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2014年1月17日 (金)

67期は73・6%が貸与を申請(H25・11月現在)

67期司法修習生の貸与申請状況について最高裁へ情報公開請求したところ、以下の情報提供を受けました。

○ 司法修習生採用者数 1,969人
○ 貸与申請者数(申請後撤回した者を除く)1,449人
(申請額別)
18万円・・・・・・・・・・・・・・・ 67人
23万円・・・・・・・・・・・・・・・969人
25万5000円(扶養加算)・ 30人
25万5000円(住居加算)・358人
28万円・・・・・・・・・・・・・・・ 25人
注:平成25年11月27日現在

貸与申請率(貸与申請者数/司法修習生採用者数×100)は73.6%です(小数点以下第2位四捨五入)。

66期と新65期の貸与申請状況は以下のエントリーに記してあります。
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/h2411-f437.html

貸与申請者数と申請率の推移は以下の通りです。
67期(1449,73.6%)←66期(1654,80.8%)←新65期(1742,87.1%)

貸与申請率は7割強と依然として高い水準にあります。
ただ、推移をみると申請者数、率とも年々下がっています。率は前年度比7.2ポイント減、新65期からは13.5ポイント減です。

数と率が年々、下がっていることは何を意味するのでしょうか。
修習生の経済的困窮が一般的に改善しつつあることのあらわれでしょうか。

66期の申請率が下がった際のエントリーで、あくまで推測ながら「貸与を受けなくても生活費に困らない修習生が相対的に増えた可能性」を指摘しました。
その後1年間の諸状況をみると、景気は上向きと言われるものの、回復の緒についたばかりで低迷から脱却したとまでは言えません。だとすると、修習生本人または保護者の経済状況が一般的に改善したとは思われません。
他方、弁護士登録状況からみて就職難は悪化の一途をたどっているとみられ、貸与返済の見込みはますます厳しくなっています。これは貸与申請を見送る動機になり得ます。ただ、一般のローンよりも有利な条件の貸与をあえて見送りつつ、親などの援助を受けずに別途、生活費を工面する方法があまり思い浮かびません。法科大学院でのバイト程度で貸与に代わる生活費を調達できるとも思えません。

このように修習生の経済的困窮が一般的に改善する要素は見当たりません。

にもかかわらず、貸与申請者、申請割合が減っている、というのはなかなか説明がつきにくいです。やっぱり、就職難を含む広い意味での経済的事情から法曹を諦める人(修習辞退者を含む)が増え続けていることの反射として、貸与を受けなくても生活費に困らない修習生が年々、相対的に増えているのではないか、との推測を打ち消すことができません。この推移を「貸与制で十分にやっていけることのあらわれ」と評価するよりも「貸与制でもやっていけない人が修習生にならなくなった結果」と評価する方が私にはしっくりきます。

※弁護士登録状況について参考
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52055933.html(Schulze BLOG)
http://itolaw.blog134.fc2.com/blog-entry-1977.html(Perfect & Complete)

※司法修習の「辞退率」の推移についてはschulze先生がまとめてくださっています。
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52055831.html(Schulze BLOG)

※おことわり
新65期の貸与申請率については過去記事で87.0%と表記してきましたが、今後は小数点以下第2位四捨五入の87.1%と表記します。他の期の数値と統一するためです。

※追記(2月12日)
67期修習生の数につき「1972人」との報道があり、最高裁提供情報の「1969人」と異なるため最高裁に問い合わせたところ、提供情報には「再採用者」の3人が含まれていないとのことです。「採用者数」という場合は通常、再採用を含めない人数を指すことになっているそうです。各期の再採用者はごく少数と思われることや、過去の統計資料との統一性の観点などから、本記事を含む当ブログでは原則として「採用者数」をデータとして用います。

