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2015年6月

2015年6月30日 (火)

これで法曹志願者が戻るのか

司法試験合格者数は「1500人程度以上」 政府が法曹養成制度改革の方針決定(産経新聞)
http://www.sankei.com/affairs/news/150630/afr1506300007-n1.html

法律の専門家を養成する制度の改革について検討してきた政府の法曹養成制度改革推進会議は30日、司法試験合格者数を「年間1500人程度以上」などとする方針を決定した。上川陽子法相は閣議後の会見で「有為な人材が多数法曹を志望するよう改革を推し進めていく」と話した。
(略)

予備試験は、法科大学院改革に合わせて必要な制度的措置を検討するとした。

長らく続いてきた司法制度改革の検証・見直し作業は一つの節目を迎えました。「決定」の詳細はまだ分かりませんが、この記事をみる限りでは予備試験に関する部分(案)とさして変わっていないように思われます。

報道をみる限り新たな検討体制は当面は設けられないようなので、決定にしがってしばらくは法曹人口増員路線と法科大学院の淘汰、予備試験合格者の抑制が続くことになりそうです。
これでは法曹志願者の回復や質の低下への懸念の解消はとても見込めないでしょう。
多くの人にとって法曹という仕事が、多額のお金と時間をかけ、それらのコストを回収できないリスクを差し引いても魅力あるものなのかどうか、という根本的な問題が解決されない限り志願者は増えないでしょう。また、志願者が減り続けるまま司法試験合格「7割以上」と、法曹人口が増え続ける「1500人程度以上」を維持しようとすれば、質が下がるのは自明の理です。

最近、次のようなツイートを見かけました。

ほんとこれ。
司法制度改革の検証と見直しのために、何年もの間にいくつも検討体制が設けられました。その都度、制度を抜本的に見直す機会があったにもかかわらず、小手先の見直しで済ませてきたツケとして、いずれ取り返しのつかない弊害が生じないか危惧します。原爆が投下されるまで戦争を止められなかったように。

2015年6月24日 (水)

試験科目以外の学修と「法曹としての質」の関係

前のエントリーで紹介したように、法曹養成制度改革顧問会議第21回会議で予備試験合格者の「法曹としての質」に関し橋本顧問が

法曹の質一般の問題ではなくて、法科大学院生が試験科目にとどまらない多様な学修を義務付けられているのに対して、予備試験合格者にはその確認がなされないまま「法科大学院修了者と同等の学識」等を有すると認定されている点

と指摘していますが、私はもちろん賛同できません。

試験科目以外の学修の有無を問題にしたら、予備試験の制約が無限定になる恐れがあり、法科大学院に通えない事情のある者に法曹への道を開くという趣旨に反してしまうからです。

また、試験科目以外の学修がどれほど法曹の質と関連するのかも不明です。そもそも法科大学院の教育の効果は5年で薄れてしまうらしいことからすれば、法曹の質との関連はないといえるでしょう。やはり司法試験合格率の均衡で「同等の学識」を判断するのが最も公平で、予備試験制度の趣旨にもかないます。

唐突感消えない予備試験合格者の「質」「弊害」の問題提起

 第21回法曹養成制度改革顧問会議(平成27年5月28日開催)の議事録が公開されています。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/hoso_kaikaku/dai21/gijiroku.pdf

ここでは法曹養成制度改革推進会議決定に向けた結論の取りまとめ骨子(案)が示されました。資料は非公開ですが、会議の中で推進室側が説明しています。予備試験に関する骨子案の説明は以下の通りです。

「(1)予備試験」につきましては、①として、予備試験に関して必要な方策を検討し、法科大学院を経由することなく予備試験合格の資格で司法試験に合格した者の法曹としての質の維持に努める②として、予備試験の合格判定に当たり、法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度の理念を損ねることがないよう配慮する③として、法科大学院の集中的改革の進捗状況に合わせて、予備試験について必要な制度的措置を検討することを記載しております

については第14回会議で「法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度の理念を堅持するという観点から、合格者数において現状の水準を超えるべきではない」と取りまとめられています。私としてはまったく賛成できませんが、この骨子案で唐突に出てきた話ではありません。

