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2015年5月

2015年5月30日 (土)

司法試験受験環境の地域間格差、ますます広がる(6/3追記あり)

「山学大法科大学院が来春、募集停止」(山梨日日新聞電子版)
http://www.sannichi.co.jp/article/2015/05/30/00054377

山梨学院大の略称って「山学大」なんですね。

それはさておき

法科大学院の淘汰の荒波にさらされやすいのは、人が集まりにくい地方ローです。地方ローが募集停止になるにつれ、司法試験受験環境の都市部と地方との地域間格差がますます広がるのは避けられないでしょう。

「地方の拠点や社会人を多く受け入れる法科大学院は守り、法曹の質の多様性を保つ努力も怠ってはならない。」(5月26日付西日本新聞社説よりといくら主張しても中央政府や有識者会議にそんな配慮はみられません。朝日の報道によれば「強制閉校」に至る対応の判断材料として想定されているのは、あくまで「司法試験の合格率低迷など」です。

法科大学院制度はもともと地方の法曹志願者を切り捨てるような制度なのに、さらに法科大学院の淘汰を推し進めて地域間格差を広げようとしているのが今の政府の対応です。法曹養成制度の中核に法科大学院を据え続ける限り、地方の受験環境の劣勢を回復するのは極めて困難だと思います。

6/3追記
schulze先生の記事によれば、新たな法科大学院認証評価基準の客観的指標は

・入学者選抜における競争倍率(目安:2倍未満)
・入学定員充足率(目安:50%未満)
・入学者数(目安:10名未満)
・司法試験合格率(目安:司法試験合格率が全国平均の半分未満)

とのことです。

西日本新聞の社説が主張する「地方の拠点」や「社会人の多数受け入れ」などは、少なくとも客観的指標としては考慮されていません。

これは事実の歪曲でないの?

「法科大学院、強制閉校も 政府案、司法試験の低迷校を」(5月29日付・朝日新聞デジタル)
http://www.asahi.com/articles/ASH5W56BPH5WUTIL01Y.html

この記事の主たるテーマに関する論評は脇に置いて、朝刊紙面では上記記事の続きに以下のようなフレーズがあります。
ロー志願者が激減している現状を指摘した後、

 「一方で修了しなくても受験資格を得られる予備試験の受験者が増えており、大学院側からはこうした仕組みを問題視する声が出ている。」

今年の予備試験は志願者、受験者とも、わずかではありますが減少に転じました。
これが客観的事実。
ある事実には多角的な見方が可能だとしても「予備試験の受験者が増えており」という評価にはどう考えてもならないでしょう。何がなんでも予備試験人気を強調したいとしてもせいぜい「予備試験受験者の増加傾向が続いてきた。」とか、過去形ないし現在完了形的な表現で書くのが限度ではないでしょうか。

これは事実の歪曲だと私は思います。

この日の朝刊記事ではほかにも、ロー志願者減少の原因を「合格率の低迷など」という記述で済ませて法曹自体の人気の低迷にほおかむりしたり、ごく一部の人しか通過できない極めて細い「いばらの道」を、「抜け道」扱いにしたりと、相変わらず現状認識がずれている。

池上彰さんの見解を「新聞ななめ読み」で伺いたいところです。

2015年5月25日 (月)

法曹人口に関する先見の明

「司法制度改革審議会意見書(III 司法制度を支える法曹の在り方)」より抜粋
http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/report/ikensyo/iken-3.html

第1 法曹人口の拡大
1. 法曹人口の大幅な増加
(中略)
 このような観点から、当審議会としては、
法曹人口については、計画的にできるだけ早期に、年間3,000人程度の新規法曹の確保を目指す必要があると考える。
(中略)
 なお、実際に社会の様々な分野で活躍する法曹の数は社会の要請に基づいて市場原理によって決定されるものであり、新司法試験の合格者数を
年間3,000人とすることは、あくまで「計画的にできるだけ早期に」達成すべき目標であって、上限を意味するものではないことに留意する必要がある。

「法曹人口の在り方について(検討結果取りまとめ案)」に関する報道(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150521-OYT1T50066.html

