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2015年5月16日 (土)

但木元検事総長のコラムの感想

日経12日付夕刊のコラム「あすへの話題」で元検事総長の但木敬一氏がコラムを寄せています。
「急がば回れ」というタイトルのコラムの趣旨は、ひと言で言えば、法曹養成教育も6年制の医学部・医科大教育を見習うべし、というもの。「急がば回れ」の意味は、法科大学院終了前に司法試験に合格した者に「世界に通用する法曹資格を得るためにも」ローを修了した方がいい、と勧めるものです。要するに、予備試験ルートで司法試験に合格した現役ロー生に、ローを中退するな、と言いたいように読めます。

しかし、こちらのブログ主の感想と同じく、私にはいまひとつピンときません。

コラムではローに残ってでも学ぶべき分野の例示として「世界の独禁制度」を挙げています。しかし「世界に通用する」レベルの独禁制度を学ぶのであれば、その学習の必要性を感じた実務法曹が、実務を踏まえた上で学ぶ方が合理的で、学習も短時間で円滑に進むと思われます。既に司法試験に合格した者が、実務に出るのを遅らせてでもローを修了するメリットを強調する根拠としては薄弱だと私は思います。

また、コラムは、なぜ法曹志願者がローを敬遠する傾向にあるかの理由に無頓着のように思います。そりゃ、誰しも法曹になる前に学べる機会があれば学びたいでしょう。でも、それにはお金がかかかる。職業として、ぶっちゃけて言えば「食い扶持」として法曹を選ぶからには、学習のために投じた資本の回収がある程度見込めなければ、ローに必要以上に金と時間を費やしたくないと考えるのは当然だと思います。現役ロー生の予備試験受験生の中には「経済的余裕がなく法科大学院に通い続けられない」という方が、わずかながらも現に存在します(この資料では2.5%)。こういう方への思いが、このコラムからは感じられません。

ともあれ、法曹養成に関する現時点での日経のスタンスがよく分かるコラムでした。

朝日は明日の予備試験スタートの機をとらえて何か書くかな?

※参考
「法科大学院を信奉するロマンチスト」(新卒社会人の徒然なるブログ)
http://ameblo.jp/zivilisation/entry-12025848406.html

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