については、予備試験合格者の「法曹としての質」という不可解な問題提起が顧問側からではなく推進室側から先に出されたように見えます。骨子案を受けて橋本顧問が「質」を問題とする意味について

「法科大学院生が試験科目にとどまらない多様な学修を義務付けられているのに対して、予備試験合格者にはその確認がなされないまま「法科大学院修了者と同等の学識」等を有すると認定されている点」

と説明していますが、法曹一般ではなく予備試験合格者だけを取り上げて「質」を問題にしたのは骨子案が初めてと思われ、唐突感があります(ただし、議事録に全てくまなく目を通しているわけではありませんので、以前の会議で何らかの言及があった可能性は否定できません)。
「質」の問題をさらに推し進めた「弊害」の話は、この会議でも登場しません。次の会議で示された「決定案」の中に突如出てきた経緯は、この議事録を見てもさっぱり分かりません。

については「必要な制度的措置を講ずることを検討する」という文言の意味を顧問から問われたのに対し推進室側は

文字のとおりでございまして、講じるかどうかも含めて検討を行うというふうにも読んでいただいていいかと思います。

と答えています。さらに、講じるか講じないかの検討の結論を出す期限を示すことは難しい、とも説明しています。

この回答をやや期待を込めて解釈すると、もしかしたら法務省側は「検討中」という状態を続けて、受験資格制限などの制度的制約を回避しようという腹づもりなのかなあ、なんて深読みもできそうです。6月11日の議事録を見ないとなんともいえませんが。

それにしても予備試験合格者数の現状維持という方向性が固まってしまったのは、返すがえすも残念でなりません。こんなことをしたら優秀な人ほど予備試験を目指す傾向がさらに強まって法科大学院の社会的評価は相対的にますます下がり、志願者がもっと減る上に質もさらに下がるという悪循環に陥るだけでしょう。また、法科大学院に通えない社会人経験者が受験資格を得る機会をますます奪われることにより、多様性はさらに阻害されていくでしょう。

加えて受験資格を制限したら、優秀な人はそもそも法曹を目指さないという流れが決定的になることでしょう。

目先のことにとらわれて、自分の首を絞めていることに気づかない愚かな行為としかいいようがありません。

※参考
「(予備試験ルートについて)法科大学院教育を経ていないことによる弊害が生じるおそれ」とは何なのか(Schulze BLOG)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52121882.html

※追記 6/24 10:30AMにタイトル変更しました

親と親戚がふがいなくてローに行かせられない

「ロースクールに行ってもよい例外的な場合」(アメリカ法曹事情)
http://americanlegalsysteminfo.blogspot.jp/2015/06/blog-post_16.html

リンク先をご参照ください。
法科大学院に入学してもよい例外的な場合」が7つ挙げられていますが、ウチの子はどれにも当てはまらないので法科大学院には行かせられません。

親と、近い親戚がふがいないばかりに申し訳ない・・・

2015年6月18日 (木)

「法曹養成制度改革推進会議決定(案)」の予備試験関連以外について

法曹養成制度改革推進会議決定(案)のうち予備試験関連については「Schulze BLOG」さんによる鋭く的確な指摘がありますでの、そちらに譲ります。

「『(予備試験ルートについて)法科大学院教育を経ていないことによる弊害が生じるおそれ』とは何なのか」
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52121882.html
「予備試験の弊害より、法科大学院制度による弊害を直視すべきである」
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52122053.html

予備試験関連以外で気づいた点を取り上げます。

「法科大学院の組織見直し」という項目では、法科大学院の是正要求から閉校命令に至る措置をとる客観的指標として「司法試験合格率(目安として平均の50%未満)、定員充足率(目安として50%未満)、入試競争倍率(目安として2倍未満)」などを挙げています。
そして項目の最後にようやく「前記の各措置の実施に当たっては、法曹を志す者の誰もが法科大学院で学ぶことができるよう、法科大学院の所在する地域の状況や夜間開講状況、ICT(情報通信技術)を活用した授業の実施状況などの事情を適切に考慮する」という文言が出てきます。これらの書きぶりから、統廃合の原則的基準はあくまで合格率などの客観的指標であり、地域の事情や社会人の受け入れ状況などは例外的に考慮されるにすぎないようにみえます。
ところで「法曹を志す者の誰もが法科大学院で学ぶことができるよう」というフレーズは文科省資料にも出てきますが、過去も将来も実現不可能なまやかし、誇大広告といってもよいでしょう。
74校あった制度開始当初から地理的に法科大学院で学べるのは一部の地域に住んでいる者だけです。ICTの活用といっても利用できる拠点に通える人しか利用できません。「誰もが」と、うたうのであれば、自宅でのネット受講やストリーミング受講ができなければなりません。しかし、それはもはや予備校の講義と変わらず、プロセス教育の放棄でしょう。