 政府は21日、司法試験の合格者を「年1500人以上」とする案をまとめた。
 7月までに法相や文部科学相ら6閣僚による「法曹養成制度改革推進会議」で政府方針として正式決定する見通しで、
司法制度改革で「3000人程度」とされた政府目標は事実上、半減する。9月に合格発表がある今年の司法試験から決定を踏まえて合格者数が決められる。法曹人口の大幅増を掲げた改革は大きく転換することになった。

司法制度改革審議会委員名簿(2001年)
http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/report/ikensyo/meibo.html
文部科学省中教審法科大学院特別委員会委員名簿(2015年)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/meibo/1357976.htm

司法制度改革意見書が出されてから今日まで、司法界をとりまく予測困難な社会情勢の激変もない中で、従来の「3,000人程度」目標を大転換させる政府目標案が出ました。この見込み違いの責任は誰がとるんでしょうか。
私がもし、この予測大はずれの意見書の提出に関わっていたとしたら、自らの先見の明のなさを恥じ、法曹養成の制度設計や運用決定に二度と関わらないと思います。だって、そんな私が法曹養成について何を言っても誰も信用してくれないでしょうし、そもそも政府がそんな私に再び意見を求めようなんて思うはずもないでしょうから。

東大連敗ストップに思う

昨日は東大は2対6で敗れ、勝ち点奪取はなりませんでしたが、神宮では球場の内外に普段はみられない報道のテレビカメラが結構いて、連敗ストップの反響の大きさを物語っていました。

ただ、今回の1勝は「快挙」でもなんでもないことは指摘しておきたい思います。
総当たりのリーグ戦で争う勝負事ですから、勝敗がイーブンで平均点です。5年前に最後に勝った日を起点とすれば、今回1勝したことで借金「94」が「93」に戻ったに過ぎません。昨日負けてしまったので再び借金「94」に逆戻りです。優勝争いとまでは言わないけど、OBの大越さんが言う通り、せめて「他大学の脅威」になることを目指すべきと思います。

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私が今回の1勝に思う意義は、ありきたりですが“明けない夜はない”“乗り越えられない壁はない”ということです。

東大戦を一度、神宮でみれば分かると思いますが、東大と他大の選手では体格の大きさが一見して違います。シートノックの動きでも実力の差はありあり。高校時代の活躍実績はもう天と地の差があります。この実力差を考えれば94連敗はさもありなん。100連敗も仕方がないとすら思っていました(ならば実力拮抗が前提のリーグ戦から出て行くべき、という議論はここでは脇に置きます)。

出口の見えない長いトンネル、乗り越えられそうもない高い壁が東大の前に立ちはだかっていました。それでも地道な努力を積み重ね、試行錯誤を繰り返して弱者が強者を倒すための戦略を構築し、そこに相手のミスが重なれば勝機はある。その成果が先の1勝だと思います。乗り越えたい、という確固たる意思があれば乗り越えられない壁はない、とあらためて思いました。

ただ、これには「時間」の限界があるという点に留意が必要です。
チームとして考えれば、リーグが未来永劫続く限り、壁を乗り越えるのに費やせる時間はいくらでもあります。しかし、選手個人として考えると、費やせる時間は4年間しかありません。実際、この春に卒業した部員は一度も勝利を味わうことがないまま、壁を乗り越える時間を打ち切られてしまいました。
司法試験でも現行制度はロー終了後または予備試験合格後5年5回しか受験できないという時間制限があります。
さらに言えば人はいつか必ず死ぬ、という絶対的なタイムリミットがあります。

結局、目標を達成するという確固たる意思の存在を前提に、目標達成までの高い壁は努力や工夫や戦略を駆使すれば必ず乗り越えられる。ただ「時間の壁」だけは乗り越えることができない。「夢」は努力すれば何でも必ず実現できるわけではなく、時間との兼ね合いは無視できないと実感しました。

ところで私が東大戦を見続けてきた主たる動機は、東大が勝つ瞬間を生で見たい「番狂わせ」の醍醐味を生で味わいたいというものでした。その目的は土曜日に達成しました。これからは今ほど頻繁に神宮に行くことはないと思います。
これからは東大が勝っても決して「番狂わせ」ではない。そういう時代になると信じているからです。

2015年5月23日 (土)

【速報】東大勝ちました

延長の末6対4で法政下しました。
本当に感動しました。
足しげく神宮に通ったかいがありました。

東大応援部、存続の危機(朝日新聞デジタル)

