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2015年6月17日 (水)

朝日新聞社説(6月17日付)の感想

(社説)「法科大学院 特性生かす教育の場に」(6/17朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11810892.html

従来の司法制度改革万歳路線に変わりはありません。ただ、当初の見込み違いの現実を前にかなりトーンダウンしているようにもみえます。たとえば法曹人口について

「合格者数目標は『少なくても1500人程度』としている。」

なんて、軽く受け流していますが、かつて(2011年6月14日付社説)は

例えば、弁護士が増えると競争が激化し食べていけない、人権活動もおろそかになるとして法曹人口の抑制を唱える声が根強くある。ずいぶん身勝手な主張と言わざるを得ない。

なんて息巻いてたんですよ。この点はスルーですか。そうですか。「身勝手」なのはどっちですか。

ほかに従来の朝日の論調を踏まえて目を見張るような記述は見当たりませんが、2点だけ指摘しておきます。

改革案は、法科大学院をピーク時の74校から減らして「少数精鋭」とし、(略)

「少数精鋭」って言葉の使い方まちがってるでしょう。
法科大学院の統廃合は意図的に人数を絞ってすぐれた人材を集めようとしているわけではありません。あまりの不人気で人が来てくれず、その情けない窮状に乗じて総定員を絞って合格率を向上させることにより法科大学院制度の存続を狙っただけ。要するに制度維持のための単なる「数合わせ」じゃないですか。それを「少数精鋭」ってご都合主義にもほどがある。これも事実のわい曲に近いなあ。

あと社説は

それでも特殊詐欺などに巻き込まれる人、ストーカー・DV被害に悩む人は絶えない。助けがいる人に無料相談などの情報が届きにくい現実もある。

と述べていますが、特殊詐欺の予防、事後救済に弁護士が実効的な役割を果たす場面ってどれくらいあるんでしょうか。不審な電話があったあと、振り込む前に弁護士に相談することを思いつく人はそもそも被害に遭いません。これは弁護士の数とは関係ありません。被害に遭った後は捜査機関でもない弁護士には相手を突き止めるすべもなく警察の捜査に任せるほかないと思いますが。
ストーカー・DV被害も生命身体への危険が迫っている場合は、端的に直接警察に相談する方が実効性ある思います。初期段階は弁護士への相談も有効かもしれませんが「無料」相談の費用の手当はちゃんとしないとね(法テラスへの国による支援の動きはあるようですが)。

※参考
「法科大学院 特性生かす教育の場に(2015年6月17日付 朝日新聞社説)」(SchulzeBLOG)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52122419.html
「悪意に満ちた朝日新聞の論説委員 未だに過去の誤りを認めない弁護士人口激増政策」(弁護士 猪野 亨のブログ)
http://inotoru.blog.fc2.com/blog-entry-1379.html

※朝日社説に関する過去の拙記事
「壊れかけの朝日社説」
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-4f5a.html

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