情報公開

2017年3月 7日 (火)

70期司法修習生の貸与申請率は64.77%で過去最低(再採用者込みベース)

schulzeさんのブログで既報ですが、
70期司法修習生の貸与申請状況について最高裁から情報開示を受けました。

司法修習生採用者数(再採用者を含まない)1,530人(この資料より)のうち

○ 貸与申請者数(申請後撤回した者を除く)993人
(申請額別)
18万円・・・・・・・・・・・・・・・ 33人
23万円・・・・・・・・・・・・・・・847人
25万5000円(扶養加算)・ 27人
25万5000円(住居加算)・ 78人
28万円・・・・・・・・・・・・・・・ 8人
注:平成28年11月28日現在

貸与申請率は再採用者を含まないベースで64.9%で過去最低となりました。
推移と、過去最低となった理由の分析はschulzeさんが的確にまとめてくださっています。
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52178704.html

昨年、最高裁が司法修習生の再採用者を含む人数を母数に公式にデータを発表しましたので、
以下に同じ形式で推移を示します。傾向は再採用者を含まないベースのデータと変わりません。山中理司先生の開示資料によると、再採用者を含む採用者数は1,533人です。

              採用修習生数 申請者数  申請率
新第65期  2,001人    1,688人   84.36%
第66期    2,035人    1,645人   80.84%
第67期    1,972人    1,449人   73.48%
第68期    1,762人    1,181人   67.03%
第69期    1,788人    1,205人   67.39%
第70期    1,533人     993人   64.77%

2016年7月13日 (水)

司法修習生の貸与申請状況の経年比較情報が開示されました

私が毎年、情報開示申請していた司法修習の貸与申請状況が、法曹養成制度改革連絡協議会第4回協議会資料として公開されました。
http://www.moj.go.jp/content/001198289.pdf

引き移すと

      採用修習生数 申請者数  申請率
新第65期 2,001人    1,688人   84.36%
第66期   2,035人    1,645人   80.84%
第67期   1,972人    1,449人   73.48%
第68期   1,762人    1,181人   67.03%
第69期   1,788人    1,205人   67.39%

私が取得したデータと若干異なるのは、この資料の対象時期がいずれも各修習期の修習開始日現在で統一されていること、採用者数に再採用者を含んでいることによるものです。傾向は変わらず、新65期から申請率は下がり続け69期でほぼ横ばいとなっています。

2016年2月19日 (金)

第69期司法修習生の貸与申請率は67・4%

最高裁より情報開示を受けました。

○ 司法修習生採用者数 1,787
○ 貸与申請者数(申請後撤回した者を除く)1,205
(申請額別)
18万円・・・・・・・・・・・・・・・ 51人
23万円・・・・・・・・・・・・・・・894人
25万5000円(扶養加算)・ 28人
25万5000円(住居加算)・207人
28万円・・・・・・・・・・・・・・・ 25人
注:平成27年11月27日現在

貸与申請率(貸与申請者数/司法修習生採用者数×100)は67.4%(小数点以下第2位四捨五入)。68期(67.1%)より0.3ポイント増です。

貸与申請者数と申請率の推移は以下の通りです。
新65期(1742人,87.1%)

66期(1654人,80.8%)

67期(1449人,73.6%)

68期(1181人,67.1%)

69期(1205,67.4%)

68期まで毎期6~7ポイント申請率が下がってきましたが、69期で下げ止まり、わずかながら増加に転じました。

それでも新65期より20ポイント近く少なく、修習生の3人に1人は貸与を申請していない(新65期は10人に1人)という状況が示すものは何でしょうか。
「裕福な家庭で全て援助してもらえるか,貯金が沢山ある人以外は,貸与金なしで修習するのは不可能」という現役修習生のツイートから考えると、経済的に困らない状況にある修習生の割合が以前に比べて増えている、という気がしてなりません。

※過去のデータの詳細はこちら
新65期 http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-41e1.html
66期 http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/h2411-f437.html
67期 http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/h2511-34a0.html
68期 http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-7e6c.html

※参考
「予備試験合格者はロー修了生に比べ司法修習の辞退率が明らかに高い傾向」(Schulze BLOG)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52147295.html

2016年2月10日 (水)

【朗報】\(^o^)/最高裁が2か月探索しても見つからなかった文書があっさり見つかる

一昨日の記事(昨日の追記あり)で提起した最高裁による情報開示の遅延の件ですが、本日、担当部署に問い合わせたところ、なんと「文書が見つかった」そうです!

