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2014年9月

2014年9月29日 (月)

朝日社説が言う「公平」な制度とは?

「弁護士は食えない? 元司法修習生が損害賠償請求」(Economic News)
http://economic.jp/?p=40664

現行法曹養成制度の問題点がいろんなネットメディアでとりあげられるようになりました。

記事の締めくくりの

金銭的な不安や負担が多いことから、それをカバーできる環境の人しか法曹界に入れないという声も上がっている。公平な判断を下す司法の場で、不公平がまかり通ろうとしている。

という指摘は、ほんこれ、としか言いようがありません。

公平」といえば、朝日新聞も9月12日付社説を

意欲ある人を逃さない。公平で先の見通しがきく制度を確立したい。

と締めくくり、法曹を目指す人たちの「公平」性の確立を訴えています。
ならば、予備試験受験を制限すべきでないという方向の主張になるのかと思いきや、その前段で社説は、法科大学院の充実が図られることを条件に「予備試験のあり方も検討するべきだろう。」とも述べ、予備試験制限の必要性を示唆しています。

この一見、ちぐはぐな主張を矛盾なく解釈しようとすれば、朝日のいう「公平」とは、原則としてすべての司法試験合格者が法科大学院を経由することで、「不公平」とは法科大学院を経由しない合格者が例外の許容性を超えて存在する状況を言うと思われます。

つまり、「法曹を目指す」という観点からの「公平」の意味が、
・Economic Newsでは“お金のある人もない人も等しく目指せること”を言い、現行ロー制度は「公平」の阻害要因
・朝日社説では“原則として全ての人が法科大学院を経由すること”を言い、予備試験が「公平」の阻害要因
というふうに異なるように思います。

この違いの原因は、司法制度改革の理念が正しいと信じ込んでいるかどうか、司法の行く末を本当に考えているかどうか、によると思います。

映画の感想 「ザ・テノール 真実の物語」

映画「ザ・テノール 真実の物語」(10月11日より全国公開)
http://the-tenor.com/

縁あって本作の企画・制作に関わった方から試写会のお誘いを受けました。
映画やオペラはほぼ門外漢ですが、少々感想を。

実話を基にしたストーリー。
この実話は私も知っていたくらい、結構有名です。
ですから、ストーリーの骨格は観る前から分かっていました。
それでも、作中にさまざまなエピソードや人間模様がちりばめられており、登場人物の心の葛藤や関係者の尽力の大きさを実感しつつ、ストーリーを堪能しました。背景は自分が聞きかじっていた話よりもはるかに深いです。

私が思うに展開や演出は、良質の韓流ドラマといったテイスト。でも、そこは映画ですから映像美、音響効果のレベルの高さはTVドラマとは格段に違います。とくに冒頭のアリア「誰も寝てはならぬ」のオペラ舞台のシーンは圧巻で、この迫力たっぷりの冒頭シーンが、最後の感動のフィナーレまで観客の目をスクリーンに釘付けにする効果を発揮しています。

作品のテーマは、音楽を通じた、家族愛と国境を越えた友情。
日韓関係がぎくしゃくしている今、この映画が公開される意義は少なくないと思います。

2014年9月21日 (日)

法科大学院離れと予備試験との関係

予備試験は法科大学院への入学者を奪っているのか(タダスケの日記)
http://d.hatena.ne.jp/tadasukeneko/20140920/1411191117

これは分かりやすく鋭い分析だと思います。勉強になります。

予備試験がロー進学者を奪っている(だから予備試験を制限すべし)という主張は、因果関係と相関関係の区別ができておらず、両者を混同しているのでしょう。

つまり、法科大学院離れの原因は、必ずしも予備試験の受験資格が無制限だからではない。ロー志願者が減っているのも、予備試験の受験者が増えているのも、タダスケ先生が仮定する「要因X」という、第三の共通原因によるものと思われます。