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コメント

今は,ロースクールに行く費用のほかに,みんなそろって法科大学院在学中に予備試験を受験するので,今まで以上に受験費用がかかります。

そして,当然のごとく法科大学院在学中に予備試験に合格し,司法試験に合格して司法修習に行くわけです。

そりゃあ,今まで以上に資力のある人が司法試験に合格するのは当然のことで,貸与を受けなくてもいい人はもちろん増えるでしょう。

「誰でも予備試験を受験できる」こと,「ロースクール在学生でも予備試験を受験できる」ことが導いた結果なのです。

上記,やや刺激的なことを書きましたが,一聴了解さんの労力に対して敬意を表することには変わりはありませんので,そのあたりはご理解をお願いいたします。

私も資力のある人しか司法試験を目指さない/合格しないという傾向を否定するつもりはありませんが、その原因を予備試験の受験資格開放に求めるのは無理があります。貸与申請者の減少幅は予備試験合格者による司法試験合格者の数を大きく上回っています。

最高裁への情報公開請求と有益な情報、ありがとうございます。

別件なのですが、私は情報公開請求の方法がわからないため、、
http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/t/takanawa2009/20100301/20100301235219.jpg
にある、二回試験の成績分布の66期版を請求していただけるのであれば、どうかよろしくお願いします。

schulze様

貴殿のおっしゃることは「予備試験は誰でも受験できるようにすべきである」という結論先行の思い込みにすぎません。
今のロー生は、ローに行きながら予備試験を受験するのが常態化しており、従来であれば新司法試験の対策にかかるコストだけでよかったものの、それに加え予備試験対策コストもかかっているのです。

従来よりも実質的な学費は値上がりしておりそれぬ耐えられるような裕福な層しかローにも行けないのです。

 司法試験予備校のカリキュラムを見ると、司法試験関係では①司法試験対策、②予備試験対策、③難関法科大学院入試対策(入学準備を兼ねる)がありますが、①~③の科目はかなり重複しているため、法律基本科目の講義は共通化されているようです。正確には検証していませんが、予備試験固有の法律実務基礎科目と一般教養科目で増える受講料というのは、せいぜい10万円前後ではないかと思います。
 大学生や法科大学院生に予備試験受験を認めない場合、確かに②はなくなりますが、予備校以上に高額な法科大学院の学費はまるまる残り、①と③も残ります。その一方、現役の大学生にとっては、①と②だけで法曹になれる道が事実上閉ざされ、法科大学院+予備校の学費負担に耐えられる人しか法曹を目指さなくなります。
 予備試験の受験資格を制限すれば、経済的に恵まれない人でも法曹を目指せるようになるなどという主張は、全く根拠を欠くものと言わざるを得ません。

だから、崩壊大学院の関所をとっぱらって、全員予備試験でいいじゃん、一発試験だとなんか問題あるの?問題あるなら、予備試験、司法試験でいいじゃん。まあ択一、論文、口述と何が違うのかわからんけど。新試験の今の方が問題大きいじゃん。

黒猫先生

>>現役の大学生にとっては、①と②だけで法曹になれる道が事実上閉ざされ、法科大学院+予備校の学費負担に耐えられる人しか法曹を目指さなくなります。

すでに現在,現役の大学生にとって,①と②だけで法曹になれる途は事実上閉ざされています。
学部2年で「短答合格」が5人,学部3年で「短答合格」が30人程度,最終合格が4人です。

①と②だけで法曹になれるのはここまでです。

学部4年生の合格者になるとそれなりに増えますが,学部4年ともなると法科大学院入試も受験します。そして予備試験に合格しても中退するために法科大学院に進学します。

結局,①と②だけで現役学部生が法曹になれる席はたったの4席しかないのです。
現時点で既に,学部生が法科大学院と関係なく法曹になる道は閉ざされていると言わざるを得ません。

 予備試験と法科大学院の併願者は多いと聞いていますが、大学4年で予備試験に合格した人が、中退するために敢えて法科大学院に入る意味はほとんどないと思いますし、明らかに法科大学院入学を目指さない「大学卒業」の予備試験合格者も31人います。
 経済的に余裕のある予備試験合格者が敢えてローに入るという選択をする可能性もゼロではありませんが、そういう人がいることを理由に、「大学3年で予備試験に合格した人以外は法科大学院と関係なく法曹になる道は閉ざされている」と結論づけるのは無理があるように思われます。
 また、仮にそうだとしても、法曹志望者の経済的負担を問題にするなら普通は法科大学院の方を廃止すべきだと考えるのが普通であり、「(法科大学院ではなく)予備試験が法曹志望者の経済的負担を重くしている」「予備試験に受験資格制限を設けることが経済的負担の軽減につながる」などという独自のご主張には、おそらく誰も賛成してくれないのではないでしょうか。