東大応援部が大ピンチ 新入生集まらず存続の危機(朝日新聞デジタル)
http://www.asahi.com/articles/ASH4Z3RRJH4ZULZU004.html

うーん、これは危機的ですね。
東京六大学で東大野球部は最弱ですけど、東大応援部は最強と思っています。
でも人が集まらなければどうしようもない。

ここは野球部が勝つことで応援部を盛り上げてこれまでの恩返しをするしかないでしょう。

2015年5月21日 (木)

たとえ今年の合格者数が1500人程度でも

司法試験「合格1500人」に半減…政府目標案(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150521-OYT1T50066.html

 政府は21日、司法試験の合格者を「年1500人以上」とする案をまとめた。
 7月までに法相や文部科学相ら6閣僚による「法曹養成制度改革推進会議」で政府方針として正式決定する見通しで、司法制度改革で「3000人程度」とされた政府目標は事実上、半減する。9月に合格発表がある今年の司法試験から決定を踏まえて合格者数が決められる。

司法制度改革においてコロコロ変わる受験制度や法曹人口の目標設定をめぐる混乱、ドタバタで最も被害を受けたのは司法試験受験生ではないかと思います。この混乱につき責任を負う立場にある人たちには、いつか必ず落とし前をつけていただきたいものです。

たとえ今年、合格者数が減らされることになったとしても、受験生は特に動揺する必要はないと思います。
年間2,000人合格時代になって以降、就職や任官などで司法試験合格成績順位が影響するといわれるようになりました。噂レベルではありますが、合格時に成績順位が低かった人が高順位を目指して司法試験を再受験するケースがあるらしい、という話もあるくらいです。
しかし、合格者数が1,500人程度に絞られたとしたら、就職などで成績順位がものをいう風潮は解消されていくと推測されます。順位を気にせず、単純に合格だけを目指すことができ、精神的にはずいぶん楽になると思います。合格後の就職難も、わずかながらでも緩和される可能性もあります。

とにかく政府、官僚、有識者と称される人たちによる身勝手な方針転換に惑わされることなく、今回の政府側提案も前向きにとらえて、合格に向けて受験勉強に邁進されるのが吉(きち)と私は思います。

司法試験合格1500人案は妥協の産物

「法曹人口の在り方について(検討結果取りまとめ案)」が公表されました。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/hoso_kaikaku/dai20/siryou5.pdf

何度か読み返してみましたが、司法試験合格者が毎年「1,500人程度は輩出されるよう」求める結論に至った根拠、理由がよく分かりません。私なりに、この法曹養成制度改革推進室の取りまとめ案を要約すると

(1)法曹人口は今後も増加させていくべきだし、これまでの1,800人~2,100人の規模も相当だった。
(2)ただ、「法曹養成制度の実情及び法曹を志望する者の減少その他の事情による影響」を考えると今後1.500人を下回る事態になりかねない。
(3)しかし,司法制度改革の理念を実現するためには最低でも1,500人程度は確保すべきである。そのために関係者は努力すべし。
(4)もっとも法曹の質を落としてまで1,500人程度を達成せよ、とまでは言わない。

という感じでしょうか。

この流れがよく分からない原因の一つは(1)と(2)で各々言っていることの前提に矛盾があるからではないかと思います。すなわち、(1)で今後も法曹人口を増やすべきと主張するのは「需要はある」という前提でしょう。しかし、(2)で言う「法曹を志望する者の減少」は就職難≒「需要がない」ことが前提になろうかと思います。この矛盾に加え「法曹養成制度の実情」及び「その他の事情による影響」というのも何のことやらよく分かりません。法科大学院の相次ぐ募集停止とか合格率の低迷とか高い学費とか予備試験とか、そういうことを言いたかったのかもしれませんが、具体的に記さないと分かりにくいです。
さらに(3)は、(2)の「影響」からかなり落ち込む恐れがある合格者数を1,500人まで引き上げるべきと主張するものです。しかし、その主たる理由として司法制度改革の理念と、それに基づく必要性を挙げるのみで、“現実に需要がある”と明言していないから説得力に甚だ欠けます。
(4)だけは、極めてまどろっこしい表現にもかかわらず、言いたいことはよく分かる(笑)。

