院修了者より高順位で最終合格する傾向にあることはおおむね変わらないようです。任官などを目標に上位合格を目指したい方は、法科大学院ルートよりも予備試験ルートを選択した方が目標に近づきやすいかもしれません。

(注)資料「平成25年司法試験総合点別人員調」では予備組受験生の全体人数が165人と、全受験者数=短答通過者数の167人より2人少なくなっています。一方、司法試験全体の得点別人員調べの資料はベースが総合評価対象者になっています。このことから、「165人」は予備組の総合評価対象者の人数と思われます。つまり、今年の司法試験では予備組のうち2人が、短答を通過したものの、論文の一部の科目で最低ラインをクリアできず総合評価の対象にならなかったことがうかがえます。

※追記(12月30日)
コメント欄にて、予備組とLS組とでは絶対数が違い、そもそもLS組が上位枠に入れる割合に限界があるので、上位枠に入る割合が「1割弱にすぎ」ない等と表現するのは不適切ではないないか、との趣旨の指摘がありました。たしかに、その通りだと思います。本文の同様の表現は事実としてはそうだとしても誤解を招く表現だったことをお断りし、おわびします。
もっとも、予備合格組がLS修了組との比較で成績上位に分布し「予備試験合格者の方が法科大学院修了者より高順位で最終合格する傾向にある」との本記事の論旨は変わりません。

2013年12月28日 (土)

現役学生の法科大学院・大学別の予備試験受験状況

法科大学院生と大学生(いずれも出願時)の平成25年度予備試験受験状況が司法試験委員会会議提出資料の中にありました。
http://www.moj.go.jp/content/000117651.pdf

ロー別の受験者数、最終合格者数、合格率(受験者ベース)を取り急ぎ集計してみたところ、上位は次のようになりました(合格率は%単位で小数点以下第2位四捨五入。合格者6人以上)。
※桁がずれて見にくいですが、ご容赦ください。

      受験者    合格者    合格率
早稲田 145 東京  43 東京  30.5
東京   141 慶應  29 京都  28.6
中央   126 中央  15 慶應  24.0
慶應   121 一橋  13 一橋  19.7
大阪    69 京都  12 千葉  19.4
一橋    66     ・         九州  12.8
             ・          中央  11.9
               ・             ・
               ・             ・
          早稲田  3  早稲田  2.1

司法試験合格率の高い上位ローが合格者数、合格率で同じく上位を占めています。
不可解なのは早稲田です。受験者数で最多でありながら合格者がたった3人。以前の記事のコメント欄で教示があったように大学院の定期試験が影響したとか、予備論文試験の日に補講を入れられたとか、何か事情があるのでしょうか。

一方、大学生の同様の集計は以下の通りです。

      受験者    合格者    合格率
中央   364  東京  41 東京  11.7
東京   351  中央  19 一橋   9.1
慶應   309  慶應  18 京都   5.9
早稲田  228   一橋   6 慶應   5.8
日本    110   京都   5 中央   5.2
                    早稲田  4
                         ・
                               ・
                      早稲田  1.8

経済的時間的条件を問わず誰もが受験できる難関試験である予備試験の合格データは、旧司法試験のデータと同様に、大学法学部のステータスを端的に示すと思われます。
こうしてみると、早稲田の凋落があまりに痛々しい・・・。
そもそも受験者の数が中央、東大、慶應より見劣りしています。それでも4番目に多い受験者数ながら、合格者数では6番手に下がり、しかも4人だけ。他の上位校に惨敗、と言っていいでしょう。
大学のトップが法科大学院の維持に躍起になっている間に完全に足元をすくわれています。このままでは、どんどん取り残されていくだけでしょう。

OBとしては、とても残念です。

※追記
早稲田の学部の合格率データが間違っていたので修正しました。論旨に影響ありません。

※参考ブログ
「平成25年司法試験予備試験 法科大学院生・大学生の大学別合格率 早稲田が極端な不振」(Schulze BLOG)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52053135.html

2013年12月25日 (水)

「心ある政治家」は登場したか

法曹養成制度検討会議の“唯一の良心”だった和田吉弘先生は、委員を去る当たっての“置き手紙”ともいえる提出意見「今後に向けての意見」の中で、

「心ある政治家や、次の検討体制における心あるメンバーは、今回のパブリックコメントの意味を正しく理解するであろう」

との期待を寄せていました。

では、法曹養成制度検討会議終了後の初の国会であり、先ごろ閉じた第185回臨時国会で「心ある政治家」は登場したのでしょうか。

衆参各院の質問主意書と法務委員会会議録では以下の活動が見受けられました(見落としがあるかもしれません)。
【質問主意書】
○「法曹養成制度改革に関する質問主意書」(小池政就衆院議員)
○「法科大学院卒業生の処遇に関する質問主意書」(藤末健三参院議員)
【法務委員会での質問】
○10月30日の衆院法務委員会で椎名毅議員が給費制について質問
○11月13日の衆院法務委員会で階猛議員が法曹養成制度について質問
○同日の同委員会で三谷英弘議員が法曹養成制度について質問

それぞれ現行法曹養成制度の問題点を鋭く突いているとは思いますが、目新しさや新展開をもたらす答弁を引き出すまでには至らなかったと見受けました。
私個人としては、法曹養成制度検討会議座長の参考人招致がなかったのはとても残念でした。