新聞各社が予備試験を制限すべし、としている論調は、法科大学院離れという社会事象の本当の原因を自前で探求しようとせず、ロー関係者や文部科学省関係者の話を鵜呑みにしているだけだと思われます。取材先の話が本当に正しいかどうかを自ら分析できなければ、ジャーナリズムとしては失格でしょう。

2014年9月16日 (火)

東大、5季ぶりのホームラン

東大・有井、チーム5季ぶりの本塁打「下半身強化の成果」/東京六大学(サンスポ)
http://www.sanspo.com/baseball/news/20140914/unv14091419190006-n1.html

一昨日(14日)も東大は負けてしまいましたが、有井主将のホームランには感動しました。
私は3塁側から観ていましたが、この映像でも豪快な一発だったことがよく分かります。

私が生観戦で東大のホームランを観たのは2011年秋に田中選手が早大の現エース、有原投手から放った一発以来、6季ぶり。この時も3塁側で観ていましたが、有井選手のホームランは田中選手の一発とほぼ同じ軌道で左翼席に飛び込みました。

以下の動画で有井選手は、連敗を止めるというチームの目標を掲げ、目標達成に向けた自身の夢として「神宮でホームランを打ちたい」とはっきり語っています。

「神宮でホームランを打ちたい」という夢は多くの大学野球選手が抱くものでしょう。しかし、それを実現する人はごくわずかで、多くの選手は夢のまま神宮を去っていきます。

一昨日は、選手が困難な夢をかなえる瞬間に立ち会えて本当に感動しました。

次は、連敗阻止という目標をぜひ実現してください。

2014年9月15日 (月)

合格者数2千人割れを受けた各社社説

法科大学院の立て直しを急げ(10日付 日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO76876300Q4A910C1EA1000/

「(現状は)じっくりと創造力や法的な分析力を養う、という司法改革の理念に逆行する」

法科大学院 質を高め理念の実現を(12日付 朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11346438.html?ref=editorial_backnumber
※全文は登録しないと読めません。

「法科大学院でしっかり学べば、大方の学生が司法試験を通り、実務に優れた人材になれるという当初の理念を実現できるのか。真価を問われるのは、これからだ。」

司法試験 法科大学院の不振は深刻だ(11日付 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20140911-OYT1T50018.html

「予備試験組が増え続ければ、現在の法曹養成制度の根幹が揺らぎかねない。法科大学院の改革は待ったなしである。」

法科大学院 抜本見直しを急ぎたい(14日付 北海道新聞)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/562705.html

「法曹を増やし、紛争解決など法律サービスを市民が利用しやすくする―。政府が12年前に閣議決定した司法制度改革推進計画の理念はぜひとも実現してほしい。 」

法科大学院 提携や統合で質高めよ(15日付 毎日新聞)
http://mainichi.jp/opinion/news/20140915k0000m070083000c.html

「実務家によるきめ細かな授業を重視する法科大学院の理念は今後も尊重してもらいたい。政府が進める予備試験の見直しは不可欠だ。」

これはいったい何の大政翼賛会ですか。

法曹の就職難、法科大学院の定員割れ、法曹志願者の激減。これだけ現行法曹養成制度の歪みが噴出しているのに、各社そろって司法制度改革の理念や根幹に一切誤りはないという前提を崩さない。
戦時中、戦況が悪化の一途をたどっても、新聞が大東亜共栄圏の構築という戦争の大義に疑念を持たず、戦争の早期終結に無力で結果として未曽有の惨禍を防げなかった歴史の繰り返しのように思えてなりません。

安全保障やエネルギー政策では各社独自の論陣を張っているのに、なぜ司法制度改革に関しては判で押したように同じ論調なのか。

その理由はよく分かりません。私が勝手に想像するところでは、過去に司法制度改革を是として社論を展開し旗を振ってきた以上、いまさら「あれは間違ってました」と言えないだけではないか。つまり、単に各社の面目、体面をとりつくろおうとしているだけではないか。
だって、「このままでは法曹界に人材が集まらなくなってしまう」と憂う一方で、「人気が高ま」り、なんとか法曹志願者の流出を食い止めている予備試験の「受験を制限することを検討する必要もあろう」(日経社説)なんて、まともな合理的思考とは到底思えませんから。