「司法修習」の項目における修習生の経済的支援関連については

最高裁判所等との連携・協力の下、司法修習の実態、司法修習終了後相当期間を経た法曹の収入等の経済状況、司法制度全体に対する合理的な財政負担の在り方等を踏まえ、必要と認められる範囲で司法修習生に対する経済的支援の在り方を検討する

としています。
これは「法曹養成制度検討会議取りまとめ」が「貸与制を前提」と明示したのとは少しトーンが違います。今後の若手法曹の経済状況とかローへの補助金削減状況次第で、給費制復活への道筋を残したように読み取れなくもない。ただ、現状では復活への道のりはまだまだ遠いと思います。

2015年6月17日 (水)

朝日新聞社説(6月17日付)の感想

(社説)「法科大学院 特性生かす教育の場に」(6/17朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11810892.html

従来の司法制度改革万歳路線に変わりはありません。ただ、当初の見込み違いの現実を前にかなりトーンダウンしているようにもみえます。たとえば法曹人口について

「合格者数目標は『少なくても1500人程度』としている。」

なんて、軽く受け流していますが、かつて(2011年6月14日付社説)は

例えば、弁護士が増えると競争が激化し食べていけない、人権活動もおろそかになるとして法曹人口の抑制を唱える声が根強くある。ずいぶん身勝手な主張と言わざるを得ない。

なんて息巻いてたんですよ。この点はスルーですか。そうですか。「身勝手」なのはどっちですか。

ほかに従来の朝日の論調を踏まえて目を見張るような記述は見当たりませんが、2点だけ指摘しておきます。

改革案は、法科大学院をピーク時の74校から減らして「少数精鋭」とし、(略)

「少数精鋭」って言葉の使い方まちがってるでしょう。
法科大学院の統廃合は意図的に人数を絞ってすぐれた人材を集めようとしているわけではありません。あまりの不人気で人が来てくれず、その情けない窮状に乗じて総定員を絞って合格率を向上させることにより法科大学院制度の存続を狙っただけ。要するに制度維持のための単なる「数合わせ」じゃないですか。それを「少数精鋭」ってご都合主義にもほどがある。これも事実のわい曲に近いなあ。

あと社説は

それでも特殊詐欺などに巻き込まれる人、ストーカー・DV被害に悩む人は絶えない。助けがいる人に無料相談などの情報が届きにくい現実もある。

と述べていますが、特殊詐欺の予防、事後救済に弁護士が実効的な役割を果たす場面ってどれくらいあるんでしょうか。不審な電話があったあと、振り込む前に弁護士に相談することを思いつく人はそもそも被害に遭いません。これは弁護士の数とは関係ありません。被害に遭った後は捜査機関でもない弁護士には相手を突き止めるすべもなく警察の捜査に任せるほかないと思いますが。
ストーカー・DV被害も生命身体への危険が迫っている場合は、端的に直接警察に相談する方が実効性ある思います。初期段階は弁護士への相談も有効かもしれませんが「無料」相談の費用の手当はちゃんとしないとね(法テラスへの国による支援の動きはあるようですが)。

※参考
「法科大学院 特性生かす教育の場に(2015年6月17日付 朝日新聞社説)」(SchulzeBLOG)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52122419.html
「悪意に満ちた朝日新聞の論説委員 未だに過去の誤りを認めない弁護士人口激増政策」(弁護士 猪野 亨のブログ)
http://inotoru.blog.fc2.com/blog-entry-1379.html

※朝日社説に関する過去の拙記事
「壊れかけの朝日社説」
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-4f5a.html

2015年6月13日 (土)

「法曹養成制度改革推進会議決定(案)」の予備試験関連について

「『(予備試験ルートについて)法科大学院教育を経ていないことによる弊害が生じるおそれ』とは何なのか」(SchulzeBLOG)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52121882.html