結局この提案の実体は、当初の3,000人目標が見込み違いだったという評価を回避して改革推進派の顔を立てつつ、法曹志願者の減少という深刻な現実に対処するための「妥協の産物」なのでしょう。煙に巻かれたようにあいまいで、いかにも官僚が作成したらしい「一読不了解」な文章なのは、そのせいだと思います。このような中途半端な提案で法曹養成をとりまく現状を改善できるとは思えません。

【速報】司法試験合格者“1500人確保を“(NHKニュース)

「司法試験合格者“1500人確保を“」(NHKニュース)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150521/k10010086831000.html

政府は、質の高い法律の専門家は社会にとって不可欠だとして、今後も毎年の司法試験で少なくとも1500人程度の合格者を確保できるよう、法科大学院をはじめとする専門家の養成制度の改革に取り組むべきだなどとする考え方の案を公表しました。

4月16日の法曹養成制度改革顧問会議で次のような資料が配布されていますが、
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/hoso_kaikaku/dai19/siryou4.pdf
この資料の203ページから207ページ(PDFページ番号では215から219)の「調査結果のまとめ」の項を読んで、おそらく1,
500人を下る目安を出すことはないだろう、と思っていましたが、やっぱりそうでした。

1,500人でも今年の約1,800人と大して変わりませんし、法曹人口は増加していきますから、就職難の現状はさほど変わらないと思います。

※他の報道
司法試験合格 年1500人に 政府案、当初目標から半減(日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG21H06_R20C15A5MM0000/

司法試験:合格目標1500人 政府案半減(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150521k0000e040208000c.html

司法試験合格者、1500人以上 政府が下方修正(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015052101001013.html

2015年5月20日 (水)

共通到達度確認試験(試行)を解いてみた

法科大学院特別委員会提出資料に「法科大学院共通到達度確認試験(仮称)の試行に関する調査研究」報告書というものがあり、その中に3月に試行された共通到達度確認試験(仮称)の問題と回答などが掲載されています。

科目は憲民刑の3科目で、このうち試しに憲法(100点満点)を時間内に解いてみました。
憲法に限っていえば、司法試験レベルに比べて相当簡単で、本試験合格レベルであれば確実に90点以上はとらなければいけない問題だと思いました。

などと、偉そうに言ったものの、私は80点で「本試験合格レベル」に到達しませんでした(>_<)
言い訳ですが、受験勉強を終えてから5年近いブランクがあるし、間違えたところはブランク期間中に出た最新判例が中心だったということで勘弁してくださいm(_ _)m

ただ、本試験レベルより簡単とはいえ、ある程度の基本判例の知識と理解がなければ歯が立たない問題であることは間違いないと思います。
資料によれば試験を受けたのは法科大学院1年次の法学未修者で、憲法の平均点は57.83点です。出題範囲に限定はなく、人権・統治の全範囲に及んでいます。
私の感覚だけで申し上げれば、もし受験者が純粋未修者で他科目の勉強もある中で、勉強を始めて1年弱でこの問題を5割以上正解したとすれば、順調に勉強が進んでいると言ってよいのではないかと思います。
資料によると、憲法の受験者は481人で、平成26年度入学の法学未修者の約6割を占めます。そして受験者の73.4%は50点以上とっていて、ここまでのレベルは2年次への進級に十分値すると私は思います(繰り返しますがあくまで憲法科目に限った私の個人的感想であって、客観的な根拠はありません)。
しかし実際には、3年で修了できる未修者は約半数の54%にとどまっています(H26年度)。文科省は標準修業年限修了率の低下について「厳格な成績評価・修了認定の実施による」と言っています。試験のための勉強が順調に進んでいる人を単位認定段階で足踏みさせるようなことはないとは思いますが、あってはならないことと思います。

久しぶりに泣けた記事

「非情と温情 史上唯一「サヨナラボーク」の真相」(中日スポーツ)
http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/column/koshienshinseiki/CK2015051902000252.html
「サヨナラボークを宣告した審判の心中」(デイリースポーツ)
http://www.daily.co.jp/baseball/2015/05/19/0008039063.shtml

