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2014年6月

2014年6月24日 (火)

予備試験制限の提言に対する法務大臣の姿勢

現行法曹養成制度の弊害を正すには政治の力が大きいと思いますが、法科大学院上位6校による先の予備試験見直し提言を法務大臣はどう受けとめたのでしょうか。

先週火曜日の大臣会見で谷垣大臣は次のように答えたそうです。
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00543.html

法科大学院6校から,現在の状況に鑑みて意見書を頂いたわけですが,司法試験予備試験制度についてはかねがね申し上げておりますように,本来の制度の趣旨と大分異なった状況が生じているのではないかという危惧の念があると同時に,むしろ「予備試験をもっと積極的に活用すべきだ」,「積極的に評価して,受験生の負担を軽くしていこう」,「予備試験の科目等を少なくしていくべきだ」という御指摘もあります。法曹養成制度関係閣僚会議決定に基づきまして,現在,内閣官房法曹養成制度改革推進室で具体的なデータ等を分析しながら予備試験制度を見直す必要があるかどうか検討を行っているところです。現時点における推進室の考え方は,現段階ですぐに予備試験について何らかの受験資格制限等をするという結論を出すということは,なかなか困難であり,引き続き慎重に検討していこうというものです。もっとも,まだ何らかの結論が出されたわけではありません。引き続き,推進室,それから法曹養成制度改革顧問会議で検討されるものと承知しておりますので,その検討状況を見守っていきたいと考えております。

文字面だけでは判断しかねる面もありますが、大臣は、制限に慎重な推進室の考えを支持しているニュアンスが見受けられます。
予断は許しませんが、現時点では法科大学院側の悪あがきは奏功していないように思います。

2014年6月17日 (火)

島根)山陰法科大学院、募集停止発表から1年(朝日新聞)

最近、新聞のウェブ記事は会員にならないと全部読めないケースが多くなりました。

タイトルに掲げた記事もそうです。
http://www.asahi.com/articles/ASG6F46SYG6FPTIB00J.html

記事をすべて読んでいませんが、

法科大学院の廃止を決める大学が相次ぐ中、山陰に法曹教育の拠点は残るのか、

という問題提起にはもはや時代遅れの感を抱きます。

法曹志願者の母集団が縮小する中で、これだけ法科大学院の募集停止が相次ぎ、予備試験に志願者が流れていく現状では、法科大学院は「法曹教育の拠点」とはもはや言い難い状況になったと捉えるべきと思います。

だとしたら、“山陰の法曹教育の拠点”は法科大学院以外に設ける必要があり、それは決して不可能ではないと思います。

島根大学には法学系学科があるわけですから、中央大などのように予備試験、司法試験受験を見据えた法職課程を設けて学生を指導すればいいのではないでしょうか。
これはロー経由の法曹養成という国の原則的方針に逆らうことなので補助金はもらえないでしょう。ほかのことでも文科省から嫌がらせを受ける可能性もあります。
でも、大学教育の独立性を貫き、真に地方の法曹教育を憂うのであれば、法科大学院メインの法曹養成の考え方を脱して、予備試験教育の充実にシフトする手もあるのではないかと思います。
事ここに至って法科大学院の存続にどうしてもこだわりたい理由がもしあるなら、それは「地方の法曹教育への憂い」ではなく、「利権」という言葉しか浮かびません。

今度は日経記事に驚き

最近、法曹養成に関して驚くことが相次ぎましたが、schulze先生のエントリー弁護士HARRIER先生のエントリーで各々紹介されている本日付日経記事の内容にも驚かされました。

これまでよりも現状をかなり率直に指摘していると見受けます。この記事を読んで現状を知ってもなお法科大学院を目指す人は、よほどお金と時間に余裕のある人だけではないかと。少なくとも借金してまで行くところではないと悟るのが、法曹の資質としても不可欠な合理的な思考ではないかと思います。

具体的な記事内容では、やはり中央ロー教授の発言に対し、ダチョウ俱楽部的なツッコミを入れたくなりますが、もう一つ、ツッコミたくなる部分がありました。

現状は制度設計段階から予想された展開ともいえる。

この予想可能な現状を日経は制度設計段階から予想してたんですかね。予想してたら当然、将来に向けて制度的欠陥に警鐘を鳴らしていたはずでしょうから、してなかったか、少なくとも軽視してたんでしょう。
だったら

