« 適性試験、見直しでよいけど釈然としない部分も | トップページ | いちからわからない!法科大学院志願者減少の原因 »

2015年7月 8日 (水)

司法試験合格率が上がれば法科大学院志願者が増えるのかをざっくり検証

法科大学院制度を推進する人たちはいまだに「司法試験合格率(合格者数)を向上させれば志願者は増える」という固定観念にとりつかれているように思います。先日の文科省法科大学院特別委員会でも“司法試験合格率が上がらないために新卒者が就職上の不安から法科大学院に進学しない”とか“受験者を増やすには司法試験合格者を増やす以外に切り札はない”という趣旨の発言が聞かれました。

本当にそうなら現時点で既に合格率が高い法科大学院は志願者・受験者が増えているはず。

そこで調べて見ました。

先日決まった法科大学院改革の政府方針では、改革の目標として「累積合格率が概ね7割以上」を掲げています。
schulzeさんの記事にあるこの資料では現時点で累積合格率が7割以上なのは一橋、東京、京都、慶應の4校。これらは既に今後の改革を先取りする形で十分な司法試験合格率を達成しているとみてよいでしょう。

でも、この4校の志願者・受験者の推移をこの資料からみると、今年(H27)は

【一橋】
志願者
386(ピーク年600の約64%)
受験者
307(ピーク年483の約64%)
※定員はピークの85%
【東京】
志願者
621(ピーク年1,215の約51%)
受験者
561(ピーク年1,161の約48%)
※定員はピークの80%
【京都】
志願者
455(ピーク年796の約57%)
受験者
415(ピーク年717の約58%)
※定員はピークの80%
【慶應】
志願者
1,158(ピーク年1,743の約66%)
受験者
1,096(ピーク年1,623の約68%)
※定員はピークの約88%

となっていて「7割以上」を達成していても経年では増やすどころか結構減らしています。

もっとも直近を比べると4校中、一橋と京都は志願者・受験者とも昨年比増です。そこで募集停止が相次ぎ淘汰が進むと合格率が高いところは志願者・受験者を伸ばす一方、低いところは減らしていく傾向がみられるのではないかと考え、来年度も募集する大学院中、累積合格率下位2校の昨年比をみてみました。すると

【桐蔭横浜】=累積18.6%
志願者 (H26)
24→(H27)24
受験者 (H26)
23→(H27)24
【駒澤】=累積
22.2%
志願者 (H26)
59→(H27)61
受験者 (H26)
57→(H27)56

と、ほぼ横ばいでした。これをみると志願者・受験者の動向には累積合格率とは別の要因も結構大きく影響するように思います。

以上ざっくりですがデータ上、司法試験合格率(合格者数)が向上すれば志願者・受験者が増えるという傾向は特にみられませんでした。

やはり法曹志願者の回復は、法曹自体の魅力の回復にかかっていると思います。

« 適性試験、見直しでよいけど釈然としない部分も | トップページ | いちからわからない!法科大学院志願者減少の原因 »

司法制度」カテゴリの記事

司法試験」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/576385/61858817

この記事へのトラックバック一覧です: 司法試験合格率が上がれば法科大学院志願者が増えるのかをざっくり検証:

« 適性試験、見直しでよいけど釈然としない部分も | トップページ | いちからわからない!法科大学院志願者減少の原因 »

フォト
2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