ほとんど同じ内容の記事が別のマスメディア媒体に同日に掲載されている事情はよくわかりませんが、それはさておき、久しぶりに新聞記事で泣けました。

この有名なサヨナラボークの試合はリアルタイムでテレビ中継を見ていました。最後の予想外でせつない幕切れは高校野球史に残る名場面といっていいと思います。
この試合については、両チームゆずらない拮抗した展開の果てに予想外のミスで勝負が決まった好ゲーム、という印象を持っていましたが、審判の非情さを指摘する声があったとは知りませんでした。
審判は正しくジャッジして当たり前。微妙な裁定をすればあちこちから非難されるつらい立場ですから、こういう裏話で審判の隠れた苦悩を知ることができてよかった。

経歴からみて林球審は東京六大学野球でも選手、審判として活躍されたとお見受けします。

記事中の宇部商投手とのやりとりも感動的ですが、個人的に涙腺が崩壊したのはココ。

 大敗の終盤に背番号「18」の選手が代打で出てくる。明らかに足が震えていれば、こっそり「深呼吸しなさい」とささやいて、汚れてもいない本塁ベースを掃き、時間を取ってやる。
 「甲子園は、誰にとっても一世一代」。少しでもいいプレーをさせてやりたい。

緊張がまだとけないフレッシュマンの姿を会社で見かけるこの時期。
今の私は自分のことだけで精いっぱいだけど、できれば林球審のような目配り心配りができる先輩でありたいです。

2015年5月19日 (火)

予備試験受験者数も減少に転じる

司法予備試験、今年も1万人(朝日新聞19日付朝刊)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11760893.html

法務省は18日、法科大学院を修了せずに司法試験の受験資格を得られる「司法試験予備試験」の今年の受験者が、昨年より13人少ない1万334人(速報値)だったと発表した。

予備試験出願者数、受験者数の推移(カッコ内が受験者数)

平成23年  8,971人(6,477人)
平成24年  9,118人(7,183人)
平成25年 11,255人(9,224人)
平成26年 12,622人(10,347人)
平成27年 12,543人(10,334人)
※H27は速報値

出願者数のみならず受験者数も初めて前年を下回りました。法科大学院受験者数、入学者数の減少と併せて、法曹界が萎んでいく懸念が高まりつつあるように思います。

ただ、記事では受験者が減少に転じた事実より「1万人」が受験した事実の方を重視して見出しにとり、予備試験の人気が依然として高いという印象を与えています。まあ、そうしないと「予備試験が人気」と見出しにとり、その前提で書いてしまった2月22日付朝刊紙面と齟齬をきたしてしまうので、そうせざるを得なかったのかもしれません。

また、ネットで読めない部分は紙面ではこうなっています。

文部科学省によると、今年度の法科大学院の受験者は9351人で初めて1万人を割った。予備試験の受験者が法科大学院の受験者を上回るのは、2年連続となる。法科大学院が敬遠され、予備試験に受験生が集まる傾向が続いている。

法科大学院受験者数は延べ数、予備試験受験者数は実数で数字の性質が違いますし、両方の重複受験者も少なくなくないでしょうから、単純に両数字を比較してもさほど意味はないと思います。それになのにあえて比較して、あたかも予備試験のせいで法科大学院に人が集まらないかのように報じるのは、ある種の印象操作といったら言い過ぎでしょうか。そもそも予備試験受験者数が頭打ちになったという厳然たる事実を前にしながら「予備試験に受験生が集まる傾向が続いている」と評するのは無理があり、ジャーナリズムとして的確に事実を捉えているといえるのか甚だ疑問です。

以前にも毎日新聞の記事を引き合いに似たようなことを書きましたが、一つのデータについて言える多角的な評価のうち、自らに都合のよい評価を特別に強調して偏った記事を書くことは可能です。ただしこういうことをすると、マスコミの信頼性はますます失われていきます。

昨日の高知新聞社説の的確さが際立ちます。

2015年5月18日 (月)

高知新聞社説―「受験減少は法曹の危機」の感想

「【法科大学院】受験減少は法曹の危機 」(18日付高知新聞社説)
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=337997&nwIW=1&nwVt=knd

法曹志願者が減少している現状とその原因、現状を放置した場合にもたらされる弊害が正しく認識されているいい社説だと思いました。とくに

他方で、法曹需要は伸び悩み、弁護士は供給過剰ともいわれる。若手弁護士の就職難や生活苦も問題となっている。苦労を重ねて司法試験に合格しても報われないとなれば、入り口の法科大学院の志願が減るのも無理はない。