年明けの通常国会では、「心ある政治家」がさらに政治力を発揮されることを期待します。

2013年12月24日 (火)

まさしく文武両道

文武両道、悲願の花園へ=54年ぶり出場に燃える浦和-高校ラグビー(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201312/2013122400048&rel=j&g=spo
浦和高ラグビー部 53年ぶり全国大会 進学校の星 花園で輝け(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013120602000246.html

昨夜、ようやく9時のNHKニュースで取り上げられた程度で、全国的にはあまり話題になっていませんが、かなりすごいことだと思います。
かつて東京都立国立高校が甲子園に出場したのと同じくらいのインパクトです。
ただ、野球と違うのは、3年生部員がセンター試験まで数週間しかない時期に全国大会を戦う、という点です。浪人必至とも思われますが、ラグビーではセンター試験の9日前まで花園で全国制覇を争っていた生徒がその年に東大に合格したケースもあります。
http://www.nikkansports.com/sports/rugby/news/f-sp-tp0-20100310-604705.html
究極の文武両道です。

ちなみに私は、名もない公立高校で当時、それなりの志を持ってラグビーに打ち込み、3年秋の全国大会予選まで続けました。でも、花園に行こう、なんて真剣に考えたことは一度もありませんでした。
orz

今の高3生は「ゆとり世代」と呼ばれる最後の年次だと思いますが、将来、社会で大いに活躍するポテンシャルを秘めている世代だと感じます。

ところで埼玉だけでなく京都代表もすごいです。あの強豪、伏見工業がいる地区での府立校の快挙です。
桂が初V、京都成章を圧倒 全国高校ラグビー京都府予選(京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/sports/article/20131117000112

2013年12月15日 (日)

文科省基準では「誇大広告」?

文科省説明資料「法科大学院の現状とその改善方策について」が様々なブログで取り上げられています。

「そのうちバカにされるで。巻き込まれないようにしたいものです。」(福岡の家電弁護士のブログ)
http://ameblo.jp/mukoyan-harrier-law/entry-11727263958.html
「法科大学院「教育的な効果」資料のバイアス」(元「法律新聞」編集長の弁護士観察日記)
http://kounomaki.blog84.fc2.com/blog-entry-763.html
「法科大学院の教育効果 肯定的願望集」(Schulze BLOG)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52051113.html

「肯定的願望集」というのが言い得て妙です。

一方、ちょっと古いですが旧文部省は、健康食品の「誇大広告」に関し、全国の公立教育機関に向けて次のような通達を出しています。
健康食品の誇大広告に対する注意指導方について
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t19850624001/t19850624001.html

この中で文部省は「誇大広告」の特徴として

○ 特(即)効性をうたう
○ 一般消費者の使用効果の体験談を掲載する
○ 学者、タレント等の著名人の推せん文を掲載する
○ 価格が高価である

などを挙げて指導の徹底を呼びかけていますが、
法科大学院制度と文科省の「肯定的願望集」にも、だいたいあてはまっちゃいますね。

なお「肯定的願望集」の元になった資料の一部は以下の拙記事に掲載しています。いずれも法科大学院幹部の同席(監視)の下で、セレクトされた学生・教員の発言と推測されます。
「法科大学院視察の実態」
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-fe09.html
「続・法科大学院視察の実態」
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-17e7.html

文科省の「肯定的願望集」の“初版”を取り上げた記事
「“法科大学院教育の成果”の正体」
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-5b56.html

2013年12月11日 (水)

「大学入試を人物本位に」すると、どうなるか

ちょっと古いですが、12月4日付の朝日新聞朝刊のオピニオン欄「私の視点」に、教育再生実行会議(座長・鎌田薫早大総長) による「大学入試を人物本位に」との提言に対する塾講師の方の意見が載っていました。大変興味深い論稿です。
「低学力の合格、増える恐れ」
http://www.asahi.com/articles/TKY201312030568.html
(ネット上では全文は有料または無料の会員にならないと読めません)

記事では筆者が「塾講師として、低学力の人物が推薦入試で早々と合格を決めるのを数十年見てきた」として、現行の推薦入試をめぐる実態の一端を具体的に紹介しています。
たとえば、高校で
・「定期試験でしこしこ点数を稼ぐことだけに傾きがちな生徒もいる
まあ、これは昔からあったと思います。しかし、
・「スポーツで活躍すれば体育以外の科目でも『5』をもらえる例もある
・「『一般受験で受かるような成績のいい生徒には推薦枠を使わせない』というのを公然の秘密とする高校もある
というのは初耳でした。
学力の低い者が推薦入学する実態は「長い目でみれば国の根幹を揺るがしかねない事態ながら、『当事者たちが当面は損しないこと』によって看過されてきた」のだそうです。すなわち、推薦制度は合格者本人はもちろん、合格実績を確保できる高校や、少子化の中で早い時期に入学者を確定できる一部の大学にとっても利点がある、とのこと。これらの推薦入試の実態を踏まえ筆者は「さらに普通の入試まで「人物本位」などもってのほかだ。」と断じています。私も同感です。

しかし、いくら人物本位を標榜し、利害関係者が弊害を看過しても、おそらく市場は正直に反応すると思います。
http://www.j-cast.com/2011/12/26117615.html?p=all
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/452

同様に一発勝負を排して「人物本位」を掲げたとおぼしき法科大学院制度も、志願者の激減や予備合格組の重用傾向から、市場がシビアな判断を下しつつあることが伺えます。

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