本件開示請求について時系列で経緯をまとめます。
2015年
●11月27日 第69期司法修習生採用発令日(採用者数が確定)

●12月1日 私が「第69期司法修習生採用者数が分かる文書」の開示を最高裁に請求


2016年
●1月4日 最高裁が戸倉三郎事務総長名で「文書の探索及び精査に時間を要しているため」開示不開示の通知期限を1カ月延長すると私に文書通知

●1月18日 第2回法曹養成制度改革連絡協議会に「第69期司法修習生採用者数」が記載された文書が資料として提出される

●2月4日 最高裁が戸倉三郎事務総長名で「文書の探索及び精査に時間を要しているため」開示不開示の通知期限を1カ月延長すると私に再度文書通知

●2月8日 さすがに延長期間が長すぎると思い最高裁の情報公開担当部署に電話で問い合わせたところ「文書の探索及び精査中」の一点張り。「文書開示でなく情報提供で構わないので早くしてほしい」との私の要望を伝達

●2月9日 前記「第69期司法修習生採用者数」が記載された文書が文科省と法務省のホームページに公開される

●2月10日(本日) 対象文書が遅くとも1月18日時点で存在していることを私が最高裁の情報公開担当部署に電話で伝達。担当部署は「2月4日までは探索中だったが、その後、きょう(10日)までの間に文書が見つかったので、今月中に開示不開示の決定を通知する」と電話にて回答←イマココ

いやあ、私が請求した文書を探すのに2か月以上もかけてくれたのですね。請求時点で情報が既に確定的に存在し、遅くとも1月18日までには文書化され公の協議会に提出されていた文書の探索にこれほど長い期間を費やしていただけるとは。その多大な労力に敬意と感謝を表すと同時に、文書探索のあまりの無能さに同情を禁じ得ません。

いや、無能なんて言っては失礼かも。実は優れた文書探索能力をお持ちで、文書はとっくの昔に探索を終えて存在を確認していたけど、私への「嫌がらせ」のために「探索中」と偽って故意に開示を引き延ばしていただけかもしれません。でも、そうだとすると戸倉三郎事務総長名で「文書の探索」中とした私への2通の期限延長通知は内容虚偽の公文書である疑いが出てきてしまいますから、それは違うんでしょう、きっと。

それにしても、つい一昨日までは「文書を探索中」だったのに、わずか2日間でうまいぐあいにあっさり文書が確認できたのはラッキーでした。こんなこともあるんですね。もし確認できたのは私の今日の問い合わせがきっかけで、問い合わせなければいつまでも「探索中」のままだったとすれば、自分も少しは探索のお役に立てたのかな(^^)ただ、データが既に公表された以上、今さら開示されてもまったく無意味になってしまったけどね。この情報開示請求の「無意味化」が引き伸ばしの狙いだったのかなあ、なんてゲスな想像をしてしまいます。

過去3年の例に従って情報提供で済ませていれば、こんなにバタバタすることなく、1月の初めにはこの件でのすべての事務処理が穏便に終わっていたはずなのにねえ。なんで例年のやり方に従わず今回に限って情報提供による開示方法を事実上拒否したのか。そのために私も最高裁の事務方も、何倍もの余計な労力を強いられました。事務処理方法の適切な選択も、事務処理能力を計る重要な要素ですね。

2016年2月 8日 (月)

情報公開、最高裁が消極姿勢に転換/いまだ司法修習生採用者数回答せず(追記あり2/9)

以下は司法審査機関としての最高裁ではなく、司法行政機関としての最高裁の話です。

私が最高裁に毎年、情報開示を請求し、情報提供を受けていた新期の司法修習生採用者数と貸与申請者数の情報が今期はいまだに提供されていません。

過去3年(66、67、68期分)は開示請求から期限である1か月後には情報提供されていました。

ところが今期は昨年12月上旬に請求したのに対し、1か月後の先月上旬に「文書の探索及び精査に時間を要しているため」との理由で期限が延長されました。
さらに1カ月後の先日、同様の理由で再び約1か月間の期限延長の通知が最高裁から届きました。

最高裁に情報公開法は適用されませんが、最高裁が独自に情報開示規定を定めています。
http://www.courts.go.jp/about/siryo/shihougyouseibunshokaiji_youkou/index.html

この中では開示の実施方法として

 開示の申出があった司法行政文書の開示より別の司法行政文書の提示又は情報の提供をする方が開示申出人の目的に沿うと認められる場合は,これらの文書又は情報をもって開示の対象とすることができる。