法曹養成制度改革推進会議決定(案)の予備試験に関するschulzeさんの疑問、指摘につき同意します。

9日の法科大学院特別委員会で、いつもの予備試験批判がほとんど鳴りをひそめ、「1,500人程度」案について推進室委員を追及することもなくすんなり受け入れた理由が今になって分かりました。

おそらく政府案がこうなると話ができていたんですね。

予備試験の制限については、ちょっと油断していたと反省しています。
特に私は予備試験の出口制限、つまり合格者数の抑制を強く批判していたにもかかわらず、第14回法曹養成制度改革顧問会議議事録によれば去年12月16日の時点で大塲推進室長が

予備試験については、法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度の理念を堅持するという観点から、合格者数において現状の水準を超えるべきではないと、こういう点では顧問の御認識の一致を見たものと受けとめております。

と、とりまとめていたことを見過ごしていました。

今回の政府案で

司法試験委員会に対しては、予備試験の実態を踏まえ、予備試験の合格判定に当たり、法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度の理念を損ねることがないよう配慮することを期待する。

と、司法試験委員会にプレッシャーをかけた素地は去年12月に作られていたようです。この案がそのまま決定すると、今年も予備試験最終合格者数が微増ないし横ばいに抑制される可能性が高く、最悪の場合、昨年より減る可能性も否定できません。

ただ、受験資格制限についてはこの第14回会議の時点でも時期尚早でしばらく推移を見守るという流れが支配的です。
その後の議事録にざっと目を通したかぎり、4月16日の第19回会議まで予備試験について深く話し合われた形跡は見当たりませんでした(見落としあれば後に修訂正します)。
すると、まだ議事録が出ていない第20回会議(5月21日)以降に、予備試験合格者の「質」や「弊害」が問題とされる急展開の議論があったのかもしれませんが、どうしてそういう議論が出てくるのか想像がつきません。

いずれにせよ、入口も出口も制限されることになれば予備試験受験者は間違いなく減るでしょう。かといって法曹志願者が法科大学院に流れることもないでしょう。単に、関係者が最も懸念してるはずの法曹志願者全体の減少という結果を招くだけでしょう。

2015年6月11日 (木)

法曹養成改革案、柱は強制閉校制度か。予備試験の受験制限の余地残す(タイトル内容修正)

「法律専門家の養成制度改革案まとまる」(6/11・NHKニュース)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150611/k10010111131000.html

政府は質の高い法律の専門家を養成するため、法科大学院の組織を抜本的に見直し、大学院の修了者のおおむね7割以上が司法試験に合格することを目指すなどとした法律専門家の養成制度の改革案をまとめました。
政府は法科大学院を修了した人の司法試験の合格率の低迷などを受けて、法律の専門家を養成する制度の見直しに向けて、おととし、内閣官房に「法曹養成制度改革推進室」を設けて検討を進め、11日開かれた有識者会議で改革案を示しました。
それによりますと、今年度から平成30年度までを「法科大学院集中改革期間」と位置づけて抜本的な組織の見直しを進め、大学院の修了者のおおむね7割以上が5年以内に司法試験に合格することを目指すとしています。
具体的には、司法試験の合格率の低迷や定員割れの継続といった課題があるうえ、必要な教育課程などを定めた法科大学院の設置基準に違反している場合、是正を求めます。その後、
状況が変わらなければ改善を勧告し、さらに閉校命令などの措置も段階的に講じることができるとしています。
また改革案には、
今後も毎年の司法試験で少なくとも1500人程度の合格者を確保できるよう、制度改革に取り組むとした目標も盛り込まれました。
政府は来月までに関係閣僚会議を開いて、この案を正式に決定し、実現を目指すことにしています。
 

先日のエントリーで示したスケジュール通り、推進会議に向けた報告案が示されました。
この報道をみる限りでは「強制閉校」が柱のようで、ほかに目新しい改革策はないようにも見えます。
平成30年度までを「法科大学院集中改革期間」と位置づけたことにより、少なくとも今後4年弱は給費制の復活も含めた新たな抜本改革や法曹人口の見直しはなさそう、ということになるんでしょうか。

