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2015年5月19日 (火)

予備試験受験者数も減少に転じる

司法予備試験、今年も1万人(朝日新聞19日付朝刊)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11760893.html

法務省は18日、法科大学院を修了せずに司法試験の受験資格を得られる「司法試験予備試験」の今年の受験者が、昨年より13人少ない1万334人(速報値)だったと発表した。

予備試験出願者数、受験者数の推移(カッコ内が受験者数)

平成23年  8,971人(6,477人)
平成24年  9,118人(7,183人)
平成25年 11,255人(9,224人)
平成26年 12,622人(10,347人)
平成27年 12,543人(10,334人)
※H27は速報値

出願者数のみならず受験者数も初めて前年を下回りました。法科大学院受験者数、入学者数の減少と併せて、法曹界が萎んでいく懸念が高まりつつあるように思います。

ただ、記事では受験者が減少に転じた事実より「1万人」が受験した事実の方を重視して見出しにとり、予備試験の人気が依然として高いという印象を与えています。まあ、そうしないと「予備試験が人気」と見出しにとり、その前提で書いてしまった2月22日付朝刊紙面と齟齬をきたしてしまうので、そうせざるを得なかったのかもしれません。

また、ネットで読めない部分は紙面ではこうなっています。

文部科学省によると、今年度の法科大学院の受験者は9351人で初めて1万人を割った。予備試験の受験者が法科大学院の受験者を上回るのは、2年連続となる。法科大学院が敬遠され、予備試験に受験生が集まる傾向が続いている。

法科大学院受験者数は延べ数、予備試験受験者数は実数で数字の性質が違いますし、両方の重複受験者も少なくなくないでしょうから、単純に両数字を比較してもさほど意味はないと思います。それになのにあえて比較して、あたかも予備試験のせいで法科大学院に人が集まらないかのように報じるのは、ある種の印象操作といったら言い過ぎでしょうか。そもそも予備試験受験者数が頭打ちになったという厳然たる事実を前にしながら「予備試験に受験生が集まる傾向が続いている」と評するのは無理があり、ジャーナリズムとして的確に事実を捉えているといえるのか甚だ疑問です。

以前にも毎日新聞の記事を引き合いに似たようなことを書きましたが、一つのデータについて言える多角的な評価のうち、自らに都合のよい評価を特別に強調して偏った記事を書くことは可能です。ただしこういうことをすると、マスコミの信頼性はますます失われていきます。

昨日の高知新聞社説の的確さが際立ちます。

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