「君に言われたないわ」

ですね。

※追記
最後の赤字のツッコミを2chスタイルから関西漫才スタイルにあらためました(^^;)

2014年6月16日 (月)

たとえて言うと・・・

「A地点」という出発点(法曹志願の決意)と
「B地点」という目的地(司法試験受験資格の獲得)があります。

B地点を目指す最終的な目的は

「C地点」(司法試験合格)を経由して
「D地点」(法曹就任)に到達するためです。

A(法曹志願)→B(受験資格取得)→C(合格)→D(法曹)

A地点からB地点に行くには2つの道路があります。

1つは何車線もある幅広い舗装道路で、車のスペックがよほど低くくない限り通常は2、3時間でB地点に着きます。ただし通行料金がバカ高い有料道路です。それでも事業者はお役所から補助金を受けています。専用道路なので停車禁止で走り続けなればなりません。また、この有料道路はほとんどの人の近所にはないため、利用できるのは地理的条件の合う一部の人に限られます。

もう1つは、未舗装でごく狭く、でこぼこやぬかるみ、水たまりだらけの悪路です。もともと超ハイスペックの車は1時間でB地点に着きますが、そのような「近道」として利用できる車はごくごくわずかしかないので「抜け道」とか「バイパス」などと一般的に評価するのは誤りです。通常は少なくとも2、3時間より長くかかるでしょうし、ぬかるみにはまって動けなくなり、B地点になかなかたどりつけない車も少なくありません。ただし、通行料は無料です。また、どこに住んでいても利用できるし、車を停車して別の用事を済ませることもできるので、仕事や家事を抱えている人も利用できます。さらに、ここを通過した車のほとんどは次の経由地であるC地点にスムーズに到着できます。ハイスペックの車ぞろいだからです。

最近、有料道路が敬遠され、無料道路を選ぶ人が急増しています。主な理由は通行料金があまりに高すぎる一方、最終目的地であるD地点にたどりつける保障がないからです。また、道路に入る前に別の進路を断ち切ったり最初に相当な料金をとられることもあって、後戻りしたり目的地を変えて別の道路に乗り換えたりすることが躊躇されます。そのことも有料道路を使うリスクを高めています。

他方、無料道路もD地点まで到達できることは保障されていないけれど、いったんB地点まで来てしまえば、有料道路で来た人よりD地点まで到達できる可能性が高まります。また、もともと無料道路ですから途中で後戻りしたり、目的地を変えても大きな損失はありません。

そこで有料道路より無料道路を利用する人が多くなり、有料道路は立派に整備された設備を持ちながら閑古鳥になりました。

困り果てた有料道路の事業者は利用者回復のために
「無料道路の入口を狭めて入りにくくしてしまおう」
「無料道路の出口を狭めて出にくくしてしまおう」
「無料道路の路上にたくさん障害物を置いてもっと悪路にしてしまおう」
と画策し、お役所に泣きつきました。
自分たちの道路について
「通行料金をもっと安くしよう」とか
「利用価値を高めよう」といった改善策をとるつもりはさらさらありませんでした。

しかし、お役所の考えは有料道路事業者とは違いました。
「無料道路まで通りにくくしたら結局、D地点を目指す人が減って、どっちの道路も利用されなくなるだけでしょう」

結局、有料道路事業者の恥知らずと体たらくだけが浮き彫りになりました。

2014年6月15日 (日)

(自分の中では)ロー完全終了のお知らせ

法務官僚のまともな現状認識に驚いたのもつかの間、今度は法科大学院のあまりの体たらくぶりに驚かされました。

schulze先生のエントリーによれば、司法試験予備試験の見直しを提言した6法科大学院は東大、京大、一橋、早稲田、慶應、中央。なんと、すべて「上位ロー」と呼ばれるところでした。