黒猫先生

先生のご主張もどこかピントがずれているように見えます。
いずれにせよ、ご主張をなさる際には、予備試験合格者の多くが法科大学院関係者であり、ロー生が予備試験を受験できることが、制度の趣旨に反する運用を導いていることは念頭に置いてください。
そこを無視して独自の主張をされても、当局は賛成してくれないのではないでしょうか。

>前のコメントの方
本欄で意見交換されるのは構いませんが、他者を名指しで意見主張なされる場合はご自身もハンドルネームをつけていただきたいと思います。それが意見交換相手への礼儀ではないかと思います。

お立場ははかりかねますが、予備試験ルートしか選択肢がない経済的困窮者や現役社会人にとって現役学生の受験は「枠」を奪われていると感じて不公平感を覚える気持ちは分かります。自分も社会人受験生でしたし、今受験するとすれば予備ルートしかありませんから。
 ただ、黒猫先生が最新のご自身の記事で指摘されている通り、旧制度でも末期は現役学生が多数合格しています。現在の予備試験もその流れを引き継いでいるように思います。つまり、たとえ受験資格制限がなくなって司法試験本試験一発勝負に戻ったとしても合格者中に現役学生が多くのシェアを占める実態はあまり変わらないと思います。現役学生が多く合格している主因は、富裕層に有利という点も含めた制度の問題とは別にあると思っています(黒猫先生の最新記事での分析が参考になります。やや重なりますが個人的には受験技術の違い、知識が基本中心なので自ずと基本中心の答案が書けることなどが要因だと考えています)。

名指しをしているのはすべて私です。同一人物であることを明らかにしておきます。

言いたいことがあまり伝わっていなかったようですが,
>>現役学生の受験は「枠」を奪われていると感じて不公平感を覚える気持ち

私は,法科大学院生に「枠」を奪われたという不公平感は感じていますが,学部学生に枠を奪われたとは一言も申し上げておりません。
学部3年生・4年生も,法科大学院生に「枠」を奪われたかたちとなっており,学部学生も被害者なのではということで,上記データを示しました。

いずれにせよ,「ロー憎し」というイデオロギー的な思い込みに基づく議論や,ロー在学中合格者が非常に多く,今では現役学部生すら押し出すかたちになっている新たな状況を無視した議論でなく,事実に基づいた議論を進めていただければ何も申し上げることはありません。

あと,合格基準に「枠」というものがなく,客観的なレベルで合格が決まっているのであれば,私自身の今までの主張はすべて撤回します。

お名前のない方(失礼な言い方でスミマセン)
1 「ローに行きながら予備試験を受験するのが常態化」
これが正しいする(おそらく正しいのでしょう)。
2 「誰でも予備試験を受験できる」こと,「ロースクール在学生でも予備試験を受験できる」 は正しい

1,2の命題から、「資力のある人しか司法試験を目指さない/合格しないという傾向」という結論が導けるか、ということですが、これ自体はYesということになると思います。