一方、この報道をみる限り、予備試験の受験制限が盛り込まれていないようなのは、正直ホッとしました。
※追記修正(6/12 8:15AM)
この産経記事によると、
「法曹への“抜け道”と問題視されている予備試験については、法科大学院改革に合わせて必要な制度的措置を検討するとした。」とあります。
記事が正しければ受験制限は見送られていなかったようです。

他の報道や、公表される資料を読んでから、あらためて内容を検討し論評したいと思います。

【速報】平成27年司法試験予備試験短答式試験の結果

平成27年司法試験予備試験短答式試験の結果
http://www.moj.go.jp/content/001148412.pdf

1 受験者数等
(1) 出願者12,543人
(2) 欠席者2,209人
(3) 受験者10,334人
(うち途中欠席88人)
(4) 受験率82.4%
(注)受験率とは,出願者に占める受験者の割合である。
(5) 採点対象者10,246人
2 短答式試験の合格者

(1) 合格点
各科目の合計得点170点以上(270点満点)
(2) 合格者数
2,294人

(3) 合格者の平均点
187.5点

合格点は170点で昨年度と同じ
・合格点の5点刻みは維持
合格者数は2,294人で昨年度(2,018人)から276人増
・受験者ベースの合格率は22.2%(昨年度は19.5%)
・受験者数は10,334人で、速報値と変わらず

予備試験出願者数、受験者数の推移(カッコ内が受験者数)※確定値
平成23年  8,971人(6,477人)
平成24年  9,118人(7,183人)
平成25年 11,255人(9,224人)
平成26年 12,622人(10,347人)
平成27年 12,543人(10,334人)

合格されたみなさん、おめでとうございます。
論文試験までちょうど1か月です。
1分1秒を無駄にせずに全力で頑張って下さい。

2015年6月10日 (水)

どうなる憲法学(者)の権威

与党推薦教授「危険なやり方」  学者199人「違憲」 (6/8TBSニュース)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2513163.html
この報道によると、安保関連法案に反対する声明に賛同する憲法学者の署名は8日午後10時時点で199人分に上っています。
 
またhttps://twitter.com/akahataseiji/status/608281253058445312によると
「テレ朝報ステが憲法学者アンケート。198人中50人から返ってきた中間集計を紹介。安保法制は憲法違反にあたるが45人。違反の疑いがある4人で、違反の疑いはないが1人いた。」
とのことです。

こうした憲法学者の「違憲」の主張に対し政府は反論しています。
集団的自衛権:政府「行使は限定的」…違憲指摘に反論(6/9毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150610k0000m010026000c.html
安保法案:「違憲」に法制局長官が反論(6/10毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150610k0000e010201000c.html

原発の安全性に関する専門的知見を持つ科学者の大多数がもし原発の再稼働に反対したら、政府はとても再稼働の方針を打ち出せないだろうと思います。そういう状況で政治家が「再稼働しても安全だ」と言い張ったり、科学者の意見に反論したりしたところで誰にも信用しもらえないと思います。政治家の知見が及ばない専門的分野はやはり、専門家の科学的学術的判断に委ねざるを得ない場合があるでしょう。現に再稼働の判断は、専門家をメンバーとする原子力規制委員会の判断に実質的に委ねられています。

しかし、安保法制をめぐり政府は大多数の憲法学者による「違憲」の主張に耳をかさず反論しています。

原発再稼働に関し科学的知見をある程度尊重しようとする姿勢と、どうして違うんでしょうか。
社会科学は理学や工学よりも政治になじむということなんでしょうか。だとしても政治家の憲法解釈に関する知見が、憲法学者よりかなり劣るのは間違いないと思いますが・・・。

いずれにせよ、このまま政治に押し切られたら憲法学(者)の権威は失墜するだろうと思います。

2015年6月 9日 (火)

5月22日(金)衆議院法務委員会会議録より

第189回国会 法務委員会 第16号(平成27年5月22日(金曜日))
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000418920150522016.htm