曲がりなりにも法科大学院界をリードする「定評のある」教育機関である上位ローが、不振を自ら打開する努力もせず、不振の原因を自分以外に求め、お上に泣きついて助けを乞うという恥知らず。法務官僚が筋道立てて懇切丁寧に、法曹界が将来縮小するリスクを説いているのに、それを理解する能力もない。法曹養成機関の一部でありながら、違憲の疑いも指摘される規制を実施せよと臆面もなく主張する。

とても信じられません。

トップ校がこんな体たらくだと、下も推して知るべしと思わざるを得ません。

ローの中には、個々の優れた教員による優れた講義が一部にあり、多くのロー生は有能で真摯に学習に取り組んでいるであろうことを認める一方、機関としてのローは、私としてはもはや、まともな教育機関として認め難いところです。くだんの提言は「あー、ローはこれで完全に終わったな」と思い知らされる出来事でした。

私も弁護士HARRIER先生とほぼ同じく、仮に将来、ロー修了の司法試験受験要件を外しても、一部のローが存続することは構わないと思っていました。
受験資格をオープンにしたら、教育の質を伴わないローは当然つぶれていくでしょう。
けれども、費用と時間と社会的評価に見合う教育の質を提供できるところは残れると思うし、需要もそこそこあると思っていました。

しかし、今回、考えをあらためました。
信奉する理念が本当に正しかったかどうか自省することを怠り、厳しい経済状況に苦しむ学生の立場も理解せず、学の独立さえもかなぐり捨てて自らの延命に汲々とする者に、他人に学問を教える資格があるのか。
私の中では教育機関としてのローは完全に終わりました。

※参考
「法科大学院,『潰れちゃうから保護して保護して』と法務大臣に陳情」(黒猫のつぶやき)
http://kuronekonotsubuyaki.blog.fc2.com/blog-entry-982.html

2014年6月12日 (木)

予備試験、「出口」の規制にシフトか

平成26年司法試験予備試験短答式試験の結果
http://www.moj.go.jp/content/000124043.pdf

1 受験者数等
(1) 出願者12,622人
(2) 欠席者2,275人
(3) 受験者10,347人
(うち途中欠席52人)
(4) 受験率82.0%
(注)受験率とは,出願者に占める受験者の割合である。
(5) 採点対象者10,295人
2 短答式試験の合格者
(1) 合格点
各科目の合計得点170点以上(270点満点)
(2) 合格者数
2,018人
(3) 合格者の平均点
185.7点

ちょっと解せません。
去年より受験者数が約12%、1,123人も増えているのに合格者数はわずか1人増。
毎年、短答合格点を、司法試験の短答通過ラインと得点率でそろえていたのに今年はその“法則”を破りました。もし得点率でそろえれば合格点は165点のはず。短答は司法試験と予備試験で共通問題が多いから、得点率でそろえることで公平性を保とうとしていたのかと思ってましたが違ったんですね。

あえて予備試験を狭き門にしようとしているのかな。
受験資格を制限する予備試験の「入口」の規制が思うようにいかないので、「出口」の規制、すなわち合格者数の抑制の方向に大きくシフトするのか・・。

なにしろ司法試験委員会は「予備試験の実施方針について」と題する文書の中で、合格者の判定に際し、

法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度の理念を損ねることのないようにする必要がある。

と堂々と宣言している機関ですからねえ。

※参考
【速報】平成26年司法試験予備試験 短答試験合格者数は2,018人、昨年よりほぼ横ばい、対受験者合格率は過去最低(Schulze BLOG)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52074088.html

法務官僚のまともな現状認識に驚き

第8回法曹養成制度改革顧問会議(5月23日開催)の議事録を紹介している黒猫先生のブログ記事を読んで驚きました。

予備試験について法務官僚側がこれほどまともな現状認識、分析をしてるとは!
まあ、虚心坦懐に現状を見つめ、合理的に思考すればふつう、こうなりますよね。しかし“法科大学院さえ維持できればロー生、受験生、司法の将来がどうなっても構わない”という曇った目でしか現状を見られない人には無理でしょう。

松本裕副室長は文科省法科大学院特別委員会の委員も務めてますね。同じ発言をぜひ、ロー推進派が多数を占める特別委で披露し、予備試験受験制限で生き残りを図ろうとしている人たちに引導を渡してほしいです。

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