これで法曹志願者が戻るのか
司法試験合格者数は「1500人程度以上」 政府が法曹養成制度改革の方針決定(産経新聞)
http://www.sankei.com/affairs/news/150630/afr1506300007-n1.html
法律の専門家を養成する制度の改革について検討してきた政府の法曹養成制度改革推進会議は30日、司法試験合格者数を「年間1500人程度以上」などとする方針を決定した。上川陽子法相は閣議後の会見で「有為な人材が多数法曹を志望するよう改革を推し進めていく」と話した。
(略)
予備試験は、法科大学院改革に合わせて必要な制度的措置を検討するとした。
長らく続いてきた司法制度改革の検証・見直し作業は一つの節目を迎えました。「決定」の詳細はまだ分かりませんが、この記事をみる限りでは予備試験に関する部分は(案)とさして変わっていないように思われます。
報道をみる限り新たな検討体制は当面は設けられないようなので、決定にしがってしばらくは法曹人口増員路線と法科大学院の淘汰、予備試験合格者の抑制が続くことになりそうです。
これでは法曹志願者の回復や質の低下への懸念の解消はとても見込めないでしょう。
多くの人にとって法曹という仕事が、多額のお金と時間をかけ、それらのコストを回収できないリスクを差し引いても魅力あるものなのかどうか、という根本的な問題が解決されない限り志願者は増えないでしょう。また、志願者が減り続けるまま司法試験合格「7割以上」と、法曹人口が増え続ける「1500人程度以上」を維持しようとすれば、質が下がるのは自明の理です。
最近、次のようなツイートを見かけました。
太平洋戦争も法科大学院も新国立競技場も、理想と現実が乖離しているにもかかわらず、失敗するという予測が明白なのに、あちらの顔を立て、こちらの顔を立てながら、責任あるものが、引き返すという選択を選ばないために、事が進んでいくという点において、共通しているように思える。
— ザッキー (@jinzaki0418carp) 2015, 6月 24
ほんとこれ。
司法制度改革の検証と見直しのために、何年もの間にいくつも検討体制が設けられました。その都度、制度を抜本的に見直す機会があったにもかかわらず、小手先の見直しで済ませてきたツケとして、いずれ取り返しのつかない弊害が生じないか危惧します。原爆が投下されるまで戦争を止められなかったように。
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