階猛(民主)委員の質問とそれに対する政府側答弁から、曖昧模糊な「法曹人口の在り方について(検討結果取りまとめ案」の意味を探ります。

【「1,500人」の根拠について】
階委員が「合理的根拠を説明」せよ、「過去の経緯との整合性をとるために何とか千五百人を維持したい、そうとしか見えない」と迫ります。質問の趣旨は、過去の政策との整合性から、さすがに旧司下での最大1,500人を下回るわけにはいかない、という消極的、自己保身的な意味しかないのでは、というものです。
これに対し大塲・法曹養成制度改革推進室長、上川法務大臣とも質問に正面から応じる答弁はなかっと見受けました。

【「1,500人」は最低ラインなのか】
階委員は政府側答弁について「何とか死守したいというような趣旨の御答弁」と受け止めています。
一方で大塲室長は「法曹人口の在り方について(検討結果取りまとめ案)」の「下の三行」、つまり「なお~」から始まる最後の部分について

「これは、やはり国民の権利保護の見地から法曹の質の維持を優先することとするというふうな趣旨を込めたものでありますので、この下の三行に沿って運用がなされることを期待したいというふうに思ってはおります。」

と答弁しています。

この答弁を素直に解釈すれば、私が先日の法科大学院特別委員会で説明を聞きたかった
「・法曹の質を維持するためには「1,500人程度」を割り、場合によっては1,300人とすることもやむを得ない、と読んでいいのか。」
という点について

“そう読んでよい”
という答えになると思います。

【「1,500人程度」という目安の期間はいつまでか】
取りまとめ案が「当面(中略)1,500人程度は輩出されるよう」としている「当面」とはいつまでかと階委員がただします。
これに対し大塲室長は「差し当たり五年程度」と答えています。
つまり「1,500人程度」という“目安”は今後5年は固定化され、見直される可能性は少ない、ということのようです。言い換えれば、法曹養成制度に関する7月以降の新たな検討体制は、少なくとも今年5月末時点では想定していない、というように受け止められます。

北海道新聞社説も給費制に言及、「地域差」の指摘も

「法曹養成の目標 数合わせで済ませるな」(6/9北海道新聞社説)
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0026780.html

最近、地方紙の社説に着目していますが、この社説も中央大手紙の社説とは異なる、地方ならではの視点があらわれていると思います。

ひとつは

 教育の質を保つには一定の統廃合もやむを得ない。ただ、低迷校は地方に多い。野放図に統廃合を進めると、都市部の有力大学院に入らなければ司法試験に通らないという地域差が生じかねない

と、地方ローの統廃合に伴う受験環境の地域間格差を指摘している点。

もうひとつは

法科大学院は学費がかかる。司法修習の給費制廃止により、司法試験合格後も多額の借金を抱える人は多い。有能な人材を確保するためには、奨学制度など必要に応じた支援策も検討すべきだ。

と、給費制廃止が法曹を目指す者の経済的負担の一因になっていることを認めている点です。

法曹養成に関する地方紙社説を読ませていただくにつけ、中央大手紙よりも問題点を的確に捉えていることを強く認識します。

その上であえて論評させていただくと、ひとつ目の点の「都市部の有力大学院に入らなければ司法試験に通らない」という問題は、ローの統廃合が進む以前から既に存在してたことを指摘しておきたいです。全国に74校あった時でも地域的にローに通える人は一部だけです。上記の問題は統廃合の進展とはあまり関係なく、そもそも法科大学院制度自体に内包しているのです。どんなに法科大学院制度を立て直そうとしても、この制度を中核とする限り解消することは困難です。現行制度をいじらずに、この問題を解消する唯一の方法は、都市部の有力大学院に通えない人のために予備試験の合格枠を拡大することです。

もうひとつの点については繰り返しになりますが、「奨学制度」と「給費制」では、その効果が法曹養成に結びつく程度が決定的に違うということです。社説の「奨学制度など」の「など」には給費制の復活が含まれているのかもしれませんが、奨学制度より給費制を復活させる方が有為な人材を確保するための経済的支援としては端的です。給付目的との関係でも公費の無駄も奨学金ほどには生じません。経済的支援策としては奨学制度より給費制が優先されるべきと思います。

今回も打開策ないまま議論終了か

文科省中教審法科大学院特別委員会(第69回)を覗いてきました。
先日公表された「一読不了解」の「法曹人口の在り方について(検討結果取りまとめ案)」について法曹養成制度改革推進室による具体的な説明を聞きたかったからです。説明がないと理解困難な内容なので、推進室の委員に対し他の委員から質問が相次ぐだろうと予想していました。