という規定があります。
義務規定ではありませんが、過去はこの規定をもとに請求から1か月以内に情報提供されていました。
ところが今期は請求から2カ月経ってもさらに先延ばしの返答。

司法修習生採用者数なんて遅くとも11月下旬には確実に定まった情報が存在し、紙ペラ1枚、口頭なら5秒以内で提供できる簡単な情報です。内容的にも隠さなければならないようなものでもなんでもない。
そんなものすら先延ばしを繰り返すという、例年とは明らかに異なる対応ですから、最高裁が情報開示・提供の運用に消極的・後ろ向きな姿勢に転換したのは明らかでしょう。理由は分かりません。各種の審議会でお偉い先生方に先に示すまで一般人にはデータを公表しないということかな、とか、データを司法制度改革の検証に使われるのが嫌なのかな、などと思いましたが想像の域を出ません。

上記の情報提供制度のような積極的な公開規定は情報公開法には明文が見当たりませんし、最近では開示結果への不服を審査する第三者機関を設置するなど、情報開示に積極的な姿勢が最高裁にみられていただけに本当に残念です。

※過去に最高裁から情報提供された内容はこちら
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/h2411-f437.html
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/h2511-34a0.html
http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-7e6c.html

※2/9追記
法曹養成制度改革連絡協議会 第2回(平成28年1月18日開催)の配布資料「資料1-9 司法修習生採用数・考試(二回試験)不合格者数」の中に第69期司法修習生採用者数のデータがありました。1,787人とのことです。
私が最高裁に請求した文書は「第69期司法修習生採用者数が分かる文書」です。1月18日時点で既に作成されていた当該文書は、ズバリ私が請求していた文書そのものです。なのに2月4日付で最高裁からもらった通知は「文書の探索及び精査に時間を要している」。
これって一体どういうこと????

2016年2月 5日 (金)

2016年度の主要私大法学部志願状況/早稲田は過去5年で最大の減少、中央は回復

早・慶・中央の法学部・法律学科の確定志願状況です。
※出願者数は「2016年←2015年←2014年←2013年←2012年」の順で表記。
赤字は昨年比減、青字は昨年比増

早稲田(法学部)
http://www.waseda.jp/inst/admission/syutugan_sokuhou_2016/
一般        募集350 4306←4630←4847←4967←5232
センター利用 募集100 1886←2393←2109←2248←1949

慶應(法学部法律学科)
http://www.admissions.keio.ac.jp/exam/shigansha.html
                   募集230  1999←2020←2009←2215←2308

中央(法学部法律学科)
http://www2.chuo-u.ac.jp/nyushi/nippou.html
統一(4教科) 募集20    299←243←237←256←352
統一(3教科) 募集35     874←818←820←826←969   
一般(4教科) 募集60    1066←965←1208←1536←1551
一般(3教科) 募集270  2842←2658←3006←3657←3747
センター併用  募集40   1344←1254←1468←1897←1962
※昨年の募集人員は45
センター単独(5教科) 募集90  2277←2315←2444←2932←2759
センター単独(3教科) 募集20   (今年度新設)

・早稲田の一般は昨年比324人減、7%減と過去5年で減少数、減少幅とも最大
・慶應は微減にとどまったとはいえ過去5年で初の2千人割れ。
・一方、中央はメインの一般入試を含めおおむね前年度より回復しました。法学部の都心回帰決定の影響かとも思いましたが、都心に戻るのは2022年だから新入生は4年間、多摩キャンパスです。ただ、回帰によるイメージアップ効果はあったかもしれません。
あと増加要因としては地方受験会場に「金沢」が加わったことくらいか。3大学の中で中央だけが志願者数を回復した要因は良く分かりません。

主要国立大法学部の志願状況は確定待ちですが、こちらは回復したところが多いようです。

2016年1月14日 (木)

平成27年も法科大学院ルートより予備試験ルートの方が司法試験に上位合格する傾向

平成27年司法試験総合点別人員調の予備試験合格者に関するデータが公表されましたので、平成26年と同様のグラフを作成しました。
今回は、法科大学院修了者のみの総合点別人員調も公表されているので、ロー修了者と予備合格者を完全に分けて比較しました。
グラフは縦軸が人数、横軸が総合点。折れ線は青色がロー修了者赤色が予備合格者緑色は予備合格者の母数がロー修了者と同数と仮定した場合の修正値です。

H27sougoutokuten_2

青色と緑色を比較すると、緑色の山の方が高得点側(右側)に寄っていますので、法科大学院ルートより予備試験ルートの方が司法試験に上位合格する傾向は変わっていないと思います。

なお、このような比較をする趣旨は、予備試験合格者数が不当に抑制され、ロー修了者と予備合格者の学力等の同等性(司法試験法第5条)が実現されていない実態を指摘する点にあります。上位合格に特に価値を認めて推奨する趣旨ではありません。

※ブログは依然、原則休止中ですが、情報開示と簡単なデータ分析は時折アップします。

2015年8月 2日 (日)

「中締め」に当たって4・法曹養成とマスコミ

 安全保障関連法案の合憲性や新国立競技場の巨額建設費問題など、政治・行政の合理性に疑義が生じた時にリベラル系のマスコミは問題に鋭く切り込みました。マスコミの重要な使命が権力のチェックであることからして当然です。

 ところが、法曹養成問題では、法曹志願者の激減、借金を背負う修習生や若手弁護士の経済的困窮といった将来の司法の基盤を揺るがしかねない深刻な問題が発生しているにもかかわらず、マスコミが法曹人口増員政策の合理性に疑念を持たないのはなぜか。

 理由はいろいろ考えられます。法科大学院が新聞広告のスポンサーになっている一面もあろうかと思います。
 しかし、私が思う最大の理由は、マスコミが司法制度改革の旗を振ってきた手前、簡単にその旗を降ろせないという体面もしくは面子の問題です。

 安保法案も新国立競技場建設もマスコミが旗を振って「推進せよ」と言ったわけではありません。だからマスコミが法案の廃案や計画の見直しを求めても過去の論調との不整合は特に生じません。
 ところが、司法制度改革でマスコミは改革を推し進める論陣を張ってきました。特に法科大学院制度と弁護士の増員は改革の柱として強く主張してきたと思います。
 それを今さら「間違っていました」と認めるのはマスコミの沽券にかかわる、という体面の取り繕いが、改革の根本的な失敗を追及できない態度をもたらしているように思います。

 このようにマスコミが振り始めた旗を降ろせない、という状況は過去にもあったように思います。

 太平洋戦争です。
 当時の新聞は戦争の早期終結に無力であったばかりか、国民の戦意高揚に一役買い、結果としてたくさんの若者を死地に送り込むことに手を貸しました。

 現在の法曹養成制度は、有為な人材が法曹を目指してくれないという点で、わが国の司法の基盤を揺るがしかねない恐れを生じさせていると思います。それでもマスコミは過去の自らの論調との整合性にこだわり続け、改革を根本的に見直そうとはしません。そればかりか、若者にそっぽを向かれて撤退が相次いだロー縮小の現状を「少数精鋭」と言い繕ったりもします。かつて大本営が「撤退」を「転進」と言い換えて国民を欺いたのと一体どこが違うのか。戦前の報道への反省が微塵も感じられません。

 私はマスコミの最大の使命は「二度と戦争を起こさせないこと」だと信じてやみません。しかし、法曹養成に関する報道をみると、将来、マスコミは戦争の抑止に何も役に立たないばかりか、むしろ煽り立てるのではないかという危惧すら芽生え、それが確信に変わりつつあります。

最後に4点にわたり長々と駄文を連ねて失礼しました。

では、いったん本ブログを閉じさせていただきます。

「中締め」に当たって3・予備試験は優秀曹の選抜試験ではない

 これまで私は司法試験や司法修習の成績において、ロー卒組より予備試験合格組の方が優位に立っていることをデータで示す作業に力を入れてきました。
 しかし、その意図は予備試験合格者がロー卒組に比べて一般的に優秀だとか質が高いとか、そういうことを言いたかったためではありません。旧司組か新司組か、予備組かロー組か、短期合格組かベテラン合格組か、難関大出身かそうではないか、社会人経験があるかないかを問わず、仕事ができる奴はできるし、できない奴はできない。そういうもんだと思っています。

 私がデータ提示で最も言いたいのは、予備試験が不当に狭き門になっている、という点です。すなわち、予備組の成績が相対的に高いということは、ロー卒者と予備合格者の学力の均衡がとれていないことを意味します。学力の均衡がとれていなければ、法科大学院に通えない人は司法試験受験資格を得るまでのハードルが特に高く設定され、受験機会の公平・平等が失われていることになります。そこで予備組の成績がロー卒組を上回っていることを示すことで予備試験合格者数の増加を訴えたかったわけです。ロー教育の質を問う意図も否定はしませんが、それが主眼ではありません。

 予備試験制度の意義は、経済的時間的地理的な事情から法科大学院に通えない人にも司法試験受験機会を与えて、司法試験の入口レベルでの公平・平等を保とうとする点にあり、それ以上の意味はないと思っています。現実には法科大学院に通えるのに予備試験を利用している人がいるかもしれませんが、所得によって受験を制限することは技術的にほぼ無理なのでやむを得ないことだと思います。なお、事業資金や住宅購入資金の調達とは違い、教育費で借金をするのが通常であるとはいえないでしょうから、奨学金を借りないと法科大学院に通えない人は「経済的事情」があると私は思います。そうだとすると、予備試験の制度趣旨に真っ向から反する予備試験受験生は実はかなり少ないのではないかと思います。

 繰り返しますが、予備試験に、司法試験の入口レベルでの公平・平等を保つこと以上の意味はないと思っています。ですから「実質的な司法試験」などと評して優秀な法曹を選抜する機能を予備試験に見い出すことには賛同できません。ちなみに司法試験短答試験の試験科目が3科目になっても現行司法試験の性質に変わりはないというのが政府見解です。今は予備試験合格者数が絞られている結果として、レベルの高い人ぞろいになっているにすぎません。
 予備試験にこうした選抜機能を認め、予備試験合格者数を増やすべきでないという意見もあるようです。しかし、予備試験合格者数を絞ることで予備試験合格者=優秀層とカテゴライズすることが合理的か、というと、そうは思いません。なぜなら「優秀層」をカテゴライズしたいのであれば、司法試験合格順位の「何百番以上」などというように本試験成績の上位層を括る方が端的ですし、ロー組の優秀層も取り込めるので有意義だからです。もっとも、そのようなカテゴライズにどれほどの意味があるのかは私には分かりません。
 特に旧司法試験合格者や既に予備試験に合格した人から、予備試験合格者数を増やさなくてもよいという意見が出るのは、個人的にはかなり違和感があります。私が自分自身に問いかけている「自分さえうまくいったらそれでいいのか」という思いが頭をよぎってしまうからです。

「中締め」に当たって2・社会人受験生の方へ

 予備試験ルートを狭められている上に、十分な勉強時間を確保できる現役学生とガチンコ勝負しなければならない社会人受験生。そんな茨の道に果敢に挑む高い志に心から敬意を表します。

 学生と比べて勉強時間等のハンディはあっても能力に差はないと思います。それでも社会人が予備試験で苦戦している原因の大半は方法論にあると私は思います。

 受験生の最終目標は最終合格ですが、実は山の頂上のように不動ではありません。問われていることや配点などは毎年変化していて勉強の仕方も変化に合わせる必要があります。
 現役学生の方々は大学や予備校に受験仲間がいて最新の試験の傾向を把握しやすい環境にあります。
 一方、社会人受験生は数が少ないし、受験生同士の出会いの場も少ないので同様の環境を得るのはなかなか難しいです。

 それでもなんとか情報交換やゼミなどができる受験仲間を作ることをお勧めします(完全な独習では受からないと言いたいのではなく、仲間と勉強する方が独習より受かりやすいだろうということです)。

 私自身も長らく独習でしたが限界を感じ、一緒に勉強してくれる方を紹介してくれるよう予備校のスタッフにお願いしました。そうしたところ若くて優秀な受験生と知り合うことができ、最終合格までの1年余り、週に1回程度のペースで論文ゼミや口述ゼミを組んでもらいました。このゼミの経験がなければ私は最終合格できなかったと思います。

 特に「ベテラン」と呼ばれる方には、プライドを捨てて、若い受験生や合格者に勉強方法や最新の試験傾向について素直に教えを請うことも考えてほしいと思います。
 私は10年連続で落ちた時、わらにもすがる思いで某予備校の合格祝賀会に場違いにも押しかけ、若い合格者をつかまえて教えを請うたことがあります。自分の息子といってもおかしくない年齢の若者に頭を下げ、迷惑そうにしている相手から何とかアドバイスをもらいました。内心、忸怩たる思いもたしかにありました。しかし、合格者なら当たり前にやっていることを自分がやっていなかったことに気づかされました。そこから最終合格まで数年かかりましたが、あの時のアドバイスがなければ最終合格できなかったでしょう。今でもあの青年には恩人として、とても感謝しています。

 ひらすら勉強を積み重ねれば自然と合格に近づくという時代ではありません。目標は毎年絶えず変化しているので、変化に応じた勉強の方向性を考えないと、最終的に目標をとらえることは難しいということを念頭に置いてほしいと思います。

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