ただ、「資力のある人しか司法試験を目指さない/合格しないという傾向」の原因が、上記各命題だけで成り立つのかというと、そうではなく、この結論を導くうえでは、下記命題が必要条件になるように思います。
0-1 ローに行くのには金がかかる
0-2 ローに行くのは資力がある人のみ
0-3 能力があっても資力がない人は諦める
これらはすべてつながっているので、まとめて「正しい」という前提で私は考えています。このうち、0-2、0-3の命題こそが重要でしょう。
つまり、0-2,0-3の命題から「資力のある人しか司法試験を目指さない/合格しないという傾向」が導かれるわけで、名前のない方のご指摘である命題1は、その結果導かれる結論にすぎないわけですから(母体の多くが資力のある人=ローに行く人)、それ自体が「原因」として機能するわけではない、というのが私の理解です。
ついでに言えば、能力云々はここでは無関係です。
1能力がある 資力がある → ローに行くこともあれば予備試験もある(が司法試験以外の道に進むことも)
2能力がない 資力がある → ローに行くことはある
3能力がある 資力がない → 予備試験を受けることはある(が司法試験以外の道に進むことも)
4能力がない 資力がない → どっちもない
このうち、1,2が、今後の弁護士業界を考えたときに(コスパが悪い)、司法試験受験を目指す人のスタンダードになると思いますので、ますます、「ローと予備試験の関係」は顕著になるでしょう。が、それは、前記0-2、0-3の命題が大きいのだと思います。
とすれば、「予備試験の資格開放」をすれば、上記3のカテゴリの人たちを呼びこむことができるといえるし、逆に、資格制限をするとすれば、ロー生という明確な属性をもって受験資格を奪うということであれば格別、単純に、所得制限などで制限してしまうことで、「ボーダーライン」の人を取り逃がすことになることが目に見えているので(その結果ザルになるが、心ある人は、バカらしくてやってらんねーよとなるでしょうね)、余計に悲惨な結果を招くように思われます。

しかし、ご指摘の点は、斬新で面白かったし、そういう考え方もあるんやなーと思いました。勉強になりました。

 とりあえず「前の人」さんとお呼びすればよいのでしょうか。
 法科大学院関係者の立場からすれば、ロー生の多くが予備試験に流れているというのは「制度の趣旨に反する運用」に見えるのでしょうが、ロー生の受験が間接的に制限されていた旧司法試験を受験し、合格したロー生も(少数ながら)いました。
 本来、受験資格の関係から見れば旧司法試験や予備試験を受験する必要性は乏しいにもかかわらず、実際に多くのロー生が予備試験を受験しているのは、法科大学院教育がロー生から見捨てられるほどひどいという実態の裏返しでもあります。
 また、仮に現役ロー生の予備試験受験を禁止し、ローと予備試験の併願を考えている大学生に「ローか予備試験か」の厳格な二者択一を迫った場合、優秀な大学生の多くはむしろ予備試験のみを目指す方向に流れ、ローに行く人は予備試験に合格する自信がない人だけという結果になるような気がします。
 初期の法科大学院生(特に既修者)の多くは旧司法試験の受験経験者で占められており、旧司法試験がロー生の質を支えていたのは早稲田の鎌田教授でさえ認める事実です。今では、おそらく予備試験との併願者が辛うじて上位ロー生の質を支えている状態になっているでしょう。ロー生の予備試験受験を禁止するのはむしろ法科大学院の自滅を招くだけであり、少なくとも法科大学院制度の趣旨に「適合」する結果を生むとは思えません。
 なお、私は政府当局が推進している法科大学院制度に設立当初から強く反対している人間であり、政府当局が私の言うようなことを簡単に聞き入れるだろうなどとは、もとより考えておりません。

黒猫先生

コメントありがとうございました。
予備試験がロー生の質を支えていて,予備試験の受験を禁止すればローの自滅を招くという見方もあるということはわかりました。

ただ,これはまた乱暴な論理だと思うのが,「法科大学院教育がロー生から見捨てられるほどひどいという実態の裏返し」という言い方です。
ちなみに見捨てられるほどひどい教育をしているローからはほとんど予備試験には合格していません。
予備試験の合格者を出しているいくつかのローは,受験対策(司法試験対策だけでなく予備試験対策も)が非常に充実し,質の高い教育をしていますが,いかがでしょうか?

いずれにせよ,法科大学院生は,司法試験対策だけでなく予備試験対策もしなければならないのですから,それはそれは経済的に大変で,それに耐えられる経済力のある人しか目指さなくなると思います。

まあとりあえず、そんなHNで。
予備試験対策を法科大学院がやっているということ自体が「法科大学院教育」の否定であって、上位ローは予備試験対策もしているからというのは「法科大学院教育」に対する擁護の根拠にならないと思いますがいかがでしょうか?

予備試験が上位ロー生の質を支えています。
だからこそ、上位ローは予備試験対策まで行っているわけなのです。
予備試験対策を行うことも法科大学院教育の一内容なのです。

HN書いていませんが上記は私ですす。

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