私が個人的に解説してほしかった点は
・「1,500人程度」というのは「1,500人前後」と同義で、たとえば「1,490人」も含まれるのかどうか。
・法曹の質を維持するためには「1,500人程度」を割り、場合によっては1,300人とすることもやむを得ない、と読んでいいのか。

簡単に言うと「1,500人」が何がなんでもこれ以上は減らせないという最低ラインなのか。そうではなく法曹の質の維持が最優先で、あくまで目安の数字にすぎないのか。

ところが、予想に反し他の委員から一切質問はありませんでした。
あくまで印象ですが、さすがに就職難などの現状下にあってロー関係者も1,500人まで減るのはいたし方ないと妥協しているように見えました。ただ、これよりも下がることまでは容認していないと思います。

ひとつ気になったのは予備試験批判の声がいつもより少なかったこと。受験制限にあきらめムードが漂っているだけならいいけど、水面下で状況の変化があったりしたら嫌だなあ。

ところで推進室の説明では、先日の顧問会議で「法曹養成制度改革推進会議決定に向けた結論の取りまとめ骨子(案)」を非公開とした理由は、関係省庁間で調整中の部分があり今後内容が変わりうるため、とのことでした。
今後は11日(木)の顧問会議で推進会議に向けた報告の案文が出され、30日(火)の顧問会議で正式に報告が出される、というスケジュールのようです。推進会議設置期限が7月15日ですから、7月前半に推進会議決定が出ると思われます。

結局、法曹志願者の急減という危機的状況の抜本的な打開策を打ち出せないまま議論が打ち切られそうです。
「法曹養成制度に関する検討ワーキングチーム」「法曹の養成に関するフォーラム」「法曹養成制度検討会議」、そして今回の「推進会議」と5年にわたって法曹養成制度の検討体制が設けられましたが、この間、特筆すべき改善があったでしょうか。このあとさらに次の新たな検討体制が設けられ、そこに問題が先送りされるのかな。

低迷する国立法科大学院に文科相が廃止に取り組むよう通知

「教員養成など見直し求める 国立大に文科相通知」(6/9中国新聞)
http://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=161290&comment_sub_id=0&category_id=256

 下村博文文部科学相は8日、全国の国立大に対し、次の中期目標を策定する際、教員養成系と人文社会科学系の学部・大学院のほか、司法試験合格率が低い法科大学院について、廃止や見直しに取り組むよう通知した。
 文科省は背景に少子化や人材需要の変化などを挙げ、「地域のニーズを踏まえて、各大学の目標に沿った見直しをしてほしい」としている。(略)

 
 昨日、文科省で法科大学院特別委員会を覗いてきましたが、この話は出ませんでした。

 以前から言われてきた理系重視の国立大改革の流れでしょうが、ことのついでに低迷する法科大学院への統廃合要請も盛り込んだ形ですね。
 募集停止を決めていない国立大で比較的合格率が低迷するローというと琉球大とか広島大とか主に地方の大学が思い浮かびます。国は地方ローを守ることなどあまり考えていないように見えます。

※参考
「文科相が司法試験合格率が低い法科大学院について廃止や見直しに取り組むよう全国の国立大へ通知(毎日新聞)」(SchulzeBLOG)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52121483.html

2015年6月 7日 (日)

まだあった給費制復活に言及の地方紙社説

「法曹養成改革/数の議論だけでは済まない」(6/1河北新報社説)
http://www.kahoku.co.jp/editorial/20150601_01.html

志願者数の減少を懸念するならば、法科大学院の改革に加え、学費負担の軽減を図る奨学金制度の拡充などが欠かせない。司法修習期間の負担に不安が強いのなら、廃止した給費制の再検討も必要だ。

法科大学院の撤退が相次ぐ地方は現行法曹養成制度に対する危機感が切実です。それゆえ現行制度の問題点を的確に捉えていると思います。

一方、都市部は淘汰がどんどん進んで残ったローの定員充足率や司法試験合格率が上がればそれで万々歳、という感じで(たとえばこの東京新聞の社説)、地方とはかなり温度差があるように思います。