という部分は、とかく大手紙がロー不人気の原因を、合格率の低迷や予備試験人気のせいにして済ませているのとは大違いです。中央の誤った施策を正しく批判できるのはやはり地方紙だな、とあらためて実感しました。

社説は「現状を放置することは許されない。」というフレーズで結んでいます。ただ、欲を言えば、改善策の検討を中央に丸投げするだけにとどまらず、できればもう一歩、踏み込んでほしかったです。

香川・愛媛大法科大学院が廃止になれば、四国に法科大学院はなくなります。四国在住の法曹志願者が法曹を目指すには原則として、他の地方の法科大学院に進まなければなりません。受験環境としては都市圏に比べ圧倒的に不利で、著しい地域間格差と言えます。

この現状を打破する最善策は、司法試験の受験資格制度を廃止することですが、これは現制度の根幹に関わるのでそう簡単に実現できません。
そこで現行制度の下で地域間格差をなくすための次善の方法を考えてみると、それは、住む地域や資力に関係なく誰もが受験できる予備試験の合格枠を拡大することです。
ところが、現状では予備試験合格者数が過少に制限されています。これでは受験環境の地域間格差はいつまでたっても縮まりません。

他の地方に出なければ法科大学院に通えない、という事情は十分に「経済的事情」と言えます。お金があれば引っ越して(仕事もやめて)他の地方の法科大学院に通うことができますから。そうであれば、地方ローの相次ぐ廃止に伴い、地方の法曹志願者のために予備試験枠を拡大せよ、と主張することは予備試験の制度趣旨にバッチリ適います。

中央行政や中央政治への遠慮やしがらみがない地方紙だからこそ、予備試験合格者数の抑制を問題視する主張を展開できると期待しています。

2015年5月16日 (土)

但木元検事総長のコラムの感想

日経12日付夕刊のコラム「あすへの話題」で元検事総長の但木敬一氏がコラムを寄せています。
「急がば回れ」というタイトルのコラムの趣旨は、ひと言で言えば、法曹養成教育も6年制の医学部・医科大教育を見習うべし、というもの。「急がば回れ」の意味は、法科大学院終了前に司法試験に合格した者に「世界に通用する法曹資格を得るためにも」ローを修了した方がいい、と勧めるものです。要するに、予備試験ルートで司法試験に合格した現役ロー生に、ローを中退するな、と言いたいように読めます。

しかし、こちらのブログ主の感想と同じく、私にはいまひとつピンときません。

コラムではローに残ってでも学ぶべき分野の例示として「世界の独禁制度」を挙げています。しかし「世界に通用する」レベルの独禁制度を学ぶのであれば、その学習の必要性を感じた実務法曹が、実務を踏まえた上で学ぶ方が合理的で、学習も短時間で円滑に進むと思われます。既に司法試験に合格した者が、実務に出るのを遅らせてでもローを修了するメリットを強調する根拠としては薄弱だと私は思います。

また、コラムは、なぜ法曹志願者がローを敬遠する傾向にあるかの理由に無頓着のように思います。そりゃ、誰しも法曹になる前に学べる機会があれば学びたいでしょう。でも、それにはお金がかかかる。職業として、ぶっちゃけて言えば「食い扶持」として法曹を選ぶからには、学習のために投じた資本の回収がある程度見込めなければ、ローに必要以上に金と時間を費やしたくないと考えるのは当然だと思います。現役ロー生の予備試験受験生の中には「経済的余裕がなく法科大学院に通い続けられない」という方が、わずかながらも現に存在します(この資料では2.5%)。こういう方への思いが、このコラムからは感じられません。

ともあれ、法曹養成に関する現時点での日経のスタンスがよく分かるコラムでした。

朝日は明日の予備試験スタートの機をとらえて何か書くかな?

※参考
「法科大学院を信奉するロマンチスト」(新卒社会人の徒然なるブログ)
http://ameblo.jp/zivilisation/entry-12025848406.html

頑張れ!予備試験受験生

いよいよ明日は予備試験短答試験です。
資力、受験環境を問わず、共通の試験の出来不出来という公平な基準の下で司法試験受験資格の獲得を目指す皆さんを応援しています。

ここまで来たら本番は自分の力を信じて、気張らず模擬試験のつもりでやるのが吉です。頑張って下さい!

