« 「中締め」に当たって2・社会人受験生の方へ | トップページ | 「中締め」に当たって4・法曹養成とマスコミ »

2015年8月 2日 (日)

「中締め」に当たって3・予備試験は優秀曹の選抜試験ではない

 これまで私は司法試験や司法修習の成績において、ロー卒組より予備試験合格組の方が優位に立っていることをデータで示す作業に力を入れてきました。
 しかし、その意図は予備試験合格者がロー卒組に比べて一般的に優秀だとか質が高いとか、そういうことを言いたかったためではありません。旧司組か新司組か、予備組かロー組か、短期合格組かベテラン合格組か、難関大出身かそうではないか、社会人経験があるかないかを問わず、仕事ができる奴はできるし、できない奴はできない。そういうもんだと思っています。

 私がデータ提示で最も言いたいのは、予備試験が不当に狭き門になっている、という点です。すなわち、予備組の成績が相対的に高いということは、ロー卒者と予備合格者の学力の均衡がとれていないことを意味します。学力の均衡がとれていなければ、法科大学院に通えない人は司法試験受験資格を得るまでのハードルが特に高く設定され、受験機会の公平・平等が失われていることになります。そこで予備組の成績がロー卒組を上回っていることを示すことで予備試験合格者数の増加を訴えたかったわけです。ロー教育の質を問う意図も否定はしませんが、それが主眼ではありません。

 予備試験制度の意義は、経済的時間的地理的な事情から法科大学院に通えない人にも司法試験受験機会を与えて、司法試験の入口レベルでの公平・平等を保とうとする点にあり、それ以上の意味はないと思っています。現実には法科大学院に通えるのに予備試験を利用している人がいるかもしれませんが、所得によって受験を制限することは技術的にほぼ無理なのでやむを得ないことだと思います。なお、事業資金や住宅購入資金の調達とは違い、教育費で借金をするのが通常であるとはいえないでしょうから、奨学金を借りないと法科大学院に通えない人は「経済的事情」があると私は思います。そうだとすると、予備試験の制度趣旨に真っ向から反する予備試験受験生は実はかなり少ないのではないかと思います。

 繰り返しますが、予備試験に、司法試験の入口レベルでの公平・平等を保つこと以上の意味はないと思っています。ですから「実質的な司法試験」などと評して優秀な法曹を選抜する機能を予備試験に見い出すことには賛同できません。ちなみに司法試験短答試験の試験科目が3科目になっても現行司法試験の性質に変わりはないというのが政府見解です。今は予備試験合格者数が絞られている結果として、レベルの高い人ぞろいになっているにすぎません。
 予備試験にこうした選抜機能を認め、予備試験合格者数を増やすべきでないという意見もあるようです。しかし、予備試験合格者数を絞ることで予備試験合格者=優秀層とカテゴライズすることが合理的か、というと、そうは思いません。なぜなら「優秀層」をカテゴライズしたいのであれば、司法試験合格順位の「何百番以上」などというように本試験成績の上位層を括る方が端的ですし、ロー組の優秀層も取り込めるので有意義だからです。もっとも、そのようなカテゴライズにどれほどの意味があるのかは私には分かりません。
 特に旧司法試験合格者や既に予備試験に合格した人から、予備試験合格者数を増やさなくてもよいという意見が出るのは、個人的にはかなり違和感があります。私が自分自身に問いかけている「自分さえうまくいったらそれでいいのか」という思いが頭をよぎってしまうからです。

« 「中締め」に当たって2・社会人受験生の方へ | トップページ | 「中締め」に当たって4・法曹養成とマスコミ »

マスコミ」カテゴリの記事

司法制度」カテゴリの記事

司法試験」カテゴリの記事

情報公開」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/576385/62002331

この記事へのトラックバック一覧です: 「中締め」に当たって3・予備試験は優秀曹の選抜試験ではない:

« 「中締め」に当たって2・社会人受験生の方へ | トップページ | 「中締め」に当たって4・法曹養成とマスコミ »

フォト
2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