一点、この社説について押さえておきたいのは「奨学金」と「給費制」では、その効果が法曹養成に結びつく程度が決定的に違うということです。
奨学金はまだ司法試験に受かるかどうか分からない人への支援ですから、受給者が最終的に合格しなかった場合、法曹養成には結びつかず、特に返済不要の給費タイプであれば、給付目的との兼ね合いで給付金をドブに捨てるような結果にもなりかねません。
一方、給費制は既に司法試験に合格し、ほぼ全員が法曹になることが想定される人への支援ですから法曹養成に直接結びつくことになります。

※参考
「地方紙の論説に期待したい」(Schulze BLOG)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52121215.html

2015年6月 6日 (土)

「給費制の復活も検討課題」(山梨日日新聞論説)

「山学大法科大学院撤退へ 原点忘れた改革、地方を直撃」(6/4山梨日日新聞社「論説」)
http://www.sannichi.co.jp/article/2015/06/04/00055252

リンク先は全文読めませんが紙面にはこういうフレーズがあります。

司法修習生に国が給与を支払う給費制の復活も検討課題として挙げておきたい。

政治的に給費制廃止の流れが定着して以降、一般紙が社説で給費制の維持や復活に言及したのは私の知る限り初めてではないかと思います。

現行法曹養成制度の歪みのあおりを最も強く受けているのは地方です。メディアには大手紙にはできない現行制度批判を大いに期待しています。

一方で指摘もしておきたい。
「論説」は検討課題として併せて「予備試験制度の見直し」も挙げています。「運用」ではなく「制度」の見直しですから、具体的には受験制限などを指していると思われます。
しかし、よく考えていただきたい。
山梨県に法科大学院がなくなれば、LSルートで法曹になるには東京その他の都市圏に出て行かなければならなくなります。それには相当にお金がかかります。でも予備試験ルートであれば地元に残りながら、都市部に出て学費を負担するほどのお金をかけずに法曹を目指すことができます。だとしたら地方在住者に法曹への道を開くに当たって、予備試験を制限してはダメでしょう。誰でも受けられる制度を維持しつつ、もっと合格者を増やす運用を求めるのが「地方在住者や社会人経験者を含む、多様な人材を法曹界に送り出す」(論説より)ために最も有効な手段なのです。

地方メディアには、法曹養成の中核に法科大学院を据えること自体に疑問を持ってほしいと思います。

※追記
「私の知る限」度はかなり狭かったようで、給費制維持/廃止反対に言及した地方紙は他にもありました。schulze先生の記事を御参照ください。
現行法曹養成制度の問題点については大手紙より地方紙の方が昔から理解があったようです。

2015年6月 4日 (木)

【速報】予備試験合格者の短答通過率97.7%

平成27年司法試験(短答式試験)の結果
http://www.moj.go.jp/content/001146258.pdf

1 受験者数等
(1)
受験者数8,016人(途中欠席79人)
(2) 採点対象者数7,937人
2 短答式試験の合格に必要な成績
(1) 成績判定
短答式試験の各科目において,満点の40%点(憲法20点,民法30点,刑法20点)以上の成績を得た者のうち,各科目の合計得点が
114点以上の成績を得たものは,短答式試験の合格に必要な成績を得た者とする(平成27年6月3日司法試験委員会決定)。
(2) 合格に必要な成績を得た者
対象者5,308人

平均点133.6点

予備試験合格者は301人が受験して294人が通過通過率は97.7%(小数点以下第2位四捨五入)で従来よりやや下がりましたが、全体の短答通過率66.2%(ロー修了組だけでは65.0%)を大きく上回っています。
この結果だけを見ても、前年度以前の予備試験合格者数がいかに過少に抑えられてきたかがよく分かります。
地方ローの多くが存続の危機にあり、地方受験生の法曹へのルートとして予備試験の重要性が増してくると思われる中、予備試験合格者数が今後も抑制されれば、受験環境の地域間格差はますます広がると予想されます。

予備試験合格者の本試験短答通過状況の年度別推移(受験者ベース、カッコ内は左から受験者数、通過者数、通過率)

2012年度(85=84=98.8%)

2013年度(167=167=100%)

2014年度(244=243=99.6%)

2015年度(301=294=97.7%)

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