2015年5月12日 (火)

朝日の報道見当たらず

昨日公表された法科大学院入学状況について朝日新聞がどう報じるのか興味を抱いていますが、少なくとも今朝ウチに配られた朝刊には1行も載っていません。ネットでは他紙はそれなりの重要ニュースとして報じているようなので、いわゆる「特オチ」状態となっています。

これはもしかして論調の大転換の予兆かとwktk

2015年5月11日 (月)

法科大学院の競争倍率2倍を切る

今日の法科大学院特別委員会配布資料によると、27年度の入学者数は2,201人で、昨年度の2,272人から3.1%減の71人減にとどまりました。

しかし、データで見る限り、大幅減を回避したのには訳があります。

今年度募集をした54校の競争倍率は平均1.87倍で、ついに2倍を切りました。ちなみに昨年度は2.00倍でした。
最も高いのは愛知大学の3.58倍。これに対し最も低いのは法政大学の1.10倍で、113人が受験して103人が合格とほぼ「全入」でした。おかげで入学者数は34人とほぼ倍増です。

一方、延べ受験者数は昨年度から900人余減り、9,351人と初めて1万人を割り込みました。にもかかわらず、入学者数が微減で踏みとどまった理由は、結局、入試での選抜機能を緩めたからであり、ローの不人気が下げ止まったからでは決してない、と推測されます。

予備試験の合格枠が狭められている限り、法曹の供給源は法科大学院修了組が主体とならざるを得ません。3月には各校で共通到達度確認試験(仮称)が試行されたようですが、修了認定の厳格化や司法試験合格者数の抑制等で選抜機能を高めないと、法曹の質に問題が生じる恐れも否定できないと思われます。

【速報】今年度の法科大学院入学者数は2201人

文部科学省法科大学院特別委員会配布資料による。

昨年度は2,272人。

推移のまとめはschulze先生のブログに詳細で分かりやすいものがいくつかありますが、とり急ぎ、こちらを紹介しておきます。
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52069730.html

2015年5月 5日 (火)

鍵盤楽器の凄い速弾き

GWですが、期間の半分は仕事です(泣)
それでも少しはのんびりした気分を味わいたいと思いつつ、今回はゆるいネタをつづります。

見た目も中身もまごうことなきオッサンになった私にも、ロック少年だったころがありました。 中学生時代、バンドを組んでベースとキーボードを担当していました。そう、レッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズ的ポジションです。文化祭のステージではわざわざベースアンプの後ろの、いるのかいないのか分からない位置で淡々と演奏していたのは言うまでもありません。当時はそれがカッコよくて渋いもんだと思い込んでいました。

当時は厨房らしく、とにかく速弾きにあこがれていました。ディープ・パープルの「ハイウェイスター」のソロに四苦八苦しながら「もっと平然と余裕のドヤ顔で弾ければなあ」と自分の下手くそぶりを嘆いていました。

歳を重ねてクラシック音楽に触れるようになり、速くても楽曲として弾けていなければただの一発芸にすぎないことが分かってきました。 そう悟った上で思わず「スゲー」ってなった動画を2つ紹介します。

「Rick Wakeman's awesome piano solo」

言わずと知れたキーボードの神様ですが、2分37秒あたりからのソロ(音色はパンフルートか)が激速! このあたりの右手の演奏を楽譜に起こすと、こんな感じなるようです。

Rick

どなたかの耳コピ(これを耳コピする能力もすごい!)のMIDIから楽譜に起こしたものです。テンポ120くらいで何小節も32分音符の連続。よく指がつらないなあ。

もう一つは 「piano chopin etude op10 no4 richter」

リヒテルによるショパン練習曲10-4の演奏ですが、1分34秒で駆け抜けています。
娘が高校生の時に発表会で同じ曲を弾いたので計ってみたら2分19秒。それでもまあまあの速さだと思っていたので、この動画を見たときは絶句しました。
ただ速いだけでなく楽曲としても十分に聴き応えのあるところが恐れ入りました。ハンカチを投げ捨てるやいなや演奏に入る姿も、一発気合いを入れて試合に入る格闘家のようで絵になります。
さすがピアノ界の巨匠です。

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