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2015年7月24日 (金)

根拠なく予備試験合格組の「法曹としての質」「弊害が生じるおそれ」を問題にした可能性が濃厚

先日決定されたの政府方針「法曹養成制度改革の更なる推進についてhttp://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/07/15/1359973_02.pdf

ここで予備試験合格組の司法試験合格者の「法曹としての質」「弊害が生じるおそれ」が問題にされたことに関し内閣官房に情報公開請求を試みました。

公開を求めたのは以下の文書

第22回法曹養成制度改革顧問会議(平成27年6月11日開催)において内閣官房法曹養成制度改革推進室が提示した資料「法曹養成制度改革推進会議決定(案)」の「第4 司法試験 1 予備試験」の項で「法科大学院を経由することなく予備試験合格の資格で司法試験に合格した者について、試験科目の枠にとらわれない多様な学修を実施する法科大学院教育を経ていないことによる弊害が生じるおそれがある」とした根拠となる客観的データ、事実等が分かる文書及び同項で「法科大学院を経由することなく予備試験合格の資格で司法試験に合格した者の法曹としての質の維持に努める」として特に予備試験合格者の法曹としての質を問題にした根拠となる客観的データ、事実等が分かる文書

なお「法曹養成制度改革推進会議決定(案)」は、最終決定の「法曹養成制度改革の更なる推進について」の原案で、予備試験の項は「案」と「最終決定」で一字一句変わりません。

請求に対し開示されたのは以下の3文書

(1)予備試験制度に関する意見の整理等
(2)法科大学院教育の抜本的かつ総合的な改善・充実方策について(提言)抜粋
(3)予備試験の実施方針について

(1)はhttp://www.cas.go.jp/jp/seisaku/hoso_kaikaku/dai9/siryou8_5.pdf
(2)はhttp://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2014/11/19/1353567_3_1.pdfの参考資料の61ページ
(3)はhttp://www.moj.go.jp/content/000006534.pdfで、いずれも公開済みの文書でした。

開示文書をみました。

(1)で請求内容に該当すると思われる部分は1ページの表左側の「予備試験制度の現状に対する批判」の記載だと思います。私は既に目を通したことがありましたが、再度、読み込んでみました。
 しかし、ここで予備試験の「問題点」として指摘されていることを要約すると

ア・予備試験受験生の属性が制度趣旨に沿っていない
イ・負担の軽い予備試験を「バイパス」利用する者がいて法科大学院の理念が実現できていない
ウ・予備試験の勉強のために法科大学院の学修が疎かにされている。ロー教育に悪影響が出ている
エ・法科大学院教育の軽視の傾向が広がりつつある

予備試験組がエリートであり法科大学院組が二番手との風潮に拍車がかかる
カ・予備試験の科目数等が限られ、法科大学院修了者と同程度の学力を判定する試験になっていない

ん? ほとんど司法試験合格「」の問題点の指摘ですね。
合格「」の「弊害が生じるおそれ」「法曹としての質」とは関係ないよね?
しかも、どの指摘も表右側の「再批判」で逐一反論されているし。
「再批判」は無視して「批判」のほうだけ斟酌したのかな。
だとしたら、ずいぶん恣意的ですね。
唯一、合格「」の指摘は意見オですが、これはむしろ世間が予備試験組の「法曹としての質」を高く評価する可能性を示したものですね。
さらに2ページ目には「予備試験合格資格で司法試験に合格した者について、不足があるとの指摘は見られない現状において・・・」という記述があるよ。これは予備試験組の「法曹としての質」「弊害のおそれ」を問題にする根拠となる事実はない、という意味だよね。

そもそも私は「根拠となる客観的データ、事実等」を求めたんです。なのに示されたのは、誰が何を根拠に言ったのかも分からない、主観的な意見ばかりで、政府方針という重要事項を決める根拠としては極めて薄弱です。結局、政府が客観的根拠なく予備試験組を不当にdisったってことのようです。

他の開示文書(2)(3)は、予備試験の試験科目が法科大学院の授業科目より限定的であるということを言いたいようです。

学修した科目数の違いは「法曹としての質」「弊害が生じるおそれ」とどう関わるのでしょう。学修した科目が少ないと「法曹としての質」に問題があり「弊害が生じるおそれ」が出てくるなら、たった5~6の試験科目しか勉強しなかった旧司法試験組なんて目も当てられないほど質が低い「ヤブ法曹」ばかりで大問題になっているはずですね。新たな法曹養成なんかより、旧司法試験組法曹の再教育の方が緊急の重要課題でしょう。
そもそも「法科大学院の教育の効果は5年で薄れてしまう」(注)らしいです。だったら法科大学院での履修自体が「法曹としての質」とは関係ないことになるでしょう。

結局、予備試験合格組の「法曹としての質」「弊害が生じるおそれ」を問題する合理的根拠がないまま、問題があることを前提とする政府方針が決まったんですね。どんな闇の力が働いているんでしょうか。

(注)
「法曹養成制度検討会議第6回,事務局提出資料,受験回数制限(平成24年12月25日開催)」(タダスケの日記)
http://d.hatena.ne.jp/tadasukeneko/20121230/1356828107

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