朝日の社説が載った12日付の朝刊は、吉田調書の記事取り消しについて誤りを認める時期が遅きに失したことを自ら検証しています。司法制度改革についても過去の社論に誤りがなかったかを早急に検討し、あらためるべきはあらためた方がいいのではないかと老婆心ながら思います。

2014年9月 9日 (火)

間もなく司法試験の合格発表※追記あり

発表はまもなく午後4時です。

まずは面識のある受験生がみんな合格してほしいです。

それ以外に注目している点は
・合格者数
(例年通りの2,000人程度と予想。もし2,000人を1人でも割れば、司法試験委員会(考査委員会)とその背後にいる法務省が「これからは減らしてくよ」というメッセージを発したとみていいと思います)
・予備合格組の合格率
(60%台と予想。ロー修了との二重資格の合格者はほとんど、ロー修了の方にカウントされてしまうこともあり、去年よりは落ちると思われ。それでも今年もロー1位校の合格率は上回るでしょう)
・まだ募集停止していない「下位ロー」の合格者数、率
(ゼロのところが出ないか。ゼロでなくても募集停止不可避の数字になるところがありそうな)
・「上位ロー」と呼ばれるところの合格率
(東一慶とそれ以外で二極化が進むのではないか)

※追記(9月15日)
速やかに各注目点の総括をするつもりでしたが、公私多忙でできないまま時期を逸してしまいました。替わりにコメント欄にてフォローしていただきましたこと、御礼申し上げますm(_ _)m

2014年9月 6日 (土)

「新聞ななめ読み」もどき

法科大学院存続へ必死 甲南大や関大、相次ぐ定員割れ(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASHC05H0E_V00C14A9AC8000/

記事に記されている現象や関係者の発言内容については、ここでは言及しません。

事件や事故のように、日々刻々と発生する生(なま)の事実を速報性をもって伝える記事ではなく、本記事のような、まとめ的な記事では、単に現象や関係者の発言を羅列して伝えるだけでは物足りません。そのような現象や発言が登場する背景や原因は何か、まで探求しなければジャーナリズムとは言えないと思うのです。

甲南大や関大を必死の生き残り策に走らせる定員割れや募集停止がなぜ相次いでいるのか、という重要な点が本記事には書かれていないので、背景事情を知らない読者はモヤモヤするでしょう。ちらっと予備試験人気に言及していますが、これが定員割れの背景や原因だと明確に書いてあるわけではありませんし、なぜ予備試験の人気が高まっているのかも書かれていません。

日経は法科大学院関連の記事が他紙より多いだけに、たとえ地域ニュースとはいえ、もっと本質に迫った記事を期待したいところです。

再び「胸アツ」な一日

昨日は、働きながら司法試験合格を目指す御二人と一杯やってきました。

1人は、予備試験合格者で今年の本試験結果待ちの方。
もう1人は、予備試験受験者で今年の論文試験結果待ちの方。
いずれも法科大学院ルートを選択できる環境にない方たちです。

御二人とも、受験勉強をするには厳しい環境にありながら、司法試験合格に向けて勉強に真摯に取り組み、努力されています。
予備合格者の方は、自身の経験やノウハウや資料を惜しげもなく予備受験者の方に提供し、予備受験者の方は、それらを細大漏らさず自分のものにしようと熱心に耳を傾けていらっしゃいました。そうした御二人の熱意のこもった姿に胸が熱くなりました。

社会人受験生の支援を微力ながら今後も続けていこうと、決意を新たにしました。

※参考過去記事
「胸アツ」な一日(拙ブログ)
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